表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風が廻る場所  作者: 飛水一楽
〈鳥籠の章〉
32/116

 「森の要塞」……周辺の土地の人から、千久楽はそう呼ばれているそうだ。

 言い得て妙とはこのことで、森は昔から変わらずそこにあり、厳しい風にさらされるばかりの一生を送る。実際は風が要塞の役目を果たしていると言えるだろう。


 千久楽を囲むようにある、境の森の中にぽつりと、古びた天文台がある。壁はレンガ造りだが、夏は蔦に覆い尽くされ、緑一色の装いになる。蔦は時に建物を傷める厄介ものだが、風が直に当たるのを防ぎ、それなりの情緒を醸し出してくれる。


 秋――夏の緑はわずかに、黄色や赤へ移り変わる様はまた見事である。年老いた建物を色とりどりのネックレスが飾り立てる。夕暮れの赤い光に照らされると、それらはなお燃えるように輝いた。


 地元の人達の話によると、以前は有形文化財で人が住まうことはなかったが、現在では最新の天文設備を備えた観測所として十二分に機能している。外観はそのままに内部も修復され、天文学者とその家族が、今もひっそり暮らしている。



  ――「チクラビトについての考察」より 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