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私は最後の恋をする   作者: ほのぼの日記
3/4

夢幻編

 これは「夢」の話。




 友達と俺の妹に登場する妹役になった私。

 この夢で一番面白いのは、決まった動きしかできないというわけではないということ。

 ただ、結末は変わらないというか、変えられたことはないのだけれど。

 それでも、私は自分の名前で呼ばれ、そして相手も自分の思っている名前で呼べる。でもこれはきっと、そう呼んでいるわけではなくて、私の無意識がそう思い込んでいるだけなのだろうということを私はもう知っている。





 朝起きて、用意されていた朝食を急いで食べた私は、制服に着替えて、そそくさと学校へと向かう。

 途中で、友達の”かなた”と合流した。

「おはよ」

「おはよう」

「今日も遅いね~」

 かなたにだけは言われたくないと言わんばかりに私は言い返す。

「かなたもね」

 私たちは毎日、朝礼ぎりぎりに登校している。

 そういえば、かなたと知り合ったのもこの行動がきっかけだ。

 よくある乙女の話。

 遅刻ギリギリに走って、パンを銜えたまま、前もろくにみずに直進していたら、横から出てきたかなたとぶつかったのだ。

 その時は、初対面だったし、今こんなに仲のいい友達になっているなんて思いもしていなかったけれど。

「今日もぎりぎり間に合った~」

「そうだね~」

 かなたはそんなことを言いながら校門を通過する。その横で、少し息切れしながら私も答える。

 下駄箱で上履きに履き替えて、教室に飛び込み、席に座る。

 今日もぎりぎりセーフだ。





 時は流れて、放課後。

 一緒に帰る約束なんてしなくても、かなたとは毎日一緒に帰っていた私。今日もかなたは私の家に寄っていく。

「ただいま~」

「お邪魔します」

「お兄ちゃん。いないの~?」

 私は大学生の兄がまだ帰ってきていないことを確かめてから、かなたを自室へと招いた。

 お兄ちゃんが帰ってきていれば、一緒に遊んだのに・・・・・・・

「静恵。あの・・・・あのね」

「え、なに?」

 いきなり名前を呼ばれた私は咄嗟に質問を返す。

 私に見つめられたかなたはそのまま固まってしまった。

 私は何事かとかなたを心配したけれど、かなたは大丈夫と言ってやっぱりなんでもないと返した。

 それでも気になった私だったけれど、相手の言いたくないことを聞き出すようなことを私はしない。

「静恵、あの・・・・わ、私と」

「かなたと?」

「えと。その。なんでも助けてくれる?」

「え、うん、いいよ」

「そう・・・・・・・」

 何か言い淀んでいるかなたに気づいている私。それでも、ここは動かない。きっとそれは本来の結末を知っている私だからかもしれないけれど。

「ねえ、静恵。ポッキ食べない?」

 そういって、かなたは自分のカバンをガサゴソしてポッキを取り出す。

「はふ、ほうぞ」

 そう言って、銜えたポッキを私の方に差し出してくるかなた

 私もそれに乗って、

「はいよ~」

「ふえ」

 自分からやったにも関わらず、驚いて口から離したかなたの、その隙を逃さない私は一気にポッキを食べあげる。

「ああ~」

 少し涙目になったかなたが可愛くて、もとい、かわいそうに思えたので、今度は私から、

「はふ、ひひお」

「え。え~・・・・・う、うん」

 少しためらいつつも、かなたもそれに乗る。

 そして今度こそ、両サイドから食べて行って、あとちょっとというところでポッキが二つに折れた。

「あ・・・・・・」

「折れちゃったね」

 かなたが愕然としているように見える横で私は、もう一本やる? という提案をしたけれど、かんたは、もういいと言って一本ずつ普通に食べ始めた。

「それにしても、かなたは私とじゃれあうの好きだよね~」

「そ、そういうわけじゃ・・・・・」

 そんなやり取りを今日も何度もしている。

 そうこうしているうちにお兄ちゃんが帰ってきた。





 お兄ちゃんが、部屋を訪ねてきた。

「おう、いらっしゃい、かなたちゃん」

「あ、お邪魔してます」

「ゆっくりしていってね」

「はい」

「ねえ、お兄ちゃん。今日は遊べるの?」

「この後、バイトがあるから無理かな。悪いな、静恵」

「ええ~、また~」

「そういうなって、かなたちゃんがいるだろう」

「うう~~」

 こんな感じのやり取りが毎回なされていた。

 この時、かなたはどう思っていたのだろうかなんて考えるまでもないか。

 こんなやり取りを見ていたら、フラストレーション貯まりまくりだね・・・・・・






 そのまま、お兄ちゃんが部屋から出ていく。

