表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/20

映し出されるのは 4

遅くなり申し訳ございません。

*** 王子を産んだ聖女 ***



少女は白い四角い建物にいた。

顔立ちのよく似た自分より年上の少女に、何かを渡している。おそらく姉だろう。

どうやら渡したのは書物のようだ。

姉に頼まれてベッドの脇の棚を開けようとしたところで、少女は魔法陣に引き込まれた。

異世界にて魔法陣から吐き出された少女は絶叫した。

床に書いてある魔法陣にかじりつき、一心不乱に出てきた床を剥がして掘ろうとし、故郷に返せと絶叫した。拳が血塗れになろうともやめなかった。

召喚したアラルコン上層部は困惑した。魔術師・司祭達も戸惑った。

少女があまりにも必死すぎて。

王子の一人が戸惑いながらも少女に眠りの魔法をかけ、眠らせた。

客室で目覚めても少女はただ還せというばかりだった。少女に魔法をかけた王子が少女に事情を聞いた。

少女の姉が難しい病気にかかっているのだという。

薬では治らず手術でなんとかなるかもしれないのだが、姉の身体と同じ遺伝子ーー人体を形成するものーーの者からの骨髄移植が必要不可欠なのだという。

少女は適合者だった。少女がいなくなれば姉が死ぬのだ。

たった二人の姉妹なのだ。自分もいなくなれば両親は子供を全て無くすのだ。

だから還せ。この世界の事はこの世界の人間が解決すればいいだろう。

そう吠える少女に真面目な王子は何も言えなかった。少女が二度と戻れない事を知っていたから。

王子はこの国の側室の子で第六王子だった。母は身分が低く王位継承権も遠かった。勉強も武術も並みで、魔法は他の兄弟より抜きんでていたが、魔術師団を率いるほどの実力はなかった。それ故に『役立たずの王子』と呼ばれ、親兄弟は元より、城中から蔑まれていた。

だが第六王子は努力の天才だった。自分に足りぬ物は何かを把握し、書物を漁り理論を立てて少女を帰す実験を繰り返した。

そして少女の話から遺伝子という物に着目し、人の血液を少々垂らした魔法陣で血縁者に転移する方法を見つけた。

一方少女は国王達に騙され、魔物討伐の旅を始める準備をしていた。

憔悴しながらも帰りたい一心で役目を果たそうとする少女を、第六王子はほっておく事が出来なかった。

少女は魔術師長と同じくらいの魔力があったので、魔法を習い王子よりも巧みに魔法が使えた。第六王子は正直に真実を話し、少女に協力を求めた。討伐の旅先で少女と共に実験を繰り返し、ようやく異世界人召喚の魔法陣に組み込む事に成功した。

そして安全を確かめるために、密かに少女に家族への手紙を書いてもらい、アラルコンの様子を収めたスマホと少女の血のついたハンカチと蝶を、手紙と共に虫カゴのような木枠の箱に入れて転送した。

ハンカチには少女の手で搬送の魔法陣が刺繍されており、3日後にこちらの魔法陣に魔力を通すと、アラルコンの魔法陣に向こう側の魔法陣に置かれた手紙の返事が返ってくる筈だった。

結果として、実験は成功した。手紙もスマホもハンカチも蝶も傷一つなく向こう側に届いたらしい。

両親は戸惑いながらも少女の話を信じ、少女の身を案じてくれた。だが姉は妹が目の前で消えたショックから、予断を許さない状態になっていた。

間が悪いことに旅も死者の大聖堂に差し掛かり、少女の身の安全も聖女召喚の真実に気付きつつあった王子も危うくなっていた。

大聖堂にて発見した先代聖女の遺言に少女は逃げる事を決めた。

第六王子も一緒にと誘ったが、この魔法陣がある限り再び少女が召喚される事が予想されるので、その始末をする為に残ると王子は断った。

魔法陣を起動させ、少女を帰還させようとしたその時、見張っていた司祭達が雪崩れ込み妨害した。

少女と王子は手を取り山の中を逃げ惑ったが、王子は崖から落ち少女は捕まって王都に護送された。

未だ呪われた山脈の魔物退治が成されていなかった為、少女の確保が優先されたのだ。

少女は初代聖女と同じく薬を盛られ、城の一室に監禁され、王侯貴族の男子に抱かれ続けた。

人質となる者がいなかった為、生まれた子を盾に山脈の浄化をさせるのが、アラルコン上層部の目的だった。

少女は国王達を呪い、枷をつけられ死ねない自身を呪った。

そこへ死んだと思われていた第六王子が隠し通路を通り、城に侵入して少女を救い出した。

第六王子は生きていた。ただし崖から落ちた時の怪我で利き腕を失くしてしまい、魔法も以前ほど上手く使えないようになっていた。

それでも、幼い頃からの唯一の味方であった乳母と乳兄弟の協力を得て、少女を助けに来たのだった。

遅くなってごめんと残った片腕で抱きしめた第六王子を、少女は泣きながら抱き返した。

だが隠れ家について暫く後に、少女に妊娠が発覚する。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