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百ニャン一首 ―まこと継ぎし猫たち―  作者: くろのぼっち


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序章 第二話:衝撃は好ましく

※この作品はフィクションであり、一部史実をもとに創作しています。


新たな出会いは、突然やってくる――。


第二話では、新たな鍵を握る少女が登場します。

※この作品はフィクションであり、一部史実をもとに創作しています。



「リン様、少々お待ちを」



ばあやはそっとリンの手を離すと、


柔らかな微笑を浮かべ、静かにみことのもとへと歩み寄った。


リンはその背を目で追いながら、小さく首をかしげる。



「ん?……誰じゃ?」



みことと短く言葉を交わしたあと、


ばあやは再びリンのもとへ戻り、静かに振り返る。


そしてみことに向け、まるで“舞台の幕開け”のような紹介を告げた。



「葵生様、ご紹介申し上げます。こちらが、彩音リン様でございます」



リンは紹介を受け、小さく会釈をする。


その仕草に呼応するように、


薄紫がかった銀の髪がさらりと揺れ、淡い光を反射する。


そして目が合った、その瞬間――



「なんじゃ? えらい顔が赤くなっておるのう……?」



みことは、全身を硬直させていた。


目を見開き、口元に添えた手がわずかに震え、膝も小刻みに震え続けている。



「み、みこと様! 大丈夫でございますか?」



あまりの挙動不審ぶりに、側仕えがあわてて駆け寄るが、


みことの耳には届いておらず、


その視線はリンを“ロックオン”したまま動かないどころか、


体中の熱が一気にこみ上げ、意識が飛ぶのを必死に繋ぎとめているようだった。



「だッ!だ大丈夫ですわ〜ッ!


こ、この程度のことで、取り乱したりなんていたしませんことよぉ!」



(か、かわ……ええ!? な、なんですの、この愛くるしい小動物はっ!?

前に見かけたときより……え? 可愛さが増している? ……ってか制服っ!

ぐほッ……破壊力ありすぎですわッ!)



――みことは中学一年の頃にパーティで一度だけ、


リンを“見かけた”ことがある。


ばあやに手を引かれ、社交の場だというのに、


ゴスロリ衣装で現れた少女の姿が、脳裏に鮮烈に焼き付いていたのだ。


その衝撃的な容姿に、激しく見悶えてしまった記憶は内緒。



(あのときも危なかったですが……こ、今度は制服姿っ!!

耐え……耐えなくてわ!!)



急激に荒くなった呼吸を整え、暴走しそうになる煩悩を紙一重でねじ伏せるも、


視界の端で、リンが小さく瞬きをするたびに胸が破裂しそうになり、


制服の裾が風に揺れるたび、心臓の鼓動が跳ね上がるという、


心と体でギリギリの攻防戦を繰り広げていた。


――そんな空気の中、登校中の新入生たちも異様な気配に気づき、


足を止めてざわつき始めていた。



「……うわ、何あの美少女コラボ……」

「ええ!あの子、かわいい……」



小さな囁きが波紋のように広がっていくも、


昇天状態のみことは、自分の世界に浸っており全く意に介していない。


しばらくして、なんとか自我を取り戻したみことは、


衝動的にリンのもとへと駆け寄っていた。



「葵生みことですわ! お、おとも、だっ、だち……!?


こほんッ!……お友達になって差し上げても、よろしくてよっ!」



財閥の淑女が、初対面の挨拶でいきなりお友達宣言――


周囲の空気が一瞬止まり、ばあやの口元には小さな笑みが浮かぶ。



「みこと様、よろしければこれからリン様と同行していただけませんか?


できれば……“本日からの学園生活もご一緒”に」


「はッ、はい!喜んで!!」



みことの声は弾み、瞳は宝石のように輝いているが、


この時、完全に昇天中だったみことは、“その一言”に気づけなかった。


ばあやは静かにうなずき、リンに話しかける。



「リン様。“本日からの学園生活は、みこと様とともに”お願いします。


それでは“安心して”……いってらっしゃいませ」



お辞儀をするばあやに、リンはほんの少しだけ戸惑いながらも、


こくんと頷き、そしてみことを見上げる。



「よろしくな、みこと。……中に入るのじゃろ。手を繋ぐか?」



反則級の上目遣い――発動。


その瞬間、みことの視界は真っ白になり、同時に脳内で鐘が鳴り響いた。


(ありがとう〜ッ! お父様お母様ぁ!

わたくしを、この世に生んでくださってありがとおおおおお〜〜〜っ!!

とっ尊ぇぇ……!)



その後ろで、側仕えは心配そうな表情を浮かべながら、


二人の背を見送るのだった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


「百ニャン一首」は、じわじわと進行していく物語です。

今回のような出会いも、ただのギャグでは終わりません。


登場キャラが揃い始め、少しずつ物語の“芯”が見えてくるはず。

気長に、でもしっかり楽しんでもらえたら嬉しいです!

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