一章、昼食~
「……バカな…チョココロネが無い…だと?」
昼休み、購買近くのパン売り場にて。
250円を握り締めてパンを買いに向かった。
希望はチョココロネとコーヒー牛乳。
しかし、チョココロネが売り切れだった。
「あのチョコレートとパンの絡みが最高で、さらにコーヒー牛乳と混ざり合うことでサッパリとした味わいに!俺はこれ以上何を求めればいいんだ!」
「いや、意味分からないから。代わりにこれでも買って行きなさい。明日はもっと早く来ることね」
はい、と言って渡された、
メロンパン。
チョコチップメロンパン。
「チョコレートの体積は少ないけどメロンの風味が追加されたよ。じゃ、毎度あり〜」
半ば強引にチョコチップメロンパンとコーヒー牛乳を渡され、手に握った250円を全て持ってかれる。
あれ?お釣り出ないの?
「俺…メロン嫌いなんだよ…」
西瓜も嫌いだ。
カブトムシみたいな味がする。
「おー、今日はメロンパンか。珍しいな」
「よ、聡久。このパンはな…パン売ってた超自己中女に押し売られたんだ…。クーリングオフって有効かな?」
「無理があるだろ…」
「じゃ、お前のそのきび団子と俺のこのメロンパンを交換しようぜ。してくれたらお供になってやってもいいぜ?」
「別に良いけど…」
「……やっぱお前、ツッコミのセンスないな。普通今のは『どこの昔話だよ!しかもきび団子なんて何処に……何で、こんなところにきび団子が…これが活字の力か…』とツッコミ+ボケも形成できる最高のフリだったはずだぜ!?」
「お前のテンションには着いていけねぇよ…昔から」
「幼馴染に言われると思わなかった台詞だよ。けっこうキたぜ?涙腺決壊まであと10秒?」
「疑問詞にしても俺にはわかんねぇ。で、メロンパンを食ってほしいとの事だな?」
「概ねそんな感じかな?」
「食ってはやるけど、代わりには何もやれねぇぞ?」
「それでも構わん。有難な」
「じゃ、行け」
「……?」
飽きられたか、愛想尽かされたか、嫌われたか。
こいつに嫌われたら俺の友達は水槽の中のグッピー5匹しか居なくなっちゃう。
最悪でもそれは防ぎたい。
「あー、腹減ったな…」
「それでも食っとけよ」
彼が指差した先には、ゴミ箱。
……これは手遅れだな。
「鶏冠井…凄く頬痩けてるな…」
「ああ、一食でも抜くとこうなっちゃうんだ…。小さい頃、聡久に『何それキモッ!』と罵られていたさ」
「……可哀想な体」
「……お前もな…」
「顔を上げろ、歯ァ食いしばれ」
「そういう所も含めて残念だよ」
「この性格は治らないからな。どうしてあたしは男言葉なんだろうか」
「精神科医に聞け。でもそういう所から来るんじゃないか?発達の遅さとか」
「何でこんなに鶏冠井を殴りたいんだろうか」
「精神科医に聞け。でもそういう所から来るんじゃないか?発達の遅さとか」
「何で鶏冠井は学習しないんだろうか」
「精神科医に聞け。でもそういう所から来るんじゃないか?発達の遅さとか」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「ぐほっ!」
あ、マジ苦しい…
よりによって鳩尾深くに入れてきやがった!それも捻りを加えて!
あ…意識が…
パタリ。
K.O.