詩 お腹が痛い
「お腹、痛い」
私が彼に言うと、焦り出す。
「大丈夫か、おい? トイレに行ったら…」
「違うの。あれの日なの」
「へ?」
あれとさり気なく言うと、彼が首を傾げてくる。
私は痛むお腹を撫でながら、小声で言う。
「女の子の日なの」
「あー、ああ」
ようやく彼は意味が分かったらしく、顔を真っ赤に染める。
それが私にも伝わり、2人で黙る。
気まずい沈黙。
言わなければ良かったかなと後悔する。
周りは黙る2人に関係なく、元気な声を出したり、笑ったりしている。
2人だけの切り取られた瞬間。
ここに2人しかいないような、そんな状態だった。
「あの、薬を飲むね」
私はカバンから薬を取り出す。
彼の前で恥ずかしさがこみ上げ、なかなか開けることができない。
焦っていると、
「ちょっと貸してみろ」
言われた通りに錠剤を差し出すと、器用に取り出してくれる。
「ほら」
「ありがとう」
私はまだ顔が赤く、口を開く。
いつもよりも敏感な口の中。
女って大変だと思いながら、薬を含む。
「水はいいのかよ?」
「大丈夫。ペットボトルの水を持っているから」
そう言うと、私はカバンから水を取り出し、口にする。
「それでお腹は痛くなくなるのかよ?」
ペットボトルをしまっていると、彼が聞いてくる。
「うん。この薬、よく効くんだ」
「そうなんだ、へえ」
彼も1つ勉強したのか、素直だった。
直接、言わないでくれてありがとう。
感謝していると、彼がブレザーを脱ぎ、私の腰に回してくる。
「あの…?」
「いいから。普通にお腹が痛い時も暖めるだろう?」
「それはそうだけど…」
「身体、大事にしろよ」
照れくそうだけれど、はっきり言う彼。
出会えたことに感謝しないと。
私は満面の笑顔を向けるのだった。




