コロナ禍が身近に迫っていた件について。
この作品を、開いてくださりありがとうございます。
今回は、コロナ禍において自身が体験したことを綴ります。
普段は純文学、詩、ハイファンタジーを執筆する作者による、エッセイ。
最後まで、できればあとがきまで含めて読んでいただけると嬉しいです。
『読んだよ』という証に、1点で構いませんので評価いただけると幸いです。
ありがとうございました。
令和3年5月11日。
職場の上司から、1本の電話。
『次の出勤は、18日以降からとなりました』
事の次第は、1週間前に遡る。
僕は今、恋人と二人暮らしをしている。そして、恋人と同じ職場に勤務している。職場は某県にあるテーマ施設。そこまで規模の大きくない、客入りもそこまでは多くない施設。昨年からのコロナ騒動におかれ、土日であってもお客様の数はとても減っている。徐々に、その数が回復傾向にはあるが、それでも減少していると言っていい。ただ、この施設は『入館料無料』の施設である。県の施設ではあるのだが、収入を必要としない施設。その為か、昨年の今頃は休館していた。
しかし今は、アルコール消毒を入口にて徹底する。職員マスク徹底、フェイスシールドを用いるなど対策をし、通常通り開館をしている。そんな中、僕の恋人は不運なことに風邪を引いてしまった。38度5分。高熱だ。翌日、内科にかかり薬を処方され、仕事を休むことになった。診断は『風邪』であり、処方された抗生物質を五日分と、咳止めの漢方薬、胃薬の3種類を飲めば数日でよくなるとの見立てであった。
その旨を、上司へ連絡。その後、恋人は『コロナ』なのではないかという疑いがもたれ、そうだとすると同居している僕は『濃厚接触者』となり、ふたり揃って1週間の出勤停止を言い渡されることとなる。
恋人も、もしかしたらコロナなのではないか。その疑いがまだ残っているのであれば、会社側の言い分も仕方がないと思い、僕もまたそれに快く従った。
恋人の症状は、発熱、軽い咳、食欲不振、倦怠感、関節痛である。
常に行動を共にしている僕は、まるで症状もなく至って健康。
恋人の高熱は、医者が言うように確かに二日で下がった。その代りに咳が少し目立つように思われたが、咳が出はじめるのは風邪の終わり頃の症状だと、以前耳にしたことがある。味覚や嗅覚に異常はなく、食事も摂れていた為、だんだん『コロナ』ではない可能性が高いと、自分たちの中ではまとまっていた。
恋人は、もともと持病で喘息を持っている為、風邪で咳き込むとそれによって喘息が引き起こされることもあった。それを考えると、1週間ゆっくりと療養で来たことはよかった。僕は、精神疾患がある為、最近の職場環境においてストレスを強く感じており、出来れば休みたかった現状だった。上からの指示で、出勤しなくてもよくなった現実は、ありがたかったことは事実である。
1週間が経過し、遂にはじめに提示されていた復職日が近づいた。
そして、今日の電話に繋がる。
昨日、恋人はもう一度医者の診察を受けた。診察といっても、今のこの世の中だと、発熱のみられる患者は『オンライン診療』しか、受けられない状況である。まずは、かかりつけの内科へ連絡。咳の薬の追加をもらうことになる。しかし、職場としてはハッキリとした答えが欲しかったのだろう。恋人は、『PCR検査』を行える機関にも、連絡を取った。しかし、その機関からの返答は『コロナの可能性は極めて低い』ということ。『PCR検査を受ける必要性は無い』とのことだった。
その旨をまた、上司には伝えていたのだが…………問題は起きた。
まだ、『コロナ』を疑われる発言と共に、更に一週間の出勤停止通達である。
医者から、コロナではないと言われているのにも関わらず、『お前たちはコロナだ』と云わんばかりの対応に、僕たちは振り回されている。昨日の時点でも、同僚から一緒の部屋には居たくないとの趣旨のメッセージがあり、正式な職員からも土日の対応は控えて欲しいという要望が上がっていたそうだ。『そのような状況下では、仕事にならない。私は仕事へ行く意味があるのだろうか』と、恋人も悩んでいた。そして、結局は来週まで自宅待機とされてしまった。
