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二 対談

超超超素人作品です。文法がおかしいところ多々あり。それでも良いよって方のみ閲覧お願いします。

 俺の名は黒峰霧矢。自分で言うのもなんだが、市内で知らない者はいないと言われるぐらいには悪名高い不良少年だ。学校には行ってないし、なんなら半年くらいは少年院に居た。

 そんな俺は現在(いま)、俺の15年間の人生史上一番意味不明な状況に陥っている。


「さ、なんでも好きなものを頼んでちょうだい。勿論、私の奢りよ」


 そう言いながら目の前の女は俺にメニュー表を渡してくる。数分前、いきなり俺の目の前に現れたこの女は自分のことを清瀧学園の理事長だと言い、そしてどういうわけか、俺をその清瀧学園へ推薦入学させたいと申し出た。意味不明な状況の上に更に意味不明な申し出をされたのだから、当然俺の足りなさすぎる頭では情報処理が追いつかず、そして現在(いま)、その理事長とファミレス内で対面してるこの状況も理解出来ずにいた。


「どうしたの? 頼まないの? もしかしてもうお腹いっぱい?」

「腹じゃなくて頭がな! つーかなんでファミレスでお前と飯食うことになってんだよ!?」

「話しやすい場所に移動したかったのと、私がお腹空いてたから?」

「テメェの都合かよ!」


 そんな俺の怒鳴り声も一切気にせず、店員を呼んで注文を進める女。そして一通りの注文が終わった後、店員が離れたのを確認し、そして手元にあったバッグからファリングされた資料のようなものを取り出した。


「では、推薦入学の件について説明させてもらうわ」

「俺の都合とか完全無視なんだな……」


 もはや完全に向こうのペースに飲まれてしまっている俺。それでも気にせず続けようとする女。


「まず第一に、なんで貴方を学園生に推薦するに至ったのか……」


 そうだ、それが一番気になっていたことだ。多くの成績優秀者が通う名門校に俺のような問題児を入れる理由なんてどこにも無i…


「面白そうと思ったからです。以上」


 ……………………………………は?


「ちょっと待て! なんだそのふざけた理由は!」

「質問は後で。まずは話を聞いてちょうだい」


 有無を言わさない威圧感を前に、俺は思わず口を噤んでしまった。


「まあそもそも私個人が勝手に推薦しますって言ってるだけだから、当然貴方にはそれ相応の『待遇』と『条件』を与える必要があるの」

「……『待遇』と『条件』?」


 確かにこの推薦は俺が望んだものではない。だからこその措置が『待遇』なんだろうが、『条件』? 勝手に推薦されたのに何らかの制約が課せられるんか?


「まあそれは後で説明するとして」

「いやしろよ! 今絶対省いちゃ駄目なとこだろ!」

「ここまでで何か質問はあるかしら?」

「質疑応答に移んのが早ぇよ! 今まだ『興味本位で推薦した』ことしか分かってねぇからな!?」


 もはや店内とか関係なく怒鳴り散らかす俺に対し、目の前の女は優雅に紅茶を飲み続けている。


「あら? 貴方が知りたいのはそれだけで十分じゃないのかしら?」

「いやっ、それは……まあ、それはそうだけど……」


 言ってることは確かにその通りなのだが、だからといって一番重要な説明を省くのは、人を誘う身としてどうなんだ?


「質問が無いなら私がしてもいいかしら?」

「は? 別にいいけど……」

「じゃあ教えてくれる? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


 それは、恐らくこの女が今一番知りたい情報なのだろう。そんなものは決まってる……


「『入れない』、『入る気が無い』、『入る必要が無い』からだ」

「……それぞれの具体的な理由を聞かせてもらえるかしら?」

「おーいいぜ。それでは納得してくれるんならいくらでも話してやるよ」


 そうして俺は演説を始める。


「まず『入れない』。それは俺の学歴が入学基準に満たしてないからだ」

「……清瀧学園は、入学希望のある受験生なら無条件で試験を受けれるわ。だから……」


「そうじゃねぇよ。俺は中2の頃に通ってた中学を()()()()()()。要するに『退学済み』だ」


 俺は昔、流石に教育指導ではどうにもならないレベルの暴動を起こしたことが原因で中学を途中退学している。ただまあ、他にも色々とやってたからむしろ遅すぎたぐらいだけどな。


「……」


 その事実を突き付けられたはずの女は、それでも表情を崩すことなくコチラをじっと見つめていた。少し気味悪く思ったが、俺は演説を続けた。


「いくら『入学希望者受験OK』って提示しようが、中卒にすら満たしてない奴を入学させることは出来ねぇだろ? だがその受験生は中卒が大前提の奴らであるわけで、俺はまず受験生の立ち位置にすら立ててねぇんだよ」

「……そういうことね。それで、他の理由は?」


 この理由一つでも入学させることは無理だと理解できるだろう。他二つの理由を言ったところで、という状況なのに続けろと言うのか?


