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幼なじみ(愁)中編

すみません。

最近忙しいのもあって、なかなか進まないので取り敢えずここまでupします。

その話を教えてくれたのは、例によって怒り心頭な様子の新堂だった。


放課後、俺の姿を見つけた新堂によって胸倉を片手で掴まれ、もう片方の手で腕を引っ張られながら空き教室へと連れ込まれたんだ。



俺はと言うと、実は何となくホッとしてた。



稟の様子が最近変だって事は感じていたから。



何回か問いただしてはみたけど、「別に何にもないよ。」って淋しげに笑うだけだった。



だから思わず

「何が起きてるんだよ!?教えてくれ!!」と反対に詰め寄ってしまった。



呆気にとられた顔をしていた新堂だったけど。


直ぐに怒った顔で話し出す。



「私は前にも言ったでしょ? あんたのファンを何とかしなさいって。」


確かに覚えてる。


だからといって、周りの人間達に気兼ねして稟と付き合う気なんか俺には全くない。



反対に、稟は俺にとって特別なんだってみんなに認めさせたいと思ったんだ。



だから、例の森口紗耶香が懲りもせず放課後一緒に帰ろうと誘って来た時。

俺はみんなの前でハッキリと断った。



・・・でも、新堂の話ではそれが悪かったらしい。



「あんたの断り方が本当に酷かったのね。


それと、森口本人が泣きながらワザとあんたを庇って周りの女子達の同情をつかんだもんだからさぁ。


次の日からあんた達は、学校一腹黒なカップルって事で、稟はそれこそ毎日嫌がらせを受けてたのよ。」



・・・そんなバカな。

俺は只唖然とするだけだ。



「元々周りの女子達は

あんたと森口がお似合いだって見てたし。


森口本人もまだあんたが好きだとか言ってるもんだからさ。


遂にはあんたと森口を引っ付けようと考えるグループまで出来てるのよ。」



私だって出来る限り稟の傍にはいるけど、完全ではないしね。


とすまなそうに俺を見つめる新堂。



「俺のやり方がいけなかったんだな・・」


力なくうなだれる俺に新堂は言いにくそうに話す。



「それでね。

まだあるんだ・・実は」



その話はとても俺が納得出来るものではなかった。


話が終わると、新堂を押しのけるようにして教室を出て稟の姿を探し回った。


走りながらも、ショートカットの頭を激しく振りながら、涙ぐんでいた新堂の声が頭の中で響いている。



「みんなは知らないから何でも言うのよ。

稟は森口なんかとは比べ物にもならないくらいなのに・・


何が眼鏡ブスよ!

何にも知らないくせに!」




ようやく探し当てた稟の姿は屋上にあった。



まだ陽が長いとは言え、段々夕暮れに近付いてきている空の下。



俺が来たことも気づかないくらい稟は素振りに夢中だった。



「・・森口とテニスで勝負するんだって?」



静かに話しかけると、稟は大きく息をしながら素振りを止めてこちらを向いた。



「愁・・黙っててごめんね。

でも私、絶対に負けないから。応援してて。」



新堂から話を聞いた時は言いたい事が山ほどあった筈なのに。


稟の顔を見た途端に全て消えてしまった。


何故なら。


稟の表情からは、不安とか焦りと云ったものが一切感じられなかったからだ。



「うん。分かった。

試合は明後日の日曜日だろ?

明日は一日中、付き合ってあげるよ。」



そう言った俺に稟はとびきりの笑顔をくれた。



お気に入りにして下さった方々本当にありがとうございました。

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