 また私とかなただけになった部屋はさっきよりも静かに見えた。

 いや、空気が静まっていると言うべきかもしれない。

「ねえ、静恵」

「なに?」

「お願いがあるんだけど、聞いてくれる」

「なにかな?」

 これがきっとメインイベントだろうと思った私は特に何をするでもなくかなたの言うことを聞いていく。

「私、静恵のお兄さんと付き合いたいの」

「え、・・・・いま、なんて」

 私、ではなくて、妹としての私が動揺している。こんなに動揺するものなんだな・・・・・・

「だから、私、お兄さんと付き合いたいの」

「え、どうして」

「だって、静恵が私を見てくれないから」

 かなたはまくし立てるように言う。

「そんなの理由になってないよ」

 私もそれにつられるかのように早口になる。

「そうかもね。でも静恵が私を見てくれないなら、私はお兄さんと付き合う」

「そんなの絶対にダメ」

 自分でも驚くほどの大声を発した。

「なら、静恵が、私と、付き合ってくれる」

「別にいいよ」

「そう、なら証拠を見せて」 

 そう言って、かなたは目を瞑った。

「証拠って、キスすればいいの?」

 かなたは何も答えない。私がするのを待っているかの如く、眼を瞑ったまま、何も言わない。

 す、すればいいんだよね?・・・・・・・

 そう思い込むように私は、かなたに近づいて行って、やがて、唇を重ねた。

 そうしたら、かなたはもう離さないと言わんばかりに私の頭と首を両の掌で押さえてくる。

 危うく窒息するかと思うほど長くキスしていた私たちは、し終わった後、無言の時の中で、二人ともがやってしまったという感じに思っていた。






 この日はこれで終わった。

 終わった?・・・・・・

 いや、始まったのかもしれない。





 この日からかなたと私との距離が劇的に縮まった。

 まず、かなたが私に遠慮をするということがなくなった。

 私も、あまりかなたに気を回したりしていない。

 そして、今日も私の家に寄ったかなたはもう待てないと言わんばかりに私に抱き着く。

「ちょ、かなた、しわになっちゃうよ」

「大丈夫だよ、ちょっとくらい」

「そういうわけには・・・・・むう」

「ちょっと膨れた静恵も可愛いな~」

「からかわないでよ」 

 そういった私にかなたはどうしてそう思うのかというような目線を送ってきたので、私の同じような目線を返してみる。

「そんな目をする娘はこうだ~」

 かなたは言いながら私に覆いかぶさるように抱きつく。

 そして、瞬間的に、私の唇は奪われる。

「ちょ、今日はお兄ちゃんいるから」

 勢いで話した私はそれだけ言った。というより、それしか言えなかった。

「だ・め」

 そしてもう一度、塞がれる。  





「お~い、お貸し持ってきてやったぞ~」

 ドアがノックされて、お兄ちゃんの声がする。

 それと同時に、私のかすれた声が響く。

 それに興奮でもするかのようにかなたは今まで以上に、過剰に力が入って、押さえつけるようにしてくる。

「あけるぞ~」

 そして、次の瞬間、ドアが開けられる。

「ひ、ぐう・・・・ふ・・う」

「ああ・・・・・・・悪い」

「お兄さん。返事待たなきゃだめですよ~」

 何もなかったかのように言うかなた。

「してると思わなくて・・・・な。ま、誰にも言わないし、安心しろ」

「お、お兄ちゃん、これは、ちが・・ぐ」

「静恵、うるさいよ」

「ふうう・・・・」

 そう言って口を手でふさがれた私は唸ってることしかできなくなった。

「ま、まあ、あまりうるさくしない程度にな・・・・・」

 そう言って、お兄ちゃんは出て行った。

「じゃ、お兄さんもいなくなったところで、続き、しよっか」

「え、まだ?」

「これから、いっぱいしようね」

 愕然としている私がいる反面、期待している私もいるのだった。

 こんな内容で、一巻目は終わりを迎える。





 朝起きた私、本人は、しっかりと内容を覚えているし、相手に誰を投影していたかも知っている。

 まさか、かなたを相手にしてしまうなんて、と思ったが、こんな感じでされてみたいなと思っている私もいたわけだし、決して嫌ではなかった。

 むしろ、ちょっと望むくらいだ。

 でも、それは叶うことはないだろうけれど。

 物理的にというよりかは、これから先、もし会うことがあってもかなたは私のことを、知らないのだから。

 私は知っていて、かなたは知らない。

 しかし、それでも今度話しかけてきてくれたなら、この話題で持ちきりになれるくらいには好きを共有できたのかもしれない。

 もし、話しかけてくれたなら、また友達に・・・・・・・・

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