「……まあいい。じゃ次に『入る気が無い』、これはそのまんまの意味だな。そもそも、中学課程すら終えてねぇ奴が日本トップレベルの教育に付いて来れるわけねぇだろ」


 そして俺はそのまま最後の理由を述べる。


「最後に、『入る必要が無い』だ。さっき俺は勉強に付いて来れないと言ったが、それ抜きにしても俺に入学するメリットが無ぇ。学費も払えない上に勉強も出来ねぇんだから、結局退学オチになるから俺に得られる物は無い。だから必要が無いと言ってるんだ」


 そこまで言い終えると、しばらく席に静寂が訪れた。自分で言うのもなんだが、全て理にかなった理由だと思っている。


「……確かにそうね。それが理由なら貴方が入学を拒むのも納得だわ」


 女はようやく理解したらしい。むしろ最初から説明しとけばもっと早くに断れたかもしれねぇな、これ。


「やっと分かったか? 自分がいかに無駄で無意味なことをやっているk」

「それを踏まえた上で、『待遇』と『条件』を話させていただきます」


 嘘やん、まだ続けんの? もう諦めろよいい加減……


「もういいんじゃねぇの……? 早く帰りてぇ……」

「そういうわけにもいかないの。というのも、そもそもこの推薦は私の独断で決めたことだから、ここで貴方と対話してる時点で既に正規のルートから外れてるのよ」


 ……ん? え?


「はぁ!? テメェんとこの学園が俺を欲してるんじゃねぇのかよ!?」

「そんなことは一度も言ってないけど、理事長が望めばそれは学園全体が望んでることと同義だから問題無いわ」

「いや問題大有りだろ!! なんだその暴論!! いいのか!? 理事長がそんな勝手なことして!」

「いいから話は最後まで聞きなさい。あと理事長権限です」


 その言葉と人の都合を全く考えず自分勝手に行動する姿を見て思った。多分コイツは平気で部下をパワハラするタイプだ。


「本当はゆっくり説明したかったけど、時間が押してるから一気に説明させてもらうわね」


 そう言われ俺は店内にある時計を見ると、時刻は既に9時を回っていた。普段の俺なら飯食って寝てる時間だな。なんてことを考えてる俺を他所に、女は説明とやらをし始めた。


「まず大前提として、今回の推薦は特例中の特例。よって学費や制服代などの入学時に掛かる費用は理事長名義で全て負担、つまり免除です」


 あまりの大盤振る舞いにもはや声すら出なかった。だが、それだけでは終わらなかった。


「加えて、入学手続きは理事長の権利を使って全力でなんとかするので中卒でも問題はありません。学力面でも不安というのなら貴方専属の教師を付けましょう」

「いや、それは別に要らn」

「聞きなさい」

「はい……」


 さっきから真面目モードの時だけ厳しすぎねぇか? もうなんか反抗すらさせてもらえねぇし……


「これで我が学園への入学が『不可能』から『可能』に変わりました。次は『貴方が学園に通う必要性』についてですが……」


 そこまで言うと女は何故か意味深に微笑み、そして言った。


「もし貴方が、()()()()()()退()()()()()することなく卒業できた場合、()()()()()()()()()()()()()()


 提示されたその待遇は、俺にとっては破格の条件と恩賞だった。


「……いくらなんでも大盤振る舞いすぎねぇか?」

「そんなことないわよ? ただ私個人の勝手な推薦で入学させるなら、これくらいの待遇は『必要』でしょう?」


 それは確かにそうだ。というか自分勝手の自覚あったんだな……

 とはいえ、俺の中で『入る』と『入らない』の2択が天秤の秤に乗せられているのは事実。入学し、一度も留年や中退をしなければどんな願いでも叶えることが出来る。だが流石に勉強やらなんやらを頑張るのは俺の性に合わない。


 だが考えてみろ霧矢。このまま今の生活をし続けてもいつかは野垂れ死ぬ。ならせめて最後に『思い出作り』と称して入学してみるのもいいかもしれない。


「……本当に、なんでも聞いてくれるんだな?」

「ええ。()()()()()()、ね」


 足りない頭で色々と考え、そして苦悶の末に至った結論は……


「いいぜ。入学してやるよ」


 それが長考の末に辿り着いた、俺の答えだった。


「フフ、そう言ってくれると思ってたわ♪」

「ハッ! どの口が言うか」


 そこからはトントン拍子で話が進んで行き、そして用意された契約書にサインをし終えたところで店を出た。もちろん、会計は女……理事長が全て払った。


「じゃ、後はこっちで諸々の処理は終わらせておくから、今日は帰りなさい」

「ああ」


 そうして俺たちは互いに別方向へと歩を進めた。


「あ、そうそう!」


 が、何故か理事長は急に俺を呼び止めた。


「なんだよ、まだ何かあんのか?」

「私の学園、毎年学年に十数人くらいは退学者か留年生が出るから!」

「は? ……………………は!?」

「頑張って卒業してね、黒峰霧矢くん♡」


 それだけ言い残して、理事長は足早に去って行った。そして一人残された俺は早くも入学したことを後悔し始めていた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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