四 2人目、現る
超超超素人作品です。文法がおかしいところ多々あり。それでも良いよって方のみ閲覧お願いします。
2021年4月3日明け方……
カァーッ!! カァーッ!!(カラスの鳴き声)
朝、俺はいつものようにうるせえカラスの鳴き声で目を覚ます。これの所為なのか、これのお陰なのかは分からんが、いつも朝の5時くらいには目を覚ます。眠いし二度寝する時がほとんどだったが、流石に今回だけは二度寝が出来ない。
何故なら今日は、ついに清瀧学園の入学式の日であるからだ。正直、留年や退学する奴が多いって聞いた時は行くのやめようか悩んだ。それはもうものすごく。けど、流石に自分で行くって言った以上、入学式ぐらいは出た方がいいという結論に至ったわけだ。
「……着替えるか」
そうして俺は、その辺に放っておいた制服を手に取り、着替えを始める。実際、貰ってから試着なんて一度もしてなかったわけで、今回が初めての着用となる。
「うわ、似合わねぇ……」
いざ着てみた結果、サイズは問題無いが、絶望的に似合っていない。服の種類は確か……
「えっと? 紺色?のブレザーとズボンに白のワイシャツ、あとは……水色のネクタイ? ネクタイなんざ結んだことねぇよ」
だがまあ、だからと言ってつけないわけにもいかない。俺は申し訳程度にネクタイを首に巻きつけ、それっぽくした。
「時間は……分からんな」
とりあえずまあ、出るとしよう。どうせ此処で出来ることなんて寝るくらいだからな。
* * *
昨日までと今日で違うことが一つ。それは、俺が今いる場所が東京であることだ。
元々俺は千葉出身なため、今までは千葉にある廃屋などで生活していた。しかし、学園自体は東京の中心部近くにあるがゆえに、一晩かけて東京に訪れ、偶然見つけた廃ビルを寝床にしていた。
「……って、んなことはどうでもいいんだよ」
そんなことよりも重大な問題に俺は気づいてしまった。
「……道、分かんねぇ」
そらそうだ。今日初めて学園に行くのだから、道など分かるはずもない。参ったな、このままでは入学式に遅れてしまう。
「ヤッベェな、つーか学園の場所とか教えとけよ。聞かなかった俺も俺だが」
このまま立ち止まってても時間を無駄にするだけだが、道がわからない以上その場をウロウロと歩き回ることしかできない。どうしたものかと悩むその時だった。
『ニャー』
突然、俺の足元に1匹の黒猫が擦り寄ってきた。
「……あ? なんだ?」
『ニャー、ニャー』
しきりに俺のズボンを引っ掻く黒猫。
「おいやめろ。今日着たばっかのほぼ新品なんだよ」
そう言って手で追い払おうとするが、猫は特に気にすることなく引っ掻き続ける。流石に動物相手にマジギレすることじゃないしと思い、俺はその場で立ち尽くしていたのだが……
『ねぇねぇ! そこの君!』
真正面から俺に向けて呼び声を放つ男たちが見える。『黒猫を見ると不幸が訪れる』みたいな迷信が確かあったが、まさか自分が身をもって体験することになるとはなぁ……
そんなことを思いながら、ズンズンとコチラに進んでくる男3人の方に目を向ける。面倒事じゃなきゃいいけど……
「……何?」
『いやぁ、急にごめんね? 実はその黒猫にちょ〜っと用があってさ!』
俺に話しかけたのは金髪で耳にピアスを大量に付けている男。男はヘラヘラと笑っていたが、後ろの2人は妙にキレたような顔をしている。
「……ただの猫に?」
『いやさぁ、ね? その黒猫が俺らのズボンを引っ掻いたり、挙句の果てには靴に小便しやがったのよ!』
ふむふむ。
『だからさ? すこ〜しお灸を添えなきゃいけないよなぁって!』
表面ではヘラヘラと笑っているが、その言葉には確かに怒気が含まれていた。要はなんだ? この猫に自分のお気に入りのズボンを傷つけられたから、そのお返しとして痛めつけようってか?
