取るに足らない穀潰し
「総員、異議申し立てある者は挙手」
渥美の言葉に全員がタイミング同じくしてバッと手を挙げた。
「はい、伊野」
「いや、いつ誰が業者呼んでたの」
「自分も同意見であります裁判官」
「いや、それってたぶん…」
「あ～、もう業者さん来てくれたん？」
声に反応し振り向くと、アパートの一階・向かって一番右に住まう、松坂さん…(伊野の中ではその豊満な体つきから、牛さんと呼んでいる※心中で)
がひょっこり顔を覗かせて表に現れた。
見慣れない人間だな、と心中で渥美
焼いたらうまそうかも、と心中で曰比谷
また太ったんじゃないかな、と心中で伊野
「え、って言うか牛さ…松坂さんが呼んでたんですか」
「そうなんよー最近ブンブン飛び交って危なかったでしょ？
けど櫨山さん何もしないからーでも電話したらすぐ来てくれるんねー便利な世の中になったもんだわぁ」
それにしても朝から勢ぞろいでどうしたの？何かのお祭り？そうツナギ姿の三人に一瞥をくれてから、
牛さんこと松坂さんは巨体を再び自分の穴蔵に収めた。
「あれ？巣なくなってるじゃない、駆除してくれたの？」
櫨山さんである。自治体の区役所にまで赴いていたのだが、帰って来るなり蜂の巣が見当たらないことにビビるのも無理はない
「あ、松坂さんが呼んだ業者が来て」
「なあんだそうだったのーもう今自治体に申し出しちゃったよ～
でも、それなら一万は無しだね」
「あ… 言わなきゃ良かった」
「ユウスケ先輩の人間性」
的確なようでわからない曰比谷の突っ込みで〆とする
秋は人も虫をも操作する/終＆おまけ
伊野
「諭吉の損失は大きいなぁあんな羞恥プレイしたのに」
曰比谷
「ツナギは羞恥プレイなんすか
けど自分営業で稼ぐのに諭吉とか余裕で大量発生しますよ」
伊野
「うわ、素敵」
渥美
「因みに事務所で俺と一時間話したらその報酬は諭吉６人だ」
伊野
「うわ、鬼畜」
To Next
