第15話 依頼失敗なのじゃ!
すみません、いつも短いですが今回はいつも以上に短いです。
「じゃからな、一見おいしそうに見えても食べちゃダメなんじゃぞ!」
「そうなの?なんでかな?」
「食べるとお腹を下すものだったりするかもしれんからじゃな!」
ギルドで情報収集した話をふんすと自慢げに説明しているルル、それにカラが相槌を打っている。ルルが急に飛び出すのを防止するため、カラが手を繋ぎながら話し相手になっている形だ。
現在森の中を行く一行は周囲を警戒する組みと幼女の相手をする組みで分かれていた。
「おい、なんかおかしいぞ」
「そうだな」
「嫌な感じがする」
「南側にモンスターがいないのはわかるが……」
「生き物の気配が全くない」
先行して周囲を警戒している三人が違和感を覚える。森の中を進めば大なり小なり動物がいるものだがそれが全くいない。
いや、いるにはいたがそれは物言わぬ死体であった。何か巨大な獣に食い荒らされ、残った部分を地面に埋められていた。
しかもご丁寧になぎ倒されている木が巨大な何かの存在を主張していた。
森の中のパワーバランスに異常が起きているのは明白であった。
「いるとしたら何かわかるか?」
「埋めてるところ見ると熊かもしれねえが、サイズが問題だな。俺たちだけならまだ何となるかもしれねえが……」
「あのお嬢ちゃんか」
「子供を危険に晒す訳にはいかんな」
「まあそうだな、引き上げるぞ。後ろの二人にも伝えておこう」
「そうだな、おいカラ!嬢ちゃん!」
先行していた三人が報告のため一旦合流し、難しい状況である事を説明する。
「何かいるのはわかったんじゃが、これからどうするんじゃ?」
「無理しても死ぬだけだ、今日のところは引き返す」
「わしの冒険はここまでかぁ……」
冒険者は生きることを第一に、無理をしないことが長生きの秘訣である。それを理解しない者はその命を無駄に散らす。
その点、緑の手は引き際をわきまえているため、依頼を諦めることを即決する。
「でもちょっとだけ!もうちょっとだけどうじゃ!」
緑の手の新入りはわきまえていなかった。初めての冒険がなんだかよくわからないうちに終わってしまうのが嫌なのか、露骨なおねだりをしてくる。
「駄目だ、すまんがパーティーを危険にさらすわけにはいかない」
「ごめんねルルちゃん。また今度行こう?」
「また次がある、無理をしてこれが最後になるよりはずっといい」
「うう~!みんなけちんぼじゃ~!」
かくしてルルの初めての冒険は残念ながら失敗することになったのであった。




