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十 日常の始まり

超超超素人作品です。文法がおかしいところ多々あり。それでも良いよって方のみ閲覧お願いします。

 キーンコーンカーンコーン.......


「今日はこれで終わり」

「つ、疲れた.......」


 およそ3時間にわたる勉強会に俺はすでに疲れ切っていた。まともに点数取れんし、琥珀朧は異様にスパルタだし……


「とりあえず、明日明後日もやるから」

「はぁ...? まだやるのかよ.......」

「当然。来週の授業開始までに、最低でも平均点は余裕で取れるようにするから」

「マジかよ......」


 さすがにキツイって。つかなんでコイツはこんなスパルタなの? 酷いのは自分でも分かってるけど、そこまで厳しくやる必要あるか?


「じゃ、また明日」

「おう......」


 勉強会が終わると、俺のことも気にせずにそそくさと去ろうとする。俺も帰るか......


「......あ、忘れてた」


 そう言うと琥珀朧は再びこちらを振り返り、俺のもとに来ると一つの箱を手渡してきた。


「...... なんだこれ」

「これ渡しといてって、理事長が」


 『理事長』という単語を聞いて一気に怪しむ。恐る恐るその箱を開けると、中から1つの黒い腕時計が出てきた。


「......時計?」

「多分、理事長からの入学祝いだと思う。私も昨日もらった」

「……なんで理事長が? 俺に対してそこまでする必要あるか?」

「それは私も思った」


 まあでも、貰えるもんは貰っとくか。売ったらそこそこいい金になるかもしれんし。


「……売らないでよ? 売ったら久遠さんに言うから」


 絶対に売らずに持っとこう。アレを敵に回すのは駄目だ。


「ちゃんと付けてきてよ。せっかく理事長からもらったものなんだから」

「お前に言われなくても付けてくるわ。どうせ確認されるんだし」


 俺がそう言うと、急に琥珀朧は分かりやすくムスッとした顔をして言う。


「……昨日から思ってたんだけど、それやめて」

「……は? 何をだよ」


 言ってる意味が理解できずにいた俺に、琥珀朧はさらに不機嫌そうな声で言う。


「『お前』とか『テメェ』とか。ちゃんと名前で呼んで」

「それをお前が言うか? お前だって『あなた』呼びしかしてねぇじゃねぇか」

「だから、『お前』って言うのやめて」

「ならそっちも変えろ。俺だけ変えんのはなんかムカつく」


 少しの間言い合いが続く。その後しばらく沈黙が続き、先に琥珀朧の方から口を開く。


「…………分かった。じゃあこれから『黒峰くん』って呼ぶ」

「分かったんならそれでいい」


 琥珀朧は渋々と苗字呼びに変えることを決意する。


「苗字で呼んであげるから、私のことは『霞様』呼ばせてあげる」

「呼ばねぇよ! なんでそっちのほうがランク上なんだよ!!」

「……じゃあ、『霞殿』?」

「変わんねぇよ!! 普通に『琥珀朧』でいいだろ!!」


 少し不満そうにしていたが、渋々と了承した琥珀朧。


「……じゃあ、それでいい」

「なら今後はそう呼ばせてもらう」


 そうしてこの日は解散となり、再び俺たちは別れる。


 *   *   *


 時の流れというのは早くて、気づけばあっという間に次の週の月曜になっていた。

 俺は今、入学して最初の授業を受けている。といっても、初回の授業ってのは大抵説明だけで終わる。ゆえに退屈なのだ。


「ふわぁ…ねむ……」


 大きくあくびをし、半目のまま教壇を見つめる。もういっそこのまま寝てしまいたいが、いかんせん隣が琥珀朧だから寝れない。

 しかし、退屈と思ってるのはどうやら俺だけではないようで、クラスメイトのほとんどは頬杖をついたり教科書をペラペラと流し読みしたりしている。

 ふと俺は琥珀朧の様子が気になり、横目でチラッと見てみる。


「……」


 琥珀朧は真顔のまま教壇に立つ教師を見つめている。窓から差す日の光も相まって、真面目に受けるその姿 中々には絵になっていた。


(……って、柄にもなくなに考えてんだ俺は)


 余計な思考を捨て去り、この退屈な時間が終わるのを待ち続ける。


 ⌘


 4時間ほど経ち、ようやく昼になる。教室内では机を合わせてクラスメイト同士で弁当を食べる様子がチラホラと見える。


「かすみ〜ご飯食べよ〜!」

「うん……」


 隣で天水と琥珀朧がいちゃついている。鬱陶しく思った俺は、自分の分の飯を買いに行くために席を立つ。


「……逃げないでよ、黒峰くん」

「逃げねぇっつってんだろ! 第一、鞄も置きっぱにして逃げる奴がいるか!」

「……ならいい」


 それだけ言うと、琥珀朧はそれ以上は言ってこなかった。

 俺はそんな琥珀朧を背に廊下へと向かう。


「お、霧矢! 一緒に飯でも食おう!」

「金剛か。……断っても着いてくんだろ。飯買ってくるから待ってろ」


 ⌘


 俺は購買へパンを買いに行く。その道中でいくつかの教室の前を通ったが、どこもかしこも派手な装飾だらけだ。結局いくらかけて建てたんだろうか。軽く10億は超えてるだろう……

