作戦
そのアプリに書かれた内容は名前の通りだった。
「神を決めるコンテスト」の説明
俺はいつも以上に真剣になったつもりでその文章を読む。
これが本当の説明ではない可能性もあったが、もはやこれしか信じられるものがない。
俺はこの説明を鵜呑みにすることにした。
そうするとそこには小さくこう書いてあった。
「召喚したキャラクターはコンテスト参加者に対して絶対服従であるが、その信頼度によってキャラクターの性能は変化します。
絶対服従だと思いこれを無視する人が多くみられますが、ご注意ください。
例)キャラクターがあなたの命令に反抗している場合
キャラクターの戦闘能力は大幅に減少します」
ヒカリが全くダメージを出せなかったのはこのせいか...
俺は勝手に納得することにした。
ヒカリが勘違い系の小説の主人公だったからという理由もある...いやそっちの可能性のほうが大きいのかもしれない。
しかしそれが本当だったとすると絶望するしかない。
「俺の直感って正しかったのか」
結局学校にいる頃ずっと考えていた「どうヒカリと仲良くするか」を考えることとなった。
それは難航した。
俺は男子校で一人っ子だったこともあり、しばらく女子と会話しておらず、さらにそもそも生粋の非モテだったのだ。
そんな俺がヒカリと仲良くする方法など全く浮かばずどんどん学校のときと同じく時間が過ぎていくのであった...
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
知らない間に寝ていた。
急な殺し合いのこともあって疲れていたのだろうか。
今からでもコンテストのことが夢だと思いたいくらいだ。
「あっ、ヒカリ!」
ヒカリを両親に見られたらどう説明したら良いのか...
それから親から「今日家に帰らない」という連絡を機能もらっていたことに気づく。
俺はちょっと安心する。
今日のような休日親が家に帰らないことは珍しいのでなおさらだ。
気づいたらヒカリはすでに俺の隣にいた。
だいぶ睨まれている、きのう無理やり従わせたこともあっておそらく心情は最悪だろう。
少し気まずい雰囲気が漂っている。
しかし俺は、仲良くならなきゃいけない理由があった。
「えーっと..気分はどお?」
「最悪」
即答されてしまった。
再び部屋に気まずい雰囲気が漂う。
次に沈黙を破ったのは、ヒカリのおなかの音だった。
ヒカリが顔を少し赤くする。
晩御飯を食べていなかったためか俺もおなかがすいていた。
その上ヒカリはもしかしたら昨日の昼ご飯も食べていなかったのかっもしれない。
俺はまず、二人分のご飯を作ることにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ご飯を作ることは、親がしょっちゅう仕事で家に帰ってこないため、なれていた。
ごはんを食べることは、打ち解けるきっかけにもなる。
これで、ヒカリとやっと会話するきっかけとなった。
まずヒカリから言葉を発したのだ。
「そもそも、ここってどこなのよ? 金貨も使えないし、そもそも見たことない魔法がたくさん。
そもそもなんで私が昨日のような殺し合いをしないといけないのよ...」
どうやら召喚したキャラクターは、何が起きたのかわからないまま召喚されるらしい
俺はヒカリに事情を説明する。
「えーと、なんというか...君は小説のキャラクターで、神を決める決定戦に参加したから...」
と言おうとした
そしてしばらく冷静に考えた後やめる。
彼女はどうせ納得してくれない。
だから俺は
「ごめん、俺もよくわかんないんだ」
と言うことにした。
「まあ、そうよね...
でも、昨日何てことしてくれたのよ。
まさか私をまた襲おうとしてないわよね...」
「昨日のあれは誤解だって」
ヒカリは怪訝そうな顔をする。
こんなところで信頼がゼロになったら冗談抜きで死んでしまう。
なんとしても避けたかった
「でもなぜかわかんないけど、あなたに攻撃する気が起きないのよね~」
「えっと、それってもしかして 俺のことを殺そうとしたんじゃ...」
「まあ、国家に引き渡すか殺そうとしたわ。こんな変態、消したほうが世間のためじゃない。
これでも私冒険者やってるの。 コネは結構あるのよね。」
背筋が冷える。
おそらくコンテストの仕様で俺に不利なことができないようになっているのだが、殺されそうになるほど、彼女からの信頼はないことが分かった。
信頼が低いことは知っていたが、まさかここまでとは...
なんとかこの状態を打破しなければならない、そんな気持ちが強くなっていく。
俺は話を逸らす
「そういえば、俺たちなんか命狙われてない?」
「あんたが狙われているんじゃないの?私違うところにいたはずなんだけどなんか急に戦わされて... まさか私をわざと巻き込んだんじゃないでしょうね?」
「俺のような変態が狙われる要素ある?」
「あなた、どっかの恨みでも買ったんじゃないの?」
「でもそれなら君と戦う意味なくない?君有名だし、狙われるとしたら君でょ?」
「でも私急にそこに...」
「君を召喚して殺そうとしたんじゃないの?」
「だったら私、あなたを巻き込んでしまったってこと?」
俺は彼女の小説を書いていただけはあり、ヒカリの性格は一部覚えていた。
そのことが、功を奏したのである。
ヒカリは「自分の行動」により周りの人をひどく気づつけることを許せない、根っから人のいい人なのである。
俺はそれを利用したのだ。
しかし、俺にだって良心がある。
昨日のこともあり俺の良心はとても傷んだ
「いや、事実僕も殺される心当たりがないわけじゃないし...
いや?えっちなことをしたわけじゃないよ?」
こうやって自分のせいに一部するのが今できる唯一の贖罪であった。




