四章 ~深夜~
「昼間の…真相を聞いてみるか…」
コンコン…
…………………………
……ありゃ?
無反応。
「おーい、未来ー?居ないのか?」
……無反応。
「入るぞ?」
ガチャ。
……やはり不在。
ん〜、靴はあるし…
まぁいいや。
テレビ見よ。
。*°*。(´д`;)*°*。*°
ギィィィィィィィィ……。
ガチャ。
カチャカチャ。
……泥棒?
深夜を狙った空き巣か?
でも、何故に鍵を?
行ってみりゃ早いか。
「あの〜、すいません。鍵はどこに…………未来?」
「……」
「その旅行鞄は、何なんだい?」
「も、文字通り、旅行だけど?」
「声が上擦ってるぜ?吐いちまえよ」
「旅行だってば」
「旅行帰りにそのメイクかぁ…そのイヤリングじゃぁ飛行機通らないよなぁ」
「や、夜行バスだから!」
「つかさぁ、突っ込もうと思ってたんだけど、出たの夕方じゃね?」
「……だった?」
「だった」
「だったった?」
「だったった」
「だったったっ……」
「せぃ!シツコイ!お前そんなキャラじゃねぇだろ!どんだけ追い込まれてんだよ!」
「あうぅぅぅ…。分かりましたよ!白状しますよ!」
「長かった…」
「モデルしてますよ!撮影帰りですよ!」
「その心は?」
「金だよ!世の中金が全てなんだよ!」
「ウチの妹がぁぁぁ!健気なお前は何処行った!いや、お前が健気だったことなんて一度も無いんだなぁ」
「でも、稼いだ金は全て貯金してあるから!」
「健気だった!いや、健気なのか?」
「取り敢えず、ママ達には内緒の方向で…」
「いや、俺母さんの携帯番号知らんし」
「私もだけど?」
「「……………………」」
「バカ親共が……泣けてくるな…。そうか。ありがとうな、未来」
「そうだ…私は生活費を確保するためにモデルの仕事を…。…どんなモデルだよぉぉぉ!つか、お前、只のヒモじゃねぇか!」
「兄貴からお前にまで成り下がった俺の二人称!そして夫婦関係は育んでないから多分ヒモじゃない多分!いや、もしかしたらもしか!」
「はぁ…はぁ…。仕事で疲れてるんだから…はぁ…大声出させないでよ…はぁ…」
「…残念ながら俺もだ…。じゃ、ドローってことで…」
やっと終わった…
…待て。
何だこの勝負は。
「隙ありっ!」
「ふぉ!」
「チッ…外したか!」
「性質悪ぃんだよこの生娘が!そしてヒールはやめろ!」
「黙らんかいムサ男!」
「黙らんわい!お前が話を展開させるから『会話が多い』とかクレームが来てるんだろ!」
「作者に言え!どうせ私達は作者の手の平で踊らされている操り人形に過ぎないんだからさ…」
「それは言わないっていう約束だろ…うぅ…二次元の宿命かなかな」
「うぅ…涙出てきた…」
「よし、いつまでも玄関に居ちゃいけねぇから、中入れ」
「あ、お邪魔します」
「思ったんだけどさぁ、お前、キャラがブレてるよな。最初の頃は『お兄ちゃん!起きて!遅刻しちゃうよ!』とか言ってたのにな」
「正確には『…ちゃん、お兄ちゃん!遅刻しちゃうよ!』だけどね〜」
「記憶力の次元が違いすぎる…」
「ブリっ子キャラとか疲れちゃったし」
「やろうと思えばできるのか?」
「ん?まぁ…」
「やってみてくれよ」
「いいけど…」
「じゃぁ、ヨーイ、スタート!」
「………………」
「………………?」
「いや、何か振ってくれないと」
「あ、そうか。じゃぁ、明日の朝飯、何が食べたい?」
「えー?にぃにの作ってくれたご飯だったら何でも美味しいから、何でもいいよぉ」
「……オェ………おっと、いや、すまん。胃液が食道に逆流しかけただけだ。口からレインボーになることは無い」
「でしょ!?そうなるでしょ!?」
「未来、俺が悪かった。土下座する。だがしかしブリっ子は金輪際やめてくれ」
「それだけ平謝られると悲しいんだけど…」
「うん、お前はそのままが一番いいよ」
「ど、どうも…」
「よし、俺は寝る。じゃぁな」
「あ、おやすみ」
。*°*。(30分後)*°*。*°
「魘されて眠れなかった…」
「何に?」
「ブリっ子状態のお前がメイド服着て迫ってくる夢」
「腹立つけど、リアルに大丈夫?」
「枕が汗と涙でビショビショさ」
「ポカリでも飲んだら?」
「いや、ポカリはやめておこう。必要以上に糖分を摂取することになるからな。ポカリならアクエリのビタミンガードの方がいい。しかし、糖分量にさほど変わりはないから自分で作った方がいいな。材料は水と砂糖、塩、ハチミツ、梅干し。一番シンプルで体にいい。なるべく砂糖は少なめにな。まず、水を温めて砂糖と塩を加える。次に梅干しを細かくして入れる。最後にハチミツ。水の量はコップ一杯分くらい。次はもっと簡単な方法。先ほど伝えた方法では残念ながら不味い。だから別パターンをお教えしよう。温めた番茶を用意する。その中にすり下ろした生姜を少し加え、種を抜いて細かくした梅干しを入れる。混ぜる。飲む。正確なレシピが知りたい人はググれ!ここまで聞いて分かった人もいるだろうが、梅干しは必須だ。塩分やクエン酸、アミノ酸が手軽に手に入り、その他栄養分も豊富だからな。分かったかな?よし、それじゃ、Let's cooking!」
「長ぇよファッキン野郎!」
「俺は文字数稼ぐ為なら何でもするぜ?」
「黙れよぉぉぉ!早く寝ろ!」
「お兄様を足蹴にするとはいい度胸じゃないか」
「えー?ミクがいつにぃにをあしげにしたっていうのぉ?ひどいよー、にぃにのばか」
「ぐはッ!すまん!俺がわるかった!許せ!」
「分かったならいいんだよ」
「分かったついでにもう一つ。未来、西の空を見ろ。朝日が見えるぞ」
「残念。東だなー。ってマジですか!」
「マジですよ!世間は徹夜で兄弟喧嘩をするのかい!?」
「いや、多分しない…」
「ギネスに登録しようかな?」
「いや、多分しない…」
「おっぱい」
「死ねよぉぉぉぉ!」
「ちょ、一次休戦!一回寝ようぜ!」
「確かに…それは正論…」
「じゃ、good night」
「むしろgood morning」
「good morningってお早うって意味だよな?」
「多分」
「寝れねえか」
「絶対」
「遅刻は嫌だもんな」
「絶対」
「今、4:56だけど、飯の準備始めるか」
。*°*。(´д`;)*°*。*°
「時間があると凝っちまうな」
「これ、全部食べる気?」
「無論、無理」
「無論じゃねぇじゃん」
「何これ。誕生日パーチーか何か?」
「いや、一般家庭の朝食」
「やっちまった…」
「余ったら捨てる?」
「それはダメだ。消費者庁に怒られる」
「消費者庁、そんなことしてねぇから」
「国土交通相?」
「飽きたから、それ」
「ま、食っちまおうぜ」
「それにしても…皿がヤバいほど多いんですけど…」
「捌ききれねぇな…」
「ちょっと、時計見て」
「…………急に現実味を帯びてきたな…」
「着替えないとマズい?」
「120%だな」
「「急げっ!」」