12
カナルディアの城から警鐘が鳴るのがあたりに響きわたる。ゼナンはその音を心地よさげに聞いていた。
「遅い遅い。取りついたらもうこっちのもんなんだよ」
ゼナンはにやりと笑みを浮かべる。すると先行していた山賊の一人が少女を抱えて戻ってきた。
「ゼナンさーん! 早速の戦利品ですよ!」
「そいつは生娘か?」
「さあ? それをこれから確かめようと思っているんですが」
下卑た笑みを浮かべながら山賊は少女の顎を掴む。少女の顔には恐怖が張りついていた。
「他に女はいたのか?」
「ええ。結構いましたよ。しかも若い娘ばかりでした。赤子を抱えた娘も見かけました」
「なら生娘は犯すな。商品価値が下がる。その代わり、人妻がいれば犯しても構わんぞ」
「じゃあ、子供はどうします?」
「殺せ。女を売るとき邪魔になる」
ゼナンは残忍に言い放つ。
「ところで武器を持った男はいたか?」
「はい。どいつも若くて半人前みたいな奴ばっかりでした」
「そいつはいい。楽に殺せる」
ゼナンは「くくく」と笑いを漏らす。期待していた金銀財宝とは違っていたが、ここにあるのは金銀財宝には違いない。気づけば「今日はいい酒が呑めそうだ」とつぶやいていた。