上からの言い分によれば、4月半ばに僕たちが他県に旅行へ出掛けたことを叱責しているようだ。
しかし、僕はその発言は『ブーメラン』ではないかと思い、素直に謝罪する気にはなれない。
たしかに、旅行へは行った。しかし、その時にはまだ緊急事態宣言もなく、蔓延防止法などの処置も出ていなかった。僕の県でも、旅行先の県でも……である。さらに、旅行先では当然マスクはしており、主に旅行した場所は寺院である。開けた外を歩いて、一体何の問題があったというのであろうか。さらに言えば、移動手段は『自家用車』である。他者と密接になることもない。そもそも、三密の定義は何だっただろうか。距離が密接し、空気も換気されず、飛沫が飛ぶ環境におかれて成り立つ定義ではなかっただろうか。屋内施設で、子どもたちと至近距離で対応をする、僕たちの職場の方がよっぽど『三密』である。さらに言えば、上からは『学校団体も来る。万一の事があってはいけない』という話のようだが、その子どもたちらが感染するリスクを負う施設の開館こそ、あってはならないのではなかろうか。
職員だけが保菌者として疑われるだけで、済む話なのだろうか?
来客者同士の接触により、感染するリスクは本当に無いといえるのだろうか?
恋人が、『コロナ』ではないという裏付けとして、もうひとつ提示しておきたい事がある。医者からの言葉だが、コロナの場合は通常の風邪薬が効かないというのだ。風邪の対処で完治した恋人が、コロナであるはずがない。そして、コロナであれば発熱も二日間で収まることは無いそうだ。
また、終始共に居る僕が、まったく熱もなく咳もなく、風邪症状すら無いのが証拠ではないだろうか。まったく感染している様子はない。
旅行へ行った後、すぐに体調を崩していたのであればまだしも。実際はそうではない。どちらかといえば、ゴールデンウィークの対応直後の出来事だ。ゴールデンウィークの賑わいの中で、菌をもらった可能性の方が高い。それならば、改めるべきは今の施設の在り方ではないだろうか。今後も、誰かが風邪を引くたびに叱責し、2週間の出勤停止を言い渡すのだろうか。
それでは、後手でしかないように思えるのは、間違った見解だろうか。
かかってから、出勤停止。自宅待機にさせているのであれば、すでに館内で誰かに感染させているであろう。もしくは、発熱者が来客者からウイルスを拾うケースだってあり得る話だ。
本当に来客者、そして職員の安全と健康を願うのであれば、施設を昨年と同様に閉館すべきところではないのか。
特に、前述したがこの施設は儲けのない、収入がない施設である。閉めたところで影響はないとされる。むしろ、健康面を訴えるのであれば、まず間違いなく一番手っ取り早い選択肢のはずだ。また、他機関へ出かけることを禁じるのであれば、自らの機関も開館していては、訴えが成り立たないのではないか。開館しているということは、すなわち集客を目的としていると言える。換気はどうだろう。窓が開いていた覚えはない。出入り口も、開けっ放しではない。センサーにより開閉している。メインスペースに至っては、かなりの『密』である。送風はしているようだが、本当に空気が入れ替わっているかは疑わしいところがある。
徐々に規定を緩めていき、現在再びコロナ感染者が非常に膨れ上がっている中。緩めた規定の範囲で開館を続ける意味は、どこにあるのだろうか。風邪をこじらせた原因が、旅行ではなくこの施設であるとすれば、本末転倒である。
公的施設ゆえ、慎重になるのは分かる。しかし、『コロナ差別』とでも言うのだろうか。咳をたまたましただけで、厳しい視線を当てられる世の中になってきたとはよく耳にしていたが、実際に体験することで、実に生きづらい世の中だと感じる至りとなった。収入を上げ、成り立っている施設やお店などは、安易に閉めることが叶わないことは分かる。生きていく上で、お金はどうしても必要となる。しかしそれは、職員、アルバイトにしても同じことが言えるのだ。二週間、出勤がゼロとなった僕たちは、金銭的にも厳しいものがある。さらに、来週本当に出勤させてもらえるのか、確定事項として言い切れるのか疑わしいところがある。
