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私は最後の恋をする   作者: ほのぼの日記
4/4

後編

 あれから二週間が経った。

 かなたはまだ訪れていない。

 待っているというわけではないけれど、あんな出来事そうそうないことだからどうしても頭から抜けてくれなかった。

 また友達になんて思っていたけれど、来てくれないことにはそれもまた無理な話である。

 思いを断ち切る云々は私には初めてのことだ。

 先輩が教えてくれた方法を試したけれど、何だが思いが膨れたような気もする。もしかしたら私にはその方法はあっていないのかもしれない。




 今日も定時に出勤し、図書館内の明かりをつけ、鍵を開け、返ってきている本を回収してそれを元の棚に戻していく。

 朝は大体こんな感じ。

 時計の針が12の数字を指す。

 朝の十時になった金の音が図書館内に響き渡った。

「今日も仕事、仕事・・・・・」

 最近は暇なとき、かなたに勧められた本を読んでいたけれどそれも読み終わってしまった。夢で見ていたから内容は知っていたけれど、実際活字を通してみるとまた頭の中に広がる情景は違ったものになるところが面白いところだ。





 短針と長針の針が真上を指す。

 正午。

 十二時。

 図書館内も込み合ってきていたが、私のいるカウンターにはまだ人の並びはない。少し珍しい光景だ。

「今日は楽できてるな~」

 私は独り言をうわごとのようにつぶやく。

 そう言えば警備の話はしていなかったと思うけれど、この図書館から本を盗んでも意味がない。

 簡単に言うと私のPCで貸し出しになっていなければ本もまたこの図書館から出ることはできない。





 それからしばらくして私の仕事は終わりを迎える。

 図書館が閉館する時間。

 私はいつものように鍵をかけて、館内を見て回り、机の整理や椅子の整頓、ごみの清掃をして業務終了だ。

 そして私は自室に戻り、いつものようにぐったりと一人の時間を満喫する。

 満喫なんて言っているけれど満たされている思いは到底ないのだけれども。

 今日もまた私は眠りに落ちていく。





 朝。

 私は定時に出勤して、いつものことをする。

 開館時間。

 今日は忙しいのだろうかと私は少し未来のことを思い浮かべていた。

 そんな私のもとに走ってくる人がいた。

「静恵さ~ん」

 私は名前を呼ばれて門の方をみた。

 そこには、小走りで走ってくるかなたの姿があった。

「かなた!?」

「はい。お久しぶりですね」

 かなたは少し息を切らしながらも元気よく挨拶をする。

「えっと、まずは、館内は走っちゃだめだよ」

「あ、すみません。つい顔見たら早く声かけたくて」

 私はそんな注意をしてかなたはてへへと笑ったけれど、私は内心とてつもなく焦っていた。

 どうして私のことを覚えているのか。

「どうして?」

「どうして?」

「あ、いや・・・その・・・・」

 思わず声に出てしまっていたようだ。

 慌てて言い直そうとしたけれど、それよりもかなたが先に口を開いた。

「どうして覚えているのか、ですか?」

「え、あっ、うん。なんでわかったの?」

「それはですね。今日、私がここに来た理由だからです」

 私がわからないという表情をしているとかなたは続けて、

「朝起きたら封筒と鍵が机の上に置かれていて、代わりにこの図書館から借りた本がなくなっていたんです。私は奇妙だな~とは思いつつも、その封筒を開けて目を通してみました。すると、この図書館のことが事細かに書かれていて、とそんな感じで、とりあえず来てみたというわけです」

