表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/15

十五 7日目は厄日

超超超素人作品です。文法がおかしいところ多々あり。それでも良いよって方のみ閲覧お願いします。

 やはり時間というのはあっという間に過ぎ去っていき、気がつけばタイムリミットの7日目となっていた。


 2〜3日目までは襲ってくる奴らがうじゃうじゃと湧いていたが、それ以降は徐々に少なくなっていき、今日に至っては特に襲われることなく学校まで辿り着けた。

 いつものように生徒玄関の前で秘書が立って待っている。もはやこの光景にも慣れつつある自分に驚きだ。


「お疲れ様。あとは任せて」


 そうして秘書が会長を連れて校内へと消えていく。


「……これで終わり、なのか?」

「……うん」


 理事長の話通りなら今日で全てが解決してるはずだから、俺たちの役目はここで終わりってことになる。


「……」

「……」


 朝の騒がしさの中、俺と琥珀朧の間に気まずい空気が流れる。この1週間、特に何か話すわけでもなく、ただただ同じ役割を果たしていただけだからな……


『__あの子を傷つけたら、容赦しないから』


 あの女の言葉が今でも頭の中を響かせている。結局、琥珀朧と生徒会長の関係は未だ分からずだし、初日にされた警告以降、向こうから俺に話しかけてくることはほとんど無くなった。まあ俺も特に話したいこと無いからいいんだけど。


 ……琥珀朧に聞けば教えてくれるか? いや無いな。そもそもコイツらがどんな関係だろうが俺に何かあるわけでもないし、別に聞かんでええか。


「……何してるの? 教室行くよ」


 ぼーっと考え事をしてると、すでに琥珀朧は自身の下駄箱へと歩いていた。


「へいへい」


 俺は返事をしてすぐに下駄箱へと向かう。兎にも角にも、これでもうテキトーに学園生活をするだけの日々が戻ってくるわけだ。そう前向きに考えよう。


「……」


 ⌘


『はい、今日の授業はここまで。予習復習を怠らないように』

『起立。礼』


 それからというもの、特に何事もなく2限の授業が終わる。やっぱり授業を受けるのはダルい。もう30回くらい寝落ちしそうになったし。


「……はぁ」


 溜まりに溜まった疲れを吐き出すようにため息をつく。一年半くらい学校行ってなかった所為なのか、元々の性格なのかは知らんが、少なくとも小中通ってた頃はそれほど授業を苦と思ってなかった気がする……


 それとどういうわけか、さっきからクラスメイトからの視線がこちらに向いてる気がする。なんで?


『聞いた? あの二人が生徒会長と登下校一緒してるって話』

『黒峰くんの方は会長と二人っきりで密会してたとか』

『琥珀朧さんはともかく、黒峰はどうやってあの生徒会長とお近づきに……?』

『会長の弱みでも握ったとか?(笑)』

『いや無いだろ。会長に限ってそんなこと』


 わざと聞こえるように言ってるのか、全部丸聞こえだ。実際は理事長からの無茶な依頼で付き添う感じになってただけだが、それも今日で終わりだ。そんな噂話はすぐに消えるだろう。


「みねっち、なんだか大変なことになってるね」

「真横からほっぺを(つつ)くな」


 いつの間に俺と琥珀朧の間に来ていた天水。「つんつーん」とか言ってずっと俺の左ほっぺを突いている。


「そもそも大変って何がだよ。別になんも支障無いだろ」

「いやいやいや。みねっちが不良って噂流れてるからこんなことになってるんだよ?」


 なんだそれ、初耳なんだが。だがまあ間違ってはいない。世間一般的に見れば俺は紛うことなき不良だからな。


「……珊瑚、その噂について詳しく」

「え? 確かね、みねっちが大人相手に殴ったり蹴ったりするとこ見たって人がちらほらと」

「……黒峰くん」


 ジト目で俺を睨む琥珀朧。睨まれても心当たりなんざ……


「……どれだ?」


 ある。なんなら有り余ってる。ほぼ毎日のようにボコしては勝利金としていくらか貰ってるし、そのことじゃなくても最近はあの生徒会長のボディガードとして何人かとやったはやったが……


「まあでも、俺が不良ってのは合ってるぞ」

「認めちゃうんだ」


 軽く天水に引かれてる気がするが、その程度どうってことねぇ。むしろ今まで引かれなかったのがおかしいくらいだ。


「……ちょっと外出てくる」


 すると琥珀朧は席を立ち、そのまま廊下へと向かう。


「かすみ? あと5分で授業始まるよ?」

「大丈夫。すぐ戻るから」


 それだけ言って教室を出る。そしてどこに行ってたのか、入れ違いで金剛が教室へと戻ってくる。


「ん? 琥珀朧さんはどこに行くんだ?」

「さあ? まあ多分すぐ戻ってくるっしょ」

「そうか? ならまあいいか」


 特に気にしてないのか、それとも単純な頭をしているのか。金剛はそれだけ言ってこちらに向き直る。


「それより、霧矢! 天水さん! お互いそれなりに親しくなったわけだし、今度の週末にd」



ドゴンッ!!ガラガラガラッ!!!!!!!



