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面倒事

side北条 源四郎


なんじゃったんじゃあの化け物は

ワシの術が効かなかったぞ


ワシ、一応陰陽連最強よな?


陰陽連当主から「強すぎてパワーバランスおかしくなるから直接介入禁止」とされているアンタッチャブルよな?


北条家当主を譲ってから隠居していたとはいえ、

術の精度は衰えておらん


あんな化け物が生まれるなんて、最近誰かタブーを犯しておったかのう?


タブーと言われる行為を犯すと何処からともなく強者がやって来る。


その法則性はわからないが、因果律のようなものが働いており、避けることはできない。


いくつか過去に起きたことからタブーを見つけ、禁止しておるが、意図せず起きてしまったり、

そもそも非正規の者たちは守る気がない


世界大戦時は何処の国も勝つためならタブーを簡単に犯しておったから大妖怪と呼ばれるものが、現れては消えていった。


じゃが、あの化け物は、そんな大妖怪でさえ、霞む妖力を内に秘めたナニカじゃったぞ...


「どうしたの?お爺様」


一人恐々としているといつの間にか孫娘がやってきておった


「おぉ〜、梓、よく来たね。いやちょっと考え事をね」


梓は馬鹿息子が不倫してこさえた不義の子じゃ、


じゃから苗字も北条ではなく母方の名字の姫乃、

姫乃梓じゃ


才能があったが故に本家に迎え入れられたが肩身の狭い思いをしているため、よくワシの家にやって来る


ワシの家で梓に手を出す馬鹿者はおらん


ワシが梓を溺愛しているのは周知の事実じゃからの


にしてもあの化け物は何ゆえ梓を尾行しておったのかの?


梓の命を狙うものかと思って全力で逃げた者たちを追っていったがついた先にはあの化け物がいて内心焦りまくりじゃったわ


サトリの血を引いた北条家相伝の術式、第三の目、

相手の魂を見ることで思考を心の中を覗くことができる


誰にも抵抗できない術だと思っどったんじゃがのう〜


焦りに焦って、当初の目的の“梓ちゃん狙ったやつ絶体許さんぞ!依頼主は誰だ?!”って聞くのは忘れてしもうたわ


一応勧誘しといたし、仲間になるなら心強い


そうでなくとも

陰陽連に報告しといたら他の派閥が勝手にちょっかいかけるじゃろ

ヤツの対応を見みてから対応は考えようかのう


「お爺様?聞いていますか?」


おっと、何か話しかけていたのか、考えるのに夢中で気づかんかったわ


「すまんすまん、なにかの?」


「もうっ!」


ぷりぷりと怒っている可愛い孫娘に癒されとると梓はとんでもないものを出した


「これ見て!凄くない?!」


一見するとただの銀でできたイヤーカフ、

しかし...


「これ、邪気が全く無いの!普通、物にはもともと魔力が少量宿っていたり、それまでの持ち主の魔力がちょっとずつ溜まっていくでしょ?それが無いの!」


そう、人の手が加わっていない物ですら魔力を持っており、他の魔力に反発する


その際に発生するのが邪気、邪気は道具に負荷がかかっているという証拠なので、溜まりすぎると道具は壊れてしまう。


だからと言って邪気を取り除く方法なんぞ無い。


なのにこのイヤーカフには魔力が全く無いので、

術の媒介にしたら物理的損傷以外で壊れることは無いということ


そして、使い続けていれば自身の魔力に染まっていき、自分専用の最高の法具になるだろう


「そっ、それはどうしたんじゃ?!」


「落ち着いてお爺様、これはクラスメイトがくれたのよ。しかもこれ一つだけじゃなくて自分で作ったって言って、他の女の子にも同じの渡してたわ。」


「い、いくら払ったんじゃ?」


こんな凄まじいもの、ものすごい金額を請求されたのでは?


「クラスメイトがくれたって言ったでしょ!

その子は陰陽師じゃ無いわ」


「?じゃが...」


「その子はいっつも謙虚でね、きっと欲なんか無いのよ」


「梓よ、お主にそれを渡した子は絶対に普通の子じゃないぞ」


「特殊な体質とかじゃない?」


「まあいい、予定が合えばその女の子を家に連れてきてくれないか?」


「?女の子じゃないわ、男の子よ」


「絶対に連れて来い!誰彼かまわず女性に贈り物するようなチャラチャラした男となんて、

み、認めんぞー!!!!」


「?連れてくればいいのよね?明日誘ってみる」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

どうしてこうなった?