「来てみちゃったんだ・・・・」

「はい」

 かなたは元気よく返事をした。

「じゃあ、とりあえず、門から出られるかためしてみようか」

「はい?」

 かなたはどういうことだろうといった感じだったけれど、私は説明するより試した方が早いと思いかなたの手を引いて門の方に歩いて行った。

「じゃ、とりあえずやってみて」

「わかった」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・??」

「やっぱり」

 かなたは扉から出て行った。けれどすぐに戻ってきた。というより戻された感じに帰ってきた。

「えっと、どうして?」

「えっと、いい報告と悪い報告どちらから知りたい?」

 私は聞いた。

「悪い方からで」

 かなたは即答した。

「かなたはこの図書館から出られません。それが契約だからです」

「契約って、なんの?」

「いい報告です。かなたはこの図書館の従業員になりました。その契約だね」

「そうなんだ」

「あれ、意外と驚かないね」

「驚いてるけど、感情がついて行ってないかも。それに出られないことは今わかったから、もう騒いでもしょうがないって感じだよ」

「う~ん、まあ、落ち着くまで私の隣にいていいよ」

「わ~い。静恵と一緒だ~」

 かなたは明るい声を出したけれど、顔はまだ暗い。





 私の隣に座っているかなた。

 私はいつもの業務をこなしつつ、かなたの様子をながめていた。

 これから一緒に働くわけだけれど、無理やりも良くないし・・・・・・

 とは言っても、私が何かできるのだろうか。

 私は先にそれが分かった上でここに来たからそのことでショックを受けることはなかったけれど、まったく外に行けなくなったことには落ち込んだりもした。

 先輩はよく私の話を聞いてくれたっけ・・・・・

「かなた、何か話したい事ない?」

「ん~。すごくショック」

「そ、そうだね・・・・・」

「でも、隣に静恵がいてくれてよかった。これが知らない誰かだったらもっと最悪だったと思うから」

「ありがとう」

「それでも、私は・・・・」

 そこまで言いかけてかなたは言うのを止めた。

 その続きが何だったのか私にはわからない。けれど、その続きは

「これでよかったとは思わない?」

「うん」

「そうだよね」

「静恵は? 静恵はそう思ったことないの?」

「私は高望みなんてそんなしない方だし、最大限より最低限を守り抜くような生き方してきたからね。たぶんいつも思ってるよ~」

「そうなんだ。ちょっと安心した」

「あはは、ひどいな~」

 少し、かなたの纏っている空気が和らいだように感じた。

 話を聞いて正解だった。





 その夜、かなたは私の自室で寝ることになった。

 当然、準備などしていないから、仕方なく一緒に寝るわけだが、ちょっとドキドキしている。

 何を不謹慎な・・・・・

「布団明日には準備しておくから、今日は私の使ってよ」

「そんな悪いよ」

「大丈夫だって」

「じゃあ、半分だけ」

 そうやって私たちは助け合うように眠りに就いた。





 次の日、私はかなたに一通りの仕事を教えた。 

 しっかりと働くかどうかという問題ではなく、先輩としての務めみたいなものであった。

 私がされたことを今度はかなたにしているだけ。

 ただそれだけ。

 私が一言、一緒にしたい、みたいなことを言えばかなたは、いいよ、と言ってくれそうだけれどそうやって決めるのは違うと思った。

 でも私は・・・・・・・手放したくはなかった。





 一週間後。

 かなたは普通に従業員として馴染んでいた。

 あれからくよくよしたところは見ていないが、前ほどの明るさが今は薄らいでいる。

「かなた~」

「なに?」

 私はかなたの耳元で、さらに小声にして、

「今日、エッチしよ」

 かなたはそれを聞いて真っ赤に赤面して、

「もう何言ってるの」

 と言った。

 最近はこんな調子で私がかなたをからかっている。

 私には残念なことにかなたを明るくさせる方法は、こんなものしか思いつかなった。

 こんなからかい方をもう何日も続けている。

 そろそろ他の方法を・・・・・・





 その夜、かなたは自室に戻った後、しばらくしてから私の部屋を訪ねてきた。

 私はいつものようにかなたを中に入れた。

「どうしたの。まだ夕食には早いんじゃ」

「え、エッチしてもいいよ・・・・」

「へ?」

「シャワー浴びてきたから」

「・・・・・・」

 もう何日も同じからかい方をしていたから勘違いさせてしまったようだ。

 ・・・・・まてまてまて

 とは言っても、したくないわけでは私もない。

 ・・・・・するか・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

「わかった。じゃあ、私もシャワー浴びてくるね」

「うん」


 私はいつもより念入りに身体を洗った。

 とりあえず、髪の毛はしっかりと乾かしておく。

 風を引いたら困るからね。


「おまたせしました」

「い、いえ」

 かなたの声が震えている。

「無理しなくてもいいよ?」

「む、無理なんてしてないよ。私もしたい、から・・・・」

「わかった」

 そうして、私は静かに、ゆっくりと、そして甘く優しく、かなたとキスをした。

 それから何度もキスをして、互いに互いを必要とするように、とろけるまでキスをした。

 その夜は非常に長い、永い、夜になった。




 そうして、私たちはまたいつもの流れに戻っていく。

 朝起きたら用意をして、定時に出勤。

 定時に退勤して、夜はまたゆっくりと過ごす。

 いつか終わる、その時まで、私はかなたとともに・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・FIN・・・・・・・・・・・・・

この物語はここで終わります。

R18指定にならないよう書いておりますので、満足していただけない場合もあると思いますが、それは二人の覗いてはいけない秘話ということで、どうぞよろしくお願いいたします。

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