いざ、尋常にタウンワーク
「おたくさんが来てくれたお陰で家は随分と住みやすくなった」
TVも付いたし
エアコン付いたし
扇風機まで来まして
お陰に衣服まで(ただしニコル用)
「持つべきは弁護士と営業家のヒモであると」
「ろくでなし」
「たまにヒドイよな」
あと一言しか今日喋れないよニコル。
「でもこのままやりくりするにはある程度金が入り用になる」
伊野はそこで考える。
一番手っ取り早いのはそらニコルを追い出すことだろうがそんなことしたら渥美と曰比谷に何されるかわからない。
よって ×(ボツ)
二番目としてはニコルに夜の蝶となってもらうことを考えたもののそれはそれで色々問題ありなので
×(ボツ)
となると
「求人広告でアルバイトを探そうと思う」
「…!」
ニコル嬉しげ。 人間失格無表情。
「とりあえず駅前のコンビニのタウンワーク取りに行くからついでにパチンコ行ってくる」
猫背でスウェットに手を突っ込んで歩き出す伊野の腰に、ニコルはしがみついた。
「…パチンコだめと」
「…」
「じゃあ一緒に行きますか」
「…! ♪」
ぱあ、と電球みたく目を光らせると、ニコルは直ぐ様身支度を整えてぴったり伊野の腕にまとわりつく。
部屋を出たとたん隣のおばちゃんに怪訝な表情をされ足早にその場を去る。