「ねえ、ねえ、一希くん!今日、放課後空いてる?」


クラスのみんなの視線が一気にこちらを向く

「なんで一希なんかを誘ってるのかしら」ヒソヒソ

「アレじゃない?タダで貰っちゃったけど、

アクセサリーの純度かなり高いものだったらしいから、それ知って申し訳ないと思ったんじゃない?」

ヒソヒソ


女子の目はまだいい、問題は男子だ


「あの野郎、もので姫乃さんに迫りやがって」

「汚ねえ」

「陰キャが、ふざけやがって」


ヒソヒソすらせずに殺意を向けて来る


特に梓ちゃんのことをかなり好きで、

この間振られたらしいヤンキーくんの目がやばい


彼は特に陰陽師と関わりがあるわけでは無いようだから命の危険どうこうは問題ないんだ


だからって面倒ごとになるとわかってそれに突っ込む気はない


「ごめんね、今日は予定があるんだ。何か頼み事?」


「うん、お爺様がね、この間のアクセサリー見せたら呼んできなさいって」


「えっ、お、お爺さ、ま?」


クラスで唯一確定陰陽師の家系のお爺様ってそりゃ陰陽師でしょ


爺さんの陰陽師...嫌だなー心当たりがあるぞー


でも、あの翁、北条って名乗ってた

ワンチャン違う可能性...


裏の世界で長年生き残ってきたなら大差ないか、


「そうなんだ、よくできてたってことかな?」


「ううん、それもあるかもだけど、男の子からプレゼントもらうと、その男の子呼び出して2人で話した後に怒鳴って追い出しちゃうんだよね。

多分これもそうだと思うよ」


なにその娘はやらん的なやつ!

クラスの男子の一部が納得をしたかのような顔をして頷いている


さてはお前ら経験済みだな?!


まあ、そうか、

姫乃さんは美人で、毎年誕生日パーティーをするくらいだ


なのに男子からのプレゼントは異様に少ない


ヤンキーくんも周りの男子から話を聞いて

今度はニヤニヤしながらこっちを見てる


「そっか、でも予定あるしさ、それに僕たち受験生じゃん?今年中はあんまり会うのは難しいんじゃないかな?」


「でも、連れて来いって言われてるの、

今日の予定って何?物によっては何とかできるかもでしょ?」


さすが望めば何でも叶う誰か()が何とか()して叶えてくれるだろうお嬢様は引くことを知らない!


三十六計逃げるに如かず

魔虎が、僕の食欲を刺激してお腹を鳴らせる


「お腹減ったし、購買行くから話はまたあとでね!」


よし!完璧な流れ

後ろで何か声が聞こえるけど購買の周りはいつも通りうるさくて何も聞こえない


それから下校時刻まで何とか梓ちゃんを躱しきり、

下駄箱とかで出待ちされる前にさっさと帰った


雨が降っているが関係ない

傘なんてさしてる暇はない


家に着いた時にはもうびしょびしょ、

明日は風邪で(実際には魔法で保温していたから大丈夫だが、)休めるな


お見舞いに来ようとしても、僕の家を知っている者などおるまい...


悲しくなんかないよ


そもそも実家から離れて暮らしてるから小中の友達なんて勝手に疎遠になっただけで元からいなかった訳じゃないし...


ごめんウソ、ちょっと寂しい


高校デビューとか考えてたんだけどね

みんな近くの中学から来たから派閥とまでは行かなくてもグループは出来てた


じゃあ、どこかのグループに入れよと思うかもしれないけど名前がねー


さっきのヤンキーこと若井一樹、そう、いつき

僕と同じ名前だ


オタクグループに入ろうとしたけど、間違えやすいから若い樹ってことでヤングな樹、ヤンキーってあだ名で一樹のことを呼び始めたから


怒ったヤンキーはオタクたちをボコし、原因になった僕を孤立させようとしてくる


僕は心の中で使っているだけなのに...


いつの間にかヤンキーって名前は僕が考えたみたいになって、

みんなからクズ扱いをされている


先生たちも僕を不良少年枠に入れているっぽくて

腹パンも、イジメにはならない、反撃してないのに殴り“合い”の喧嘩ってことになる


まあ、だからヤンキー以外に絡まれたりはせず、

腹パン以外のことはされないから、

オタクたちはカツアゲもされていることを考えると

マシな方だ


不満はあるけどね!


明日は紅鈴に体温を上げてもらおうかとも考えたが、自分で魔法を使うことにする


僕の存在は裏の世界にバレているし、何より紅鈴は少し頭が弱い


鳳凰の見た目で偉そうに振る舞うが、頭は鶏なんだ


目を閉じれば女帝ボイス、でも目を開けたら、

先輩眷族に馬鹿なこと言ってボコボコにされている


そして3分後には何でボコボコにされているのか忘れて僕に泣きついて来る


眷族(子供たち)について話し始めると長くなってしまうからやめるが、


結局、問題を解決する一番良い方法は

梓ちゃんのお爺さんに会って、そのことを

梓ちゃんが誰にも言わなければいいんだ


みんなからすればお爺さんが怖くて逃げた臆病者に見える


クラスでは天然に見える梓ちゃんも陰陽師だし口は硬いはず...


あ゙ぁー、難しいことを考えるのは向かないや

同じようなことを堂々巡りで思いつくだけで最後は流れに身を任せるしかないんだから

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