十三 再び始まる非日常
超超超素人作品です。文法がおかしいところ多々あり。それでも良いよって方のみ閲覧お願いします。
そんなこんなで始まったボディーガード生活。
初日の朝。いつも通り歩いて登校している(らしい)生徒会長……斬華神天恵のすぐ後ろを俺と琥珀朧が歩く。
「なんで俺がこんな事を……」
「ホントにごめんなさい……」
愚痴をこぼす俺と、それに対し申し訳なさを感じている生徒会長。そんな俺たちをよそに、キョロキョロと周りを見回す琥珀朧。随分と真面目なこった……
「……黒峰くん」
すると突然、琥珀朧は俺に話しかけてくる。
「なんだよ。なんかいたか?」
また俺に倒させる気なのかと俺は身構える。しかし、琥珀朧は特に緊張めいた様子をしておらず、いつものような無をその顔に貼り付けていた。
「うん、猫ちゃんいた。煮干しあげてくるから回り見張ってて」
それだけ言ってすぐそばの茂みへと向かう琥珀朧。よく見ると、そこには1匹の茶色い野良猫が行儀良く座っていた。
「……自由すぎんだろ」
呆れる俺を横目に、生徒会長がクスクスと笑う。
「……なに笑ってんだよ」
「いや、霞さんは相変わらずだなぁって思っただけ。……君は、何か好きなものでもないの?」
上目遣いでそう聞いてくる生徒会長。さすが美人、相手がそこら辺の男なら即惚れだったろうな。
……なんだ即惚れって。
「………………喧嘩?」
「ああ……確かに好きそうね」
そこで会話が終わる。……いやマジで何話せばいいんだよ。お嬢様ウケする話のネタなんざ持ってねぇんだけど。
「ところで霧矢君。一つお願いがあるのだけど」
「……なんだよ」
生徒会長は真正面を指さす。
さされた方向を見ると、道路の脇に車を停め、いかにも強面な男たちがたむろしている。しかも見間違えとかじゃなくて、完全にこっちをロックオンしてやがる。
「あれ怖いから、ちょっと相手お願いできる?」
……断れないって分かってて言ってんのか?
「ハァ、ちょっと待ってろ。それか琥珀朧と猫でも見とけ」
「分かったわ。出来る限り早くお願いね」
そうして俺はその強面どものとこへ向かう。
「……なあ、アンタらここで何してんの?」
一応あの生徒会長の勘違いであることに賭け、試しに聞いてみる。ただ車停めて時間潰してるだけって可能性も無くは無いしな。
『あ? そりゃあお前、あの斬華神財閥の娘を攫うためだろ』
「正直で助かるわ」
というわけで、制裁開始。
⌘
『チクショウ! 覚えてろよぉ!!』
ありきたりな捨て台詞とともに車に乗って逃げ去る強面たち。……弱すぎてあんま面白み無かったな。
「おい。終わったぞ」
そう言って二人の方に振り向くと、どこから取り出したのか、猫じゃらしで野良猫と遊んでいた
「……おつかれ、黒峰くん」
「あら、もう終わり?」
まだ野良猫と遊び足りないのか、少し不満げに言う。人がわざわざ働いてやってんのに、コイツらは……!
「……もう、他にはいない?」
「ああ、いねぇよ。だからさっさと学校行くぞ」
「……ん、了解」
そう言うと琥珀朧は生徒会長を連れて再び歩き出す。さっさと一週間、終わってくんねぇかな……
* * *
「ハァ……」
教室に着いた瞬間、朝の疲れがドッと押し寄せて机に突っ伏した。結局、最初の強面ども以降、特に襲われることなく無事学校までたどり着けた。3年の下駄箱のある場所まで連れてったその後は、何故かそこに突っ立っていた秘書に任せることになっているらしい。
……一週間以内に解決しろって話だったけど、これでホントに解決するんか……?
