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4 個性の強いB&B

スコットランドに旅行したとき、面白いB&B(Bed & Breakfast=朝食付き宿)に泊まりました。

場所は、ネス湖(Loch Ness)近く(謎の怪物「ネッシー」のすみか)。

ネス湖には、インヴァネス(Inverness)という町からバスが出ていました 。


ネス湖近くにはlewistonという小さな集落がありました。

ほんの何軒かしか家が並んでいない中に、私たちが泊まったB&Bがありました。

名前は、『Ferness Cottage』 。

可愛いおうちです。

はじめは、「うおー、なんでこんなに田舎なんだ!!」と思いました。

だって、レストランもなんもないんです。


小さなPUBが一軒ありましたが、メニュー書いてある黒板を見るとそこで出している料理は3種類だけ。

しかも、注文してみると、そのうちの2つは

「あー、それ、今きらしてるの」

おいっ!だったら、きらしてるやつを書くなよ・・・


実は、この日、宿を予約しないでInvernessの町に着いた私たちは、町の公衆電話で適当に宿の予約を始めましたが、観光シーズンであることと全体的に宿代が高かったことで、ほかの便利なところにある宿には泊まれなかったのです。


とはいえ、こんな田舎なのもいいなあと思いながら泊まりました。

部屋はとってもキレイで、ベッドカバーだとか、壁紙なんかも可愛らしかったです。


B&Bには、たまに何時までに帰ってきてくれという決まりがあるのですが、そこの宿のあるじは、

「今日は夜にパーティーがあるから、玄関のかぎはずっと開いてるよ」

と言っていました。


さて、そのパーティー。

相当盛り上がっていたようです。

私たちは2階の部屋だったのですが、1階から話し声・笑い声や、なにやら楽器を弾く音などが、日付が変わっても響いていました。


そう、お客の私たちとしては、

「もうちょっと静かにして・・・ 」

と思ったけど、まーいっかと放っておきました。


さて、次の朝はその宿の奥さんと「8時」に朝食の約束をしていました。

ごはんを食べて用意して、9時くらいのバスに乗ろうと思っていたのです。

8時に食堂に下りていきました。

が、

誰もいません。

おかしいな。

"HELLO!"" Excuse me!"などと声をかけたのですが、誰も出てきません。

とりあえずしばらく待ってみて、誰も来ないので、1時間バスを遅らせることにして2階へ戻りました(そう、1時間に1本しかバスはありませんでした)。


そして、1時間後。

また食堂に下りていったのですが、誰もいません。

声をかけてみても、誰も出てきません。

あんまりウロウロするのもどうかと思ったのですが、とりあえず、あちこちのドアをノックしてみました。

が、誰も返事をしません。

というより、人気がない感じ。


うーん、どうなってるんだろう??

勝手に食堂のものいじって食べるわけにいかないし、困ったな・・

と思ったところで、ふっと窓に影がよぎりました。


なんと、奥さんが庭を猛然と走ってこっちへ向かっているではありませんか!!


「ちょっと!奥さん今庭走ってたよー!」

「うそ、そんなとこで何してんのー!」


庭を見ると、キャンピングカーが一台。

「あんなとこで寝てるのー!! 」

どうりで家の中には人の気配がなかったわけだ。

はあはあ息をきらしながら入ってきた奥さんは

「ごめんなさい、ごめんなさい。寝過ごしてしまったの・・ 」

と早口のスコットランドなまりで話しながら大慌てで、コーンフレークなどを並べ始めました。

やれやれ、

家があるのにキャンピングカーに住んでる人もいるなんて知らなかったわ。宿で寝過ごされたのも初めてだし。

パーティー、盛り上がってたもん、起きられないでしょ、そら。

私たちは笑いながら食事をしました。


そして、食事も終わり、準備をして、宿を出るとき。

£20の宿代を払おうとした私たちに、奥さんが言いました。

「遅れてしまったから、宿代はいらないわ」

えー!!!

そりゃ遅れたけど、ある意味面白かったし、宿そのものは快適でシャワーなんかも使ってるのに!!

「払う」という私たちに奥さんはにこにこしながら

「いらない、いらない 」

と断ります。

「でも、食べてるしお部屋を使っているから」

と私たちがその半分の£10を渡すと、ようやく奥さんは

「おー、Thank you、Thank you!! 」

とやっと納得してくれました。

奥さんの寝坊はアクシデントだけれど、なんだかとても面白い経験をさせてもらい、しかもいい宿にユースホステル並みの料金で泊まれてしまって、得してしまった一日でした。


あの宿の奥さん、どうしてるかな?


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