二章 ~翌朝にかけて
放課後。
俺が目を覚ましたのは、保健室だった。
……まだ鳩尾が痛い…。
腹殴ると胃の機能が低下するんだぞ。
しかしここはワザと大袈裟に演技するか…。
「痛ぅ…こりゃ重傷だな…」
……………
馬鹿な…
誰もいない…だと!?
てっきり結衣がそばで「大丈夫!?鶏冠井!」みたいな心情で待ってくれてると思ったのに!
これじゃ、骨折り損のくたびれ儲けじゃねぇか!
いや、骨は折ってないぜ?鳩尾だぜ?
……帰るor go to 職員室?
帰ろっと♪
☆
「お兄ちゃん、ご飯出来たって〜」
「ん、今日はいいや。腹減ってねぇし」
結衣のせいで消化できてねぇからな。
「……今日は未来も手伝ったんだよ?」
「それがどうした?」
「だから食えつってんだよ!ほら!口開けな!」
「ちょ、お前それどっからだして…オゥッ!」
「オラオラオラオラァァァァ!」
「うおぉぉぉぉ!」
うわっ!腹模様が…
「てめぇ…下剤入れやがったな…」
「ケッ!莫迦兄貴が」
「ふざ…けんなよ……。一日に二度倒れてたまるかぁ!」
「バカな!兄貴が立った!」
「おら!お前も食え!」
「み、未来の分は下に用意してあるから!じゃぁね!」
畜生…
トイレ行きてぇ…
☆
ー翌朝ー
「眠れねぇ…」
昨夜から今朝にかけて腹が「ギュルルルルルル…」と悲鳴を上げていたから、目が覚めてしまった。
これも全部、あの憎き妹のせいだ。
呪ってやる…
そうだ。
折角早く起きたんだから、早く着替えて出よう。
…あれ?
このネクタイ…っかしいな、通らねえぞ?
最近不調だな…
…………………………………………………………
うっぜぇ!もういい!ありのままの俺で行く!
☆
「き、今日はキュートなアクセサリーだな鶏冠井」
「どこら辺?」
「そのネクタイとか目元のメイクとかさ…」
「目元描いてねぇよ!しかもネクタイは違う!不運が重なっただけだ!」
「その団子、あたしは可愛いと思うけどな」
「気休めはよせよぉ…このやりとりも飽きたし…」
「じゃ、テスト勉強はしてきたか?」
「どうせならもっとイジれよぉぉ!俺が不憫じゃねーか!」
「どっちなんだよ…お前のツンデレは理解りにくい」
「今すぐ明鏡国語辞典でツンデレを索引なさい」
「……載ってねぇぞ?」
「何で持ってんだよ…しかも普通は新明解か広辞苑だろ…」
「知らねぇよ」
「ダメだ…突っ込む気力が湧かない…」
お腹痛い…