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Flap  作者: くり
7/13

そして告白

13話















「…ごめん。水谷とは付き合えない。」












「…そっか。でもこれからも友達として仲良くしてね!」











私は笑顔でそう答え、駅から去って行った。








振り向かない。








あのあと

彼がどんな顔をしていたんだろうか。





どんな顔で私を見ていたのだろうか。






気になるけど


ここで振り向いちゃいけないんだ。










前に進め。











気がつくと


私の頬には

涙が流れていたー…


















_______________________________














誰もいない教室。







(さすがにこの時間帯は誰も来てないか…。)







私はいつもの電車の一本早い電車に乗った。


つまり、矢吹翔が乗る電車の二本前の電車に…。





(振られたら こんなに会うの気まずいものなんだな…)






私は人生初の告白であっけなく散ってしまった。





でも後悔はしてない。





綾芽が告白の大切さを教えてくれて、その意味がやっと分かった気がする。







(…振られたってことは、もう忘れなきゃいけないよね…。)









(忘れる努力をしなきゃ!)










私は自分の心の中で決意し、自分の席に着いて、友達の美優が来るのを待っていた。










綾芽にはもう話してある。




昨日電話で話したのだ。







逆に言うと、綾芽だけにしか

まだ話していない。







相談に乗ってもらっていた、美優にもちゃんと伝えないと。
















(美優…まだかなー…)










そう思っていると







廊下から話し声が聞こえた。





誰か来たようだ。








…あれ。

…この声って…












ガラッ











教室に入ってきたのは






町村洸だった。












「あ……。おはよう、水谷。」










「…おはよう。」











「…お前、今日めっちゃ早いじゃん。どうしたんだよ。」











「あ…それは…えっと……今日は早く起きちゃって…ね。」











「…そっか。」











なんとなく気まずい雰囲気が漂う。


会話も少しぎこちない。









「…そうだ!今日は あれだな!調理実習だな!お前、足ひっぱんなよ〜?」











「…そうだったね!町村君こそ足ひっぱんないでよね!」











「俺が足ひっぱるわけねーし。」












そう言って、町村君は笑った。












私には分かった。


町村君がわざと昨日の話題に触れないようにしてくれてること。


気まずくならないように、話してくれていること。




…私が困らないように。







でも私はちゃんと言わなきゃいけない。


町村君には。








「あのさ、町村君。私、言わなきゃいけないことがあるの。」











町村君も私の顔を見て 気持ちを読み取ったのか、笑っていたのをやめて、真剣な顔で話を聞こうとしてくれた。









「…私、昨日、矢吹君に振られちゃいました!」









私は笑顔で言った。




そして続けた。











「でも、悔いなんてないし、もう諦めついた!ちゃんと振られてスッキリしたっていうか…。」








「だから、町村君も私のことは全然気にしないで!ほんとにもう大丈夫だから!」











「水谷…。」











「なんか…町村君にはいろいろ助けてもらったし、申し訳ないんだけど……ごめんね。」











「なんで謝るんだよ。

…俺はずっと水谷の味方だから。」











「町村君…ほんとにありがとう。」












私はこのとき素直に


こんな人がそばにいてくれて


心の底から良かったなって思った。









「そう言えばさ、町村君、あのときなんて言おうとしてたの?」










「あのとき?」










「ほら、昨日私がよろけちゃったときのことだよ!なんか言おうとしてなかったっけ?」











「あ、あ〜!あれね!まあ、あれはだな。…忘れてくれ!ははは!」











「……まあいいけど!

んじゃ、今日も一日頑張りますか!」










「おー!」











二人で拳をあげ、笑った。











「おっはよー!あれ、美麗!どしたの?!今日早いじゃん!」











友達の美優が来た。











「あ、美優!あのね、私、話さなきゃいけないことがあるの。実はね……」











そう言い、廊下へ出て、昨日のことを全てはなしたーーーー










_________________________________














「ったくよー。お前が昨日日直の仕事やらずに帰ったから、もう一回やらなきゃいけなかったじゃん。

あーあー、こんな暗くなっちゃってー。」








私と町村君は今日も日直だった。




居残りさせられて、すっかり暗くなってしまった。


今は町村君と一緒に電車で帰ってるとこだ。








「あれ、そう言えば町村君、自転車じゃないの?」











「今日はたまたま電車。」











「そっか。確か私のほうが降りる駅早かったよね。」









「あ〜でもこんな暗いし家まで送るわ。駅からけっこう遠いんだろ?」










「え、いいよ!そんなことしたら町村君、帰るの遅くなっちゃう!」











「大丈夫大丈夫。

俺、男なんだし、こんぐらいのことさせろよー。」











「…ごめんね。ありがと。」













けっきょく、駅で降りて、町村君に送ってもらうことになった。










「んでさー。うちのおふくろがさー…」








ふぁ〜〜




町村君との帰り道。

私は町村君の話を聞きながら、大きなあくびをしてしまった。









「…お前さ、ほんとは早く起きちゃったんじゃなくて、わざと早く起きたんだろ?」











「え?!」











「ほらやっぱりー。俺には隠し事なんてできないっつーの。お前が朝に弱いことぐらい知ってるわ。」










町村君には全てお見通しのようだ。













「……私、全然ダメで。」






「矢吹君のこと諦めようと思っても、全然ダメで!

大丈夫って自分の心の中に何度も何度も言い聞かせても全然ダメで…。けっきょく矢吹君のことしか頭に無くて。朝の電車のことだって…全部町村君に見透かされてて…恥ずかしいわ…。」










「…バカみたい。

自分がバカすぎて笑えるわ!」











そう言い、町村君を見ようとした瞬間












バッ












目の前が真っ暗になった。



そして暖かくなった。













町村君が私を抱きしめていた。









え…











「町村君…?」









「お前がバカなことぐらい知ってるわ。」









「そんなバカをバカみたいに好きなやつがいるのも知ってる。」










…え?













「…俺にしとけよ。」



























町村君は私を体から離し、私の目を見て言った。












「水谷が好きだ。」




















いつも読んでくださる方、ありがとうございます!

感想とか待ってますんで!!!!!!

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