 そんなことを考えながら中庭を通って購買のある校舎に向かっていると、とある光景が目に入った。


 その光景の中にいたのは二人組の男女。どっちも誰かは知らんが、女の方は俺でも目を見張るほどの美人だ。

 全体として白いが毛先が薄くピンク色に染まる髪。まるで宝石のように光を反射する灰色の目。遠目で見ても小柄だが、出るとこは出てる身体。まさに絶世の美女と言うべきか。

 一方、男の方はそこまで特徴的と言えるほどの容姿はしてないが、身体つきはガッシリしているし、髪も金色でオールバックというまさに陽キャラを思わせる姿をしている。


『会長。そろそろあの件、前向きに考えてくれましたか?』


 その光景に目を奪われていると、ふいにそんな話し声が聞こえてきた。


「何度でも言いますが、お断りします」

『えー、なんでですか!? 彼氏いないなら俺と付き合ってもいいでしょう?』


 ……なんの話かと思えば、単なる色恋沙汰か。俺は気になって耳を傾けてみたが、特に面白みのない内容に少し肩を落とした。


「私には今、色恋に時間を使う余裕が無いんです。副会長のあなたならそれも理解してるはずでしょう」

『もちろん知ってますよ〜! だから予約してんじゃないですか! あなたの隣を、ね♡』


 キショい。はっきり言って鬼キショい。というかさっきから会長副会長って、あれってもしかしなくてもアレ? 生徒会ってやつ?


「予約も受け付けてません。急いでますのでこの話はこれで」


 そう言うと、会長と呼ばれていた女はこっちの方に向かって歩いてくる。

 すれ違いざまに、ほんの一瞬目が合ったが、女は無視してそのまま校舎の中へと消えていった。


『……チッ』


 さっきの副会長と呼ばれていた男は舌打ちだけ残して中庭を去る。多分、下心満載で告白に、挑んだんだろう。


「……あ、パン買わねぇと」


 とりあえず俺はパンを買いに再び購買へと足を運ぶ。今見たことは忘れよう。というかどうせすぐ忘れるだろうし。


 ⌘


「お!やっと帰ってきたか!」


 パンを買って教室に戻ると、金剛が俺の席で待っていた。


「ホントに待ってたのか」

「当たり前だろ! 友達なんだからな!」

「お前の一方通行だけどな」


 俺は椅子に座って買ってきたパンを食う。その向かい側で金剛が自身のごっつい弁当を食っている。


「……よく食うな」

「ハッハッ! 飯は食えるときに食わないとな!」


 豪快に笑いながら飯を食う金剛。元運動部だったからってのもあるんだろう。


「黒峰くんと金剛くん、ずいぶんと仲良くなったね」

「ね〜、みねっちも満更じゃなさそうだし」

「いやいや! 琥珀朧さんには流石に敵わんさ!」

「だから別に仲良くねぇって言ってんだろ」

「珊瑚も金剛くんも見る目ない」

「かすみ、そこまで言う?」


 そんな雑談が延々と続き、気がつけばあっという間に時間が過ぎ去っていった。

 琥珀朧、金剛、天水。少なくともコイツらがいる限り、俺の学園生活に安寧は来ないだろうな……


 *   *   *


『クソッ! あの女、いっちょまえにお高くとまりやがって!』


 先刻、副会長と呼ばれていた男はどこかの路地裏で癇癪を起こしていた。彼は会長と呼ばれた女子生徒にフラれたことを根に持ち続けていた。


『あークッソ! 財閥の娘じゃなきゃ痛い目見せてやれるってのによ!!』


 彼が蹴ったゴミ袋が破れ、辺りにゴミが散乱する。

 そのうちの一つだった紙くずがコロコロと転がり続け、やがてそこに立つ1人の男の足元で止まる。


「お困りのようだね」

『……あ?』


 長髪のその男は、副会長にとある提案を挙げる。


「俺でよければ、その女の子の制裁に協力してあげよう。ただし、君も俺の目的のために協力するのが条件だ」

『は? いきなり現れて何言ってんだ? つかなんだよ? 目的って』


 疑心暗鬼になりながらも、副会長は目の男に問いかける。

 すると男はニヤリと不敵な笑みを浮かべて言う。



「よければ協力してくれないかい? __清瀧学園を、トップの座から引きずり下ろすためのさ」

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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