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陶芸部の日常  作者: もち
日常の終わり
1/33

〈1〉

目の前の惨劇は全て夢であると信じ、頬をつねり、叩き、ネットで昔調べた夢から覚める方法を全て試したが、如何せん状況は変わらない。


何ということでしょう。いやはや、僕にできる事はこれまでですので…。


悟ったように座禅を組んださとしは、ゆっくりと…目を閉じて…



「え?寝ちゃうの?目の前の奴が見えてるんなら、逃げたほうがいいと思うんだけど」


閉じた目をそっと開けると、少女がさとしを覗きこんでいた。とびきりの美少女でもなく、とびきりの不細工でもなく、なんとなく、一度見たら忘れそうな顔である。


「うむ……」


そうだ。目の前の奴が問題なのだ。金髪のふわふわしたツインテールの奴だ。奴は華奢な体に似合わないバズーカ砲の様な物を、所構わずぶっ放していらっしゃる。


「逃げられるなら逃げたいところだぬ」


さとしは、すがるような目を少女に向けてみた。すると少女は、にこりと笑った。不思議とその笑みは邪悪なもので満ちているような気がした。


「貸し、イチということでいいよ。」



━━━━━━━━━━━━━━━━━



白い無機質な廊下に、ゼエゼエとだらしのないさとしの声が響く。隣を見ると明らかに彼よりも動き回ったであろう少女は、事も無げになにか思案しているようだった。


「助けてもらって、助かりました…あの…一体…ここは…」


「うん。ここは今日の戦闘禁止区域だから…って、やっぱりそれも知らないのか」


ゆめなのに やけにこった せっていだなあ


「私は真野。暇だから、とりあえずあんたを助けてあげる。あんたの名前と…出身とか所属とか、分かるなら教えて。」


「え、僕は、田中さとし。素敵無敵な17歳。出身は、埼玉県で…」

「は、サイタマ?」

「さ、サイタマ…」

「…へぇ」


真野の黒い目が細められた。


「所属は…え…あ…陶芸部…」

「トウゲイ…ってなに?」

「この、あの、ウツワを、ツクル〜…」


手の動きまでつけたのに、伝わらなかったようだ。ちなみに、今作務衣姿なのは、部活とは関係ない。ただの部屋着である。

ついでに言うと、真野は、僕が今まで見たことのない制服を着ている。黒いワイシャツとスカートに靴下。白いセーターには黒い腕章。

ん、黒い腕章、さっきのバズーカー乙女もつけてなかっただろうか。


「ああ、腕章?なんつーか、危険度に応じて色分けされてんの。白が一番弱くて淡い色、暖色、寒色、黒って感じで、レベルが上がってく。」


熱視線に気づいて、答えてくれたのはいいが…


「え、真野サマは…」

「よし、移動するよ。ついてきて。」


真野サマはそう仰ると。スタスタと歩き始めてしまわれた。


夢よ早く覚めろ。



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