祝日
「おめでとう~」
「え、何が?1ヶ月って?」
「1ヶ月が経ったんだよ」
ニコルが我が家に来てから。
そういう人間失格にはいつもと変わらず覇気がない。
「というわけでちょっとしたバースデーケーキを贈呈したいと思います」
「突っ込みどころしかないが、肝心のケーキはどこにある」
「え?渥美に買っといてって言ったじゃん」
や、聞いてない。
世紀の弁護士は今日の昼にも海外で有名アーティストの弁護裁判に立たなければならないため、
家から持ち寄ったスーツケースごと伊野の部屋に上がり込んでいたが、
それも間もなくして踵を返すこととなった。
「しかも、肝心の主役がいねえし」
「いやあ、どうにも、ニコル最近外出が多くてね」
「はぁ?お前保護者なんだからその辺しっかりしとけよ、
何かあってからじゃ遅いんだからな」
「はいはい~」
「とりあえず俺仕事で1週間くらい海外だから、何かあったら仕事場の奴に連絡しろ
金は渡しといたら使うだろうから最低限しか渡してない」
「まるで母親ですな」
こうしてサラリと受け流す今日。
まだこれから自分の身に何が起こるかわかるはずのない人間失格、世紀の弁護士、そしてニコル。
果たして彼らはどうなるのか?
「映画予告みたいだな」
「いや、最近ちょっとシリアスめいてたんでゆるゆる再開しないとって」
「安心しろ。シリアスでも十分緩いわこの話」
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