 金剛が何かを言おうとした瞬間、盛大に何かが崩れる音がする。俺らはもちろん、クラスメイトたちも何が起きたか分からずに戸惑っていた。


「なんだ!? なんだ今の音は!?」

「びっくりした〜……!」


 金剛も天水も困惑状態に陥っている。

 その時、狙ったようなタイミングで放送のチャイムが鳴る。


『えー、教頭の渡邉(わたなべ)です。ただいま正門付近でトラックの荷台が横転する事故がありましたが、幸い人的被害はありませんでした。ご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ございません』


 ふと外を見ると、本当に正門付近でトラックが倒れていた。放送が終わると同時に、クラスメイトたちは安堵のため息をつく。


『なんだ、焦った〜!』

『こんなことホントに起きるんだなぁ』

『ま、誰も怪我してないならよかったね』


 いやよくねぇだろ。大事故起きてんだぞ。


「トラック横転だって。怖いね〜」

「だな。しかし、どんな大荷物を運んでたら横転するような自体になるんだ……?」

「……」

「…? みねっち?」

「どうした霧矢?」


 俺はとある違和感を覚えていた。……おかしい、確かに正門は俺らの教室からでも見える。それでもそれなりの距離はあるはずだ。


(____()()()()()()()


 俺はさっきの状況を頭の中で振り返る。大きいいというより、間近で起きたような感覚。わずかに感じた振動……


「……下か?」


 清瀧学園の校舎は、正門から見て横に長く、縦に3つ並んでいる。正門から見て手前の校舎が1年の教室がある棟。

 俺たちの教室は3階。下の1、2階にあって、かつこの教室から近い部屋……


「……ッ!」


 それに気づいた瞬間、俺はすぐさま教室を走り出る。


「霧矢!? どこに行くんだ霧矢!!」


 金剛の声を無視して俺は階段を飛ばし飛ばしで降りる。この学園にある教室全部を把握してる訳ではないが、その中に唯一分かる教室があった。

 違う教室かもしれないが、もし何かあるとすればそこ以外に思いつかない。


 ⌘


「着いた……!」


 俺は唯一の心当たり、生徒会室の前まで来る。

 そして勢いよくドアを開けたが、俺はその光景に目を見開く。


「んだよ、これ……」


 棚に入ってたファイル類は床に散らばっており、机や椅子は所々に倒れていた。

 おそらく、奥にある窓を割って侵入してきたのだろう。床に散らばっているガラスの破片にわずかに血が付いている。

 ……素手で割ったんか?


(どちらにせよ、何かあったことに変わりはない)


 あの横転事故も生徒ら教職員の意識をそらして、ここでの出来事に誰も気づけないようにしたのかもしれない。


「だとすると……!」


 俺はすぐさま生徒会室を出てとある場所へと急ぐ。

 もう一つ違和感を感じたのが、横転事故の後にあった放送だ。事故が起きてから間を空けることなく放送が始まった。


(教頭は何か知ってるかもしれない……)


 俺は急いで教頭を探しに走り回る。


 しかし、どれだけ走っても教頭の姿が見えない。どこにいるんだよ……!


「……何をしてる」


 その時、背後から一つの声がする。

 慌てて振り向くと、そこにいたのは秘書だった。


「今は授業中のはず。サボりは感心できないな」

「秘書! いいとこに!」

「久遠先生と呼びなさい。というかいいとこって」


 俺は秘書の言葉を遮って、事の顛末を説明する。


「生徒会室が荒らされていた。あの横転事故に紛れて何か騒ぎが起きた可能性がある」

「……は?」


 何を言ってるんだと言わんばかりに目を見開く秘書。だが今はそこに気に掛ける余裕はない。


「教頭はどこにいる? ソイツが何か知ってるはずだ」

「教頭なら僕も探している。放送室に行ったきり戻ってこないから……」


 放送室か。戻ってないってことはまだそこにいるかもしれねぇな。


「放送室はどこだ!」

「落ち着け。そんなに気になるなら僕に着いてくればいい」

「……戻れとかは言わねぇんだな」

「真偽はどうであれ、少なくとも教頭の安否が分からない以上は下手に反論できないからな」


 そう言うと秘書は俺に「着いてこい」と言って、廊下を走る。


 しばらくして放送室の前に着くと、秘書はドアをノックする。


「教頭先生? いらっしゃいますか?」


 しかし、中からの返事は無い。


「いないのか……? 教頭先生!」


 何度も呼びかけるが、決まって返事は返ってこない。すると秘書はドアを開けようとするが、鍵がかかっているのか、ドアはガチャガチャと音を立てるだけだった。


「……おかしい。誰も中にいないなら、職員室に鍵が残ってるはず」


 顎に手を当てて何かを考える素振りを見せる秘書。


「どけ」


 そんな秘書をどかして、俺は思いっきりドアを蹴破る。


「おい! 何やってんだ!」


 バキッ!と鍵が壊れる音がし、思いっきりドアが開かれる。


 放送室の中には、縄で縛られて椅子に固定された教頭と、俺と同じ高校生くらいの男だった。


『は!? なんでここに人が……!』


 その男が何かを言い終える前に、俺はそいつの腹を思いっきり蹴る。


「教頭!」


 秘書は椅子に縛られている教頭の元へ向かう。

 俺は一緒にいた男を叩き起こし、その胸ぐらを掴む。


『な、なん……で、女一人攫って、終わりのはず……』

「攫った!? あの生徒会長をか!?」

『あ、ああ……攫ったら金をやるって言われて……』

「どこに攫った!! 言え!」

『分かった! 言う! 言うから殴らないでくれ!!』


 早く吐かせねぇと……! でねぇと俺が琥珀朧や理事長に色々文句言われる!!


『あ、あの()()は……』

「……は? 二人?」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