…
「こんの…バカ共が…」
「いや…あんたの『凝り性』という性格を正せば何とかなったはずだけど…」
「仕方ないだろ、時間に余裕があり過ぎたんだから」
「結果このザマですか」
「すいません。内の兄が…」
「黙れ。うん、黙れよ」
「…そうだ。お前、儲けた金は振り込んでるって言ったよな」
「うん」
「じゃぁ、引き出したことは?」
「そういえば、無い」
「暗証番号は?」
「…知らない」
「……マジかよ」
「振り込んだお金は?」
「下手をすればバカ親共が勝手に使っている可能性も…」
「…警察呼ぶ?」
「止めとこうぜ。その代わり、未来。俺にいい方法がある。土曜日開いてるか?」
。*°*。(´д`;)*°*。*°
「これのどこがいい方法なのよ!」
「あ、もう、バッカ!関係ないこと話しかけんな!番号忘れたじゃねぇか!」
「し、知らないわよ!」
「やり直すの面倒くせー!もういいじゃん、迷宮入りで」
「私は別にいいけど」
「へ?いいの?」
「お金なら簡単に手に入るし。水着に着替えるだけで金が手に入るってどれだけよ」
「俺の苦労を返せ…」
「あんたが勝手に始めたんじゃない。知らないわよ」
「はぁ?そりゃねぇって……」
『銀行強盗だ!誰か捕まえてくれ!』
「……行くべきかな?これは」
「うん。逝ってらっしゃい。健闘を祈るわ」
「誰だよお前!ちょっ、敬礼やめれ!」
『あぁぁ…お金が…お金がぁ…』
「早く逝け!」
「チークショォォォ!俺はいつまで妹の尻にしかれてりゃいいんだよぉぉぉ!」
「邪魔だボウズ!どけ!」
「アァン」
「全く役に立ってないじゃない!もう!」
「へへ…お嬢ちゃん、やるデュォォォォォォォ!?」
「…未来よ、一応聞くが、それはナンですか?」
「護身用のスタンガン。初めて役に立ったわ」
「お前誰だよ…てか、違法じゃないの?」
「高校二年生が知らないなら私がしるわけないじゃない」
「よし。帰るか…」
「この屍はどう処分するのよ」
「銀行員にまかしとけばいいんじゃない?」
「責任感が微塵も感じられない…やったの私だけど」
「じゃ、レッツゴーホーム!」
。*°*。(´д`;)*°*。*°
「暑い…エアコン壊れたか?」
「……もう喋りたくない…」
「電気会社に入れてみるか」
「そうして…」
「ケータイお前の後ろあるから取って。卓袱台が邪魔で取れない…」
「ふぬぉぉぉぉぉぉ…」
「手、大丈夫か?ピクピクいってるけど」
「もう無理…多分吊る…」
「じゃぁ動けよ」
「暑いからイヤだ」
「我侭ガールめ…略して我禍ールめ…」
「禍ってどういう意味だコラ」
「いいからケータイ取ってくれよ…動いてんじゃん」
「面倒…アイス取ってくる…」
「付き合っとれんわ。とぅ!」
「ちょっと、邪魔しないでよ!」
「フフフ…台所に行くのは俺を倒してからにするんだな!」
「死ねオラ!」
「ぬぐふぅ!…股間を蹴り上げるのは止めろ…お腹に響くんだぞ…」
「甘いんだよお前は…出直してきな」
「それは…反則だ…」
「あー、涼しい」
「この野郎…屍と化した俺の前で堂々とアイスを食べやがって…泣くぞ!」
「あ、電気会社に電話した?」
「返事が無い。只の屍のようだ」
「んー……」
「ちょ、口からバニラ零れてるって、垂れてる!俺の目に入る!望んでないのに白い涙が!分かった!電話するから!本当に屍死累々になる前に!」
「何人死ぬのよ…」
「よっこらせ…」
『プルルル…プルルル…ガチャ』
「あ、もしもし。エアコンの修理を依頼したいんですけど…あ、そうですか、はい。いや、バスケがしたいです」
『ガチャ』
「どうだった?」
「予約がいっぱいで3日後じゃないと無理だそうだ」
「はうぅぅぅ…暑さで溶けちゃう…」
「脳?」
「黙れバカ虫」
「虫だって苦労してるんだぞ!食物連鎖で上位にいる人間には分からないんだよ!最高位は多分姑。嫁を食い散らかす的な?」
「姑より鯱の方が強いと思うけど?」
「洟は脳液〜」
「何だその奇妙な歌は…」
「それにしても暑いな…やっぱ冷夏がいい」
「でも稲が育たないからね。冷夏は」
「!」
「え?何?」
「お前の口から他者を心配する言葉が出るとは…。只の高飛車ナルシストかと思っていた…」
「巫山戯るなよ?」
「そろそろ夕方か…」
「無視かよ…」
「買い物行ってくるけど、欲しい物あるか?」
「この世界の主導権」
「ごめんよ…。お兄ちゃんはそれを与えてあげることは出来ない…」
「いや、冗談だから」
「じゃ、適当に買ってくるぞ」
「いってらっしゃ〜い」
「行ってきます」
「……おい、早く出ろよ」
「やっぱ暑すぎて無理」
「それじゃぁいつ行くんだよ」
「深夜にコンビニ」
「もういいよ…」
「しっかし、この異常な暑さはいつまで続くんだろうな…」