謎に少女
その子を仮に謎の少女とでもしておこう。
俺はその謎の少女に見覚えがあるような気がしてそれを頑張って思い出そうとしていたが、結局目の前の幻にここまで脳のリソースを使うのはもったいないと思いやめた。
男子校に通っていたらこんな幻も観るようになるのか、と思い俺は幻に向かって手を伸ばす。
「俺も末期か、ついに少女の幻を見るなんて」
友達の前でよく言う冗談も、ここまで鮮明な幻を見ると自分が本当に末期なのかを疑う。
そんなことを言いながら男としての欲求に従いどうせ触れることのできない幻の胸にに触れようとする...なんと触れることができてしまったのである。
俺は勢いよく腕をひっこめた。
それは幻などではなかった。
その謎の少女は実際にそこにいたのである。
俺は言葉を失った、その時ばかりは頭が状況を理解することを拒んだ。
しかし時間は止まらない、次第に時間がたっていくばかりだった。
俺の中の理性は止まっていたが、知的好奇心が暴走し始めていた。
俺の手は、次第に謎の少女に触れていく。
はじめは触れてはすぐ引っ込んでを繰り返していたが、最終的には「これが、女性の体か」など思ったり、時には口に出したりしながら触れるようになっていた。
俺の知的好奇心が謎の少女の体から手を引き、さらに別のところに触れようとした直前、謎の少女は目を勢い良く開けた。
あまりにも勢いよく目を開けるものだから、俺は一瞬心臓が止まったかと思った。
そう、謎の少女の目が覚めたのである。僕の理性は一気に回復した。
幸いなことにその時は手を引いた直後だったため僕がじっと少女のことを見つめている構図になっていた。
謎の少女はじっと俺のことを見つめていた。
彼女はいったん目をそらして体を起こす、そしてまた濃く僕のことを見つめた。
そうして俺たちは見つめあっていた。これが恋愛的な意味だったらどれだけよかったことか。
最初に話し始めたのは謎の少女のほうである。
「あのー。ここはどこでしょうか?私が泊まっていた宿には見えないのですが...」
「...さぁ?」
もちろん俺も理解ができていないのでそう返した。
「まさか私を連れ込んで、何かえっちなことを...」
俺はど少し口ずまった。誓って彼女のことをえっちな目的で連れ込んできたわけではないし、そもそもなぜ謎の少女がここにいるかわからない。
だが、さっき行った行為は言い逃れができないものだったからである。
俺が黙っていると彼女は
「キャーッ、助けてっ。襲われるっ」と声を上げ始めたので、俺は彼女を後ろからつかんで口を手でふさごうとしたが謎の少女はとてもすばしっこく失敗してしまった。
「親が来たらどう説明するんだっ」俺はそう言い謎の少女が黙ることを強く願った、その時だった。
彼女は叫ぶのを急にやめ黙ってしまった。
その顔を見ると、何か言おうとしているが何か強い力で口が押されているのか口がもごもごと動いていており、涙目になっていた。
俺は不覚にもすこしそそってしまったが、さすがに理性が勝った。
「いったん落ち着いて話そう。」
そう言うと彼女はやっと口が開けたように「はぁ はぁ」と息を整える。
「君は一体、誰なんだ」
しかし彼女は何も言わずに僕を睨みつけた後、近くの窓をめがけて走っていき窓を開けてそっから飛び降りた。
俺は慌てて追いかけて窓の下を見たがもうすでに彼女は走り去っていた。
「マジで何だったんだ...」
先ほど彼女が叫んでいた部屋とは打って変わり、部屋がシーンとした。
そうして呆然としていると、ドアが開いた。母が来たのだ。
「なんであんたまだ出発してないのっ」
やべっ、学校忘れてた。当たり前だが今日は学校があったのだ。
時計を見るともう8時を過ぎている。
急いで朝支度を終わらせた後、学校へと走っていく。
今日はついてないな...
そう思うのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
学校についたら、案の定遅刻であった。
教師に寝坊であることを報告し朝のショートホームルームを終わらせる。
朝のことでどっと疲れた俺がうとうとしていると、いつも話している友達、田中 大翔が俺の席の近くに来て話しかけてきた。
「お前、昨日何時に寝たんだよ」
「まぁ、いつも通りだよ...」
「なんかいつもより疲れてそうだけど?」
「あのなぁ、ちょっと聞いてくれよ。実は今日の朝起きたら隣に謎の少女がいて...」
「あー。で、まず彼女に何させたんだ?例えば(R18)や(R18)とか...」
「絶対信じてないだろ...」
「いや、ついにお前が妄想癖に目覚めたかと思って」
まぁ、確かにおかしいよなぁ...と思った。
そのあと、話題を変えて話していたところ、田中がありがたい情報をくれた。
「お前遅刻してたから聞けていなかっただろうけど、一時間目自習だよ」
「まじ!?」
朝の一件で疲れていたので一時間目の自習はゆったりと休めそうだ。
しばらくすると一時間目となり、田中が席戻った。
少ししたところで俺は眠りに落ちた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
夢の中はとても真っ暗な空間であり、なぜか夢だと認識できた。しかした例えばネズミーランドに行きたいや空を飛びたいと思ってもすることができない。
明晰夢の話は嘘だったのか...
あれ、おかしいな。今日は十分寝たはずなのに。というか夢を見るのって珍しー。
そしたら急に上から声が響いた。
「ははっ、やっぱり。何のコンテストに参加したのかの自覚もない。」
声がしたほうを見ると、そこには大きな翼を持つ人がいた。
天使、それが第一印象だった。