「……ちっさ」
『……は?』
あまりのしょうもなさに思わずニヤけながらそんなことを呟いてしまった。
「いやなに、たかが猫にズボンを傷つけられただけでそこまでキレるとか、随分と器の小せぇ男だなって思って」
そう言った瞬間、男が俺の胸ぐらを掴み怒鳴る。
『ああ!? テメェこそ随分と生意気だな!? こっちはオキニのズボンを汚されたんだぞ!?』
「それをやったのが人間ならまだしも、猫なんだろ? たかが動物のやること。ムカつくことはあれど、んなマジギレするほどのことじゃねぇだろ」
男どもの顔が怒りで真っ赤に染まっていく。変に挑発をしなければこんな面倒な事態にはならなかっただろう。しかし、言ってしまった以上は面と向かって対処しなければならないな。
『この野郎! ならテメェも一緒に痛めつけてやるよ!』
そう言って男は大きく腕を振り上げる。俺はすぐさま胸ぐらを掴む手を振り払い、そして拳を構えて反撃に転じようとした。
だが次の瞬間、男の腕は俺に向かって降りてくることはなく、男は勢いよく前のめりに倒れる。
『ぐあっ!?』
男は倒れ、そしてその後ろには1人の女が立っていた。妙に癖っ毛のある黒く長い髪に、黄色?金色?っぽい目をしている少女がだ。一瞬の出来事だったが、俺は女が目の前で倒れてる男の後頭部に向かって飛び蹴りを放ったのを確かに見た
「……は? え、は?」
あまりに予想外の出来事だったわけで、俺は少し混乱していた。そして、その女は無表情のままその場に突っ立ったまま俺の方をジッと見つめる。
「……な、なんだよ?」
身を少し後ろに引きながらも、俺は女を威圧する。
「……別に」
女は無表情のままそれだけ言い放ち、そして背後にいる残りの男2人の方に身体を向けた。
『このクソアマ! 何しやがる!』
そう言って片方のサングラスをかけた男が女に向かって大きく殴りかかる。しかし、女はそれを軽く躱し、そしてそのまま大きく足を振り上げて男の頭に攻撃する。
『ぐはっ!』
男はすぐに倒れたが、もう片方の太った男が大きくダイブしようとする。
『潰れて死ねっ!』
だがそんな攻撃も女は背後にジャンプして躱す。そして再び大きくジャンプし、男の後ろ首に踵落としを放つ。
『ゴホォッ!?』
あっという間に大の男2人をのしてしまった女。一体何者なんだ……?
『この野郎!』
するとその時、最初にやられた男が起き上がり、女を羽交締めにする。
「……ッ!」
流石に予想外だったのか、少女はその場でジタバタと動くことしかできなくなっていた。
『へへ、さっきはよくもやってくれたな? 覚悟しやがぐはっ!?』
俺は後ろから男の側頭部に蹴りを放ち、少女の拘束を解く。そして俺は倒れてるチンピラ三人衆に向かって言う。
「消えろ。じゃなきゃ俺に殺されて死ね」
その言葉を聞くと、男たちは『すみませんでしたぁ!』と言いながら逃げていった。
「……ったく、朝っぱらから迷惑なこった」
そうして俺は少女のいた方に目を向ける。
「お前も大丈夫だったか? 変にカッコつけてああいうのに手ぇ出すと痛い目に……」
件の少女はこっちに見向きもせずに、いつのまにか茂みに隠れていた黒猫と戯れあっていた。
「にゃー、もう大丈夫だよ」
『ニャ〜』
さっきの無双劇を繰り広げていた奴とは思えないくらいに惚けた顔をする少女。そもそも急に現れたが、コイツは一体なんなんだ……?
「おい、お前何者だ?」
俺の言葉に反応し、ゆっくりと立ちあがる。よく見ると女ものだが、少女は俺と似た色合いの制服を着ていた。
「……お前も清瀧学園の生徒なのか?」
そうしてしばらく黙っていた女が口を開き、言う。
「……私は、琥珀朧霞」
エグい苗字だなと思っていたが、次の瞬間、度肝を抜かれる。
「私立清瀧学園に特別枠で入学する者。__あなたと同じ、黒峰霧矢」
最後まで読んでいただきありがとうございます。