本当にコロナであるなら、それは完治するまで自宅待機ないし入院が必須であろう。しかし、そうでないと病院側が言い切った状況の人を、尚も『コロナ』としての疑いを持たせ、日常に制限を掛けることの意味を、上に立つ者はしっかりと改めて欲しい。『コロナではない』と証言したのは、その道で生きる専門家だ。医師である。素人目で『コロナだ』と判断し、間違った見解で物事を動かさないでいただきたい。そして、本当に当施設内での感染ではないと言い切れるのか。他所で拾った菌として、言い切れる確たる証拠が示せるのか。その点がうやむやでしかない状態で、物事の判断を焦らないで欲しい。人をコロナ、疫病から守りたいのであれば、上に立つものならば……本当に意味がある、正しい判断をお願いしたい。
人は、人の絆は、コロナで壊されるものではない……と。
僕はそれを信じ、これからの世界が幸せに包まれるように、出来ることをする。
これが今日。
コロナ禍を身近で感じざるを得なかった、僕の記録である。
願わくば、世界中のコロナが一日でも早く平癒し、ギスギスとした人間社会から解放されますように。
こんばんは、はじめまして。
或いは、お久しぶりです。
小田虹里です。
今回は、小説ではなくエッセイスタイルを取ったので、あとがきで綴ることも少ないのですが。まず、ひとつだけ。
まるで、今の職場が嫌で仕方がないと思えるような書き方だったかもしれませんが、そうではありません。小田は、今の職場に感謝していますし、今後もこの職場でしか働けないと思っています。とても、素晴らしい職場です。
良い職場だと思っていますが、それでも思うこともあるのです。今回は、コロナに対して良い経験……とは、言いづらいところもありますが、ある意味貴重な体験となりましたので、パソコンを開いてみました。これを書いたところで、現状が変わる訳ではないのですが、気持ちの整理はつきました。それに、作中にも書きましたが僕は精神的に病んでおり、現在職場でのストレスで参っていました。その中で、しばらくの休息が出来ることになり、僕としてはラッキーな話でした。
ただ、恋人は健康です。既に元気になった身体なのに、もう1週間も休まなければならなくなり、相当心情は揺れている筈です。僕の職場は、スタッフがとても少なく。恋人以外は、皆おなじく出勤数が少ないのです。恋人が居ないと、出来る穴は大きいのです。
恋人は、とても責任感が強い人です。だからこそ、休むことにも申し訳なく、出勤することでスタッフに緊張させることも、申し訳なく。どうしたら、一番の解決策にたどり着けるのかと、心痛めています。
ただ、このご時世の中で、たまたま1ヶ月前に旅行へ行っていた。そして、風邪を引いてしまった。それだけで責められることを赦す世の中は、しょっぱいな……と。コロナ禍でなければ、『風邪ですか、お大事にしてくださいね』で済む話。熱が下がり、咳も落ち着けば、すぐに出勤出来たはずの案件。悪いのは、風邪を引いた恋人でもなければ、それを責める会社でもない。『コロナ』だと、小田は思います。
スタッフ間でも、仲が良い職場だったはずなのに、治って出勤してきても、同じ部屋に居たくない……と、言わせてしまう世の中。誰が望むものでしょう。
早く、この混乱が鎮まればいいのにと、切に願います。
小田は、この休息時間中に、更に執筆活動を進めていくつもりです。今まではファンタジーをメインに書いておりましたが、最近は詩や、ダークサイドの短編。純文学を投稿しています。病んでる作者による、世界の見え方です。もしよろしければ、どの作品でも構いませんので、縁を繋げていただけると嬉しいです。
ここまで読んでくださり、お付き合いくださりありがとうございました。
別の作品でまた、お会いできましたら幸いです。
2021.5.11




