プロローグ 「世界」
「う、ここは…………」
気付いたら俺は、真っ暗な空間にいた。あれ? 俺はあの時…………
「ぐっ!」
その時、俺の心に痛みが走った。流れていく記憶たち、それは絶望だらけの、過酷な運命。それを乗り越えた先、わずかな光を見出した時、俺の運命はぷつんと切れた、はずだった。
『晴翔君、起きた?』
「この声は…………」
聞き慣れたような、でも懐かしい声。その声には少しの悲しみが含まれていた。
『晴翔君の人生は、今さっき終わったの。最悪の結末で』
「だよな、ほんとに…………」
うんざりするほどの記憶たち。自分たちのしてきたことすべて否定され、虐げられ、そして俺は、仲間たちを置いて逃げた。迫りくる運命から。
でも、それは終焉を延長させていただけであり、その後俺は少しずつ追い込まれ、最期は宿敵の手によって…………殺された。
「やり直したい…………俺にもっと強い力があれば……っ」
『晴翔君…………』
その声は少しずつ遠ざかっていく。そろそろ本当の終着点に行ってしまいそうだ。
『その力なら、もうあるよ、あなたが気付かないだけ』
「え?」
とたんに俺の手が光始める。その輝きは、闇を払い、全てを照らしていく。
『もしかしたら、この世界のことは私にももう記憶に残らないかもしれない。でも約束する。次のループでもあなたのサポートを…………する…………から』
声はもう聞こえない。俺は、走馬灯のような記憶の中で、あの日のことを思い出していた。5月14日、運命が枝分かれした日のことを。
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ガタン……ゴトン……
~続く~
晴翔たちの物語、ご期待ください!