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陶芸部の日常  作者: もち
日常の終わり
3/33

〈3〉



ケーキ屋についた真野は、時計を確認する。

訓練終了時間まではまだ時間がありそうだ。


「お、真野じゃねえか、売り子が怯えてんぞ、ケーキなんか誰かに頼めよ」


店の奥から一人の長身の男がでてくる。

その寄せられた眉と鋭い瞳とは反対に、優しい味の、とても美味しいケーキをつくる男だ。


「ふーちゃんが、辛いケーキ食べたいって。」

「またあいつか。太んぞ。」

「ふーちゃんは太らない」


辛いケーキとはこの男、ワサビの作るケーキのことだ。色白の肌と翠色の短髪から、彼はワサビと呼ばれている。


ショーウィンドウからケーキを取りつつ、ワサビは呟く。


「…なんか妙なもん拾ったらしいじゃねえか。噂になってんぞ」

「もう?はっやいね〜」


はぁーと、盛大にワサビは溜息をつく。


「おまえはさ、もうちょっと自覚を持てよ…」

「え?人気者の?」

「……」

 

真野は、綺麗に包装されたケーキを手渡されると、微笑んだ。


「わさびくんに迷惑はかけないよ。安心して」


「…そういうことじゃねえよ」


じゃねー、と店を出かけた真野に、ワサビは声をかける


「そういや、メリーがお前の事探してるらしいぜ。なんか怒ってたらしいが。」

「えー、めんどくさ」

「…送ってってやろうか?」

「いやいや、わさびくんは仕事あるでしょ」



それに、守られるほど弱くないよ、と笑い、今度こそ真野は店を後にした。



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