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序
雪は
惜しみなく
降り注ぐ
しんしんと
しんしんと
分け隔てなく
あらゆるものに
鮮やかだった
記憶さえも隠して
……
*
誰かが優しく触れていた。
冷たい指先、温かな唇で。
吐息に包まれたさよならが、夢の終わりを告げるまで――
「あら……風かしら」
祖母は立ち上がり、玄関をのぞく。扉は少し開き、そこから雪が舞い込んでいる。
不思議に思いながらも扉を閉めようとした、その時。
降りしきる雪の中、消えていく人の姿を見た。……気がした。
雪は
惜しみなく
降り注ぐ
しんしんと
しんしんと
分け隔てなく
あらゆるものに
鮮やかだった
記憶さえも隠して
……
*
誰かが優しく触れていた。
冷たい指先、温かな唇で。
吐息に包まれたさよならが、夢の終わりを告げるまで――
「あら……風かしら」
祖母は立ち上がり、玄関をのぞく。扉は少し開き、そこから雪が舞い込んでいる。
不思議に思いながらも扉を閉めようとした、その時。
降りしきる雪の中、消えていく人の姿を見た。……気がした。
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