第44話 完成間近なのじゃ!
私の中ではまだ夜なの!夜の更新に間に合ったの!
嘘ですごめんなさい。遅れて申し訳ありません。
バアルはルルから噛み跡ひとつないパンと、抜けた乳歯を受け取って優しく話しかける。
「歯は後で埋めるから取っておこうね」
「わかったのじゃ!」
バアルに言われ、ルルが元気よくはーいと手を上げて返事をする。
その様子を微笑ましく見ていたギルが、埋めると聞いて不思議そうにバアルに尋ねた。
「埋めるのですか?」
「そうだが、何か問題でもあるのか?」
「いえ、あまり聞かない方法だなと」
ギルの不思議そうな態度に、バアルは少し考え何か思いあたったのか、嫌そうな顔をして答える。
「……確かに貴様らは良く歯を加工しているな。だがルルの歯はやらんぞ」
「いや、やりませんし要りませんよ、どこの話ですか。一般的に歯が抜けた時は上の歯を軒下に、下の歯は屋根に投げていますよ」
「ほう、そうなのか、それは知らなんだ」
急におかしなことを言いだしたバアルの勘違いを正し、一般的な乳歯の処理をギルが教えると、予想外のことを言われたという顔でバアルが返事をする。
ドラゴンの肢体はそのどれもが良質な素材となり、とりわけ牙は砕いて薬にするも良し、加工を施し武器やお守りにするも良しと、様々な用途に使われる。
バアルの発言はそれを危惧してのものだったが、そんなことは知らないとばかりのギルの対応、しかもいたずらに投げ捨てるとはと驚きを禁じ得なかった。
そんなやり取りをしている二人を放ってナンがルルに話しかける。
「そろそろいいかな?パン作り続きを始めるよ!」
「続きじゃな!やるのじゃー!」
「先ほどしまったパンがこちら!」
ナンが容器からパンを取りだすと、入れる前に比べてずいぶんと膨らんでいる事に気付いたルルが驚きの声を上げる。
「おおー!なんかおっきくなってるのじゃ!」
「そうだね!そうしたらこれをこう、軽く押してー」
不思議不思議と目を輝かせて食いつかんばかりにパンを凝視するルルに同意しながら、ナンは手の平で優しくパンを押し、中にたまった空気を抜いて平たくしていく。
ルルはそれに続いて同様の作業を真剣な表情で行う。
「ふむふむ!こうじゃな!」
「そうそう!次は十等分に分けて、こう言う感じね、それで丸めるの」
ルルの様子を確認したナンは平らになったパン生地を、スケッパーという手元が丸い筒状になっているヘラで十等分し、切り口を内側にした上で裏側に生地を寄せ、指でつまんで閉じる。
流石にパッと見ただけでは追従出来ないだろうと、ナンはルルが丸めているのに合わせて、よくわかるように説明しながら作って見せる。
その甲斐あってかルルも問題なく、表面が滑らかで綺麗な生地を作り上げる。
「ざく……ざく……と、丸めて丸めてー……できたのじゃ!」
「上手上手、そうしたらこれに並べて……」
ナンは上手に出来たねとルルを誉めながら、ブロートが用意したオーブン皿にパン生地を置いていく。
「ほいほいと」
「あまり近くに置いちゃだめよ、あと閉じた部分を下にするの」
ルルがポイポイと何の気なしに置こうとするのをみて、ナンがただ置くだけではないんだよと説明をすると、ルルはしっかりとその通りに置き直す。
「これを下にして並べるのじゃな、こんな感じでどうじゃろう?」
「そうそう、あとはまたしばらく置いて焼くだけね!」
「おおー!焼くだけ!楽しみじゃのう!」
ナンはオーブン皿の上に綺麗に置かれたパン生地を確認すると、乾いたふきんをパンにのせ、更に硬く絞った濡れたふきんをのせて残っている工程を説明する。
もう完成間近と知ったルルは作業台に乗り出して喜びの声を上げた。
第一話に挿絵がつきました。
ありがたやありがたや
挿絵がついたついでに、タイトルでドラゴンばれしているのに作中でのドラゴンばれが圧倒的におそいという声にお応えして、第一話においてドラゴンばれ&スルー的やりとりと説明を追加しました。




