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双界のアルシュリオン  作者: あかつきp dash
第一章『カナルディアのガルダート』
13/69

12

 カナルディアの城から警鐘が鳴るのがあたりに響きわたる。ゼナンはその音を心地よさげに聞いていた。

「遅い遅い。取りついたらもうこっちのもんなんだよ」

 ゼナンはにやりと笑みを浮かべる。すると先行していた山賊の一人が少女を抱えて戻ってきた。

「ゼナンさーん! 早速の戦利品ですよ!」

「そいつは生娘か?」

「さあ? それをこれから確かめようと思っているんですが」

 下卑た笑みを浮かべながら山賊は少女の顎を掴む。少女の顔には恐怖が張りついていた。

「他に女はいたのか?」

「ええ。結構いましたよ。しかも若い娘ばかりでした。赤子を抱えた娘も見かけました」

「なら生娘は犯すな。商品価値が下がる。その代わり、人妻がいれば犯しても構わんぞ」

「じゃあ、子供はどうします?」

「殺せ。女を売るとき邪魔になる」

 ゼナンは残忍に言い放つ。

「ところで武器を持った男はいたか?」

「はい。どいつも若くて半人前みたいな奴ばっかりでした」

「そいつはいい。楽に殺せる」

 ゼナンは「くくく」と笑いを漏らす。期待していた金銀財宝とは違っていたが、ここにあるのは金銀財宝には違いない。気づけば「今日はいい酒が呑めそうだ」とつぶやいていた。

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