「……クソ、なんで俺がこんな事考えなきゃ……!」
そんな愚痴をこぼすが、実を言えば俺は主犯格の大体の目星はつけれている。
中庭で生徒会長にこっぴどく振られた、あの副会長と呼ばれた男。どう考えてもアレが関わってるに決まってる。舌打ちしてたし。
……けど、ならなんで当事者である会長は何も言わねぇんだ? 『副会長からの嫌がらせの可能性があります』とでも言えば、あのイカれ理事長や秘書は真っ先に副会長をマークするだろ。
「……」
ま、そこら辺はどうでもいいか。正直なところ副会長が主犯であってほしいって願望がそう思わせただけで、実際に誰が主犯なのかは分からん。
「……考えても無駄だな。寝よ」
今はとにかく、さっさとこの一週間が終わってほしい。そんな思いのまま、俺は眠りにつく。
⌘
『1年A組、黒峰霧矢くん。至急校舎裏に来てください。』
そんなチャイムの声とともに目を覚ます。声の主はおそらく理事長だ。
時間はちょうど朝のホームルームが始まる10分前。そんな時間に呼び出すなよ。
「……みねっち、なんかやらかした?」
「知らんわ」
琥珀朧に抱きつく天水に心底不思議そうな目で見られる。どうせ生徒会長絡みのことなんだろうけど、他言無用って言われてっから、本当のことは言えない。
「ねぇかすみ。なんでみねっちが校舎裏に呼ばれたんだろうね」
「……さあ、誰かが告白でもしようとしてるんじゃない?」
「だとしたら公開処刑すぎでしょ」
すると琥珀朧は俺の方に顔を向ける。
「……ちゃんとやってきなよ」
「うっせぇ。分かってるわ」
そうして俺は教室を出る。……面倒だ。
「え、ホントに告白……!?」
「珊瑚。耳元で叫ばないで」
⌘
「やっと来たか。遅かったじゃないか」
校舎裏に来ると、そこにいたのは理事長の右腕である秘書。
そして、学ランを着た男たちの集団。
「この学校の校舎裏多すぎなんだよ! 場所分からんからそこら中走り回ったわ!」
実際、建物の数が多い所為で校舎裏と呼ばれそうな場所がバカみてぇに多い。散々走り回ったおかげで足はパンパンだし、春とはいえ気温はそれなりに高いから汗だくだし。
「大体分かるだろ。遅刻の言い訳はいいから、さっさと片付けるの手伝え」
話ながら襲いかかる学ラン男たちをボカスカと殴り倒していく。やっぱコイツ強いよな。力に自信のある俺ですらコイツの拘束からは抜け出せねえし。
「……あークッソ! 分かったよやってやるよ!!」
俺は秘書に加勢して、学ラン男たちを次々と薙ぎ倒していく。自身のイラつきを抑えるために、半ば八つ当たりのつもりで倒していく。ストレス解消はされないが、多少は発散されるだろう。
そしてしばらくして、騒ぎを聞いて駆けつけてきた警備員たちが学ラン男の集団を担いでどこかへ連れて行った。俺と秘書は若干服が乱れた状態で、その場に立ち尽くす。
「フゥ……さて、もう終わったから戻っていいよ。おつかれ様」
秘書はポケットから取り出したハンカチで汗を拭きながら、俺を置いてこの場を去る。
「……なんなんだよ」
俺は息を整え、秘書が見えなくなったのを確認してから教室へと戻るために歩く。ちょうど予鈴が鳴ったから、今から行けば1限の授業に間に合うだろう。
⌘
廊下を歩いていると、窓から花壇の列が見える。
「……」
花は嫌いだ。香水みたいな匂いがするし、無駄に明るい色が多いから見てるだけで目が痛くなる。
花壇には色んな種類の花が咲いているが、唯一分かるのはチューリップくらいだ。けどそのチューリップすら、赤、青、黄色、白色と無駄にカラフルに色づけられている。
(……目ぇチカチカしてきたな)
俺は窓から目を離し、再び歩き出す。
「うおっ!?」
その時、ポケットに突っ込んでいた右手首が何かに掴まれ引っ張られる。
俺を掴む手はすぐ右隣にあった一室から伸びていた。わけもわからず引っ張られながら、俺はその教室に転がり込む。
「……や。霧矢君」
俺の手首を掴んだ手の主が、目の前でその長い髪を耳に掛けながら話しかけてくる。
「……なんでアンタがここにいんだよ」
俺は目の前の人物……生徒会長、斬華神天恵を睨む。
「……少し、君と話がしたくてね」
生徒会長はクスクスと笑いながら、床に座り込む俺を見下ろしている。
……なんか展開早くね?
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