いけないKiss
ザーザーと降る雨は
まるで私の心の中を表しているようだった。
私はそんな外の様子を見ながら
自分の気持ちの整理をしていた。
私は今日、学校を休んだ。
今は 六限目の授業が終わり、
放課後になるだろう 時間だ。
(仮病で休んだのって初めてだな…)
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六限目の授業が終わった。
町村はすぐに1組へ向かった。
1組に着くと、キョロキョロと教室の中を見回した。
「あ!神崎ー!」
町村は1組の教室で神崎綾芽を見つけると
手を挙げて 綾芽を呼んだ。
そんな町村に気がついた綾芽は、すぐに町村のもとへ行った。
「どうしたの?町村くん。」
「あのさー、今日、水谷 学校来てないじゃん?なんでかなーって思ってさ!」
「あー、美麗ね!今日の朝 美麗の家行ったら、体調悪いって美麗ママが言ってたよ。私、このあと美麗の家よってくんだけど、町村くんも一緒に行く?」
「え?!水谷の家に?!」
「なーに 興奮してんのよ。行くの?行かないの?」
「こ、興奮なんてしてねーよ!!行くよ!!」
綾芽はクスリと笑い、
じゃ、行こっか、と言って
二人は教室を後にした。
そんな二人の会話を
こっそり聞いていた人がいた。
矢吹翔だ。
矢吹は無表情のまま、その場を去った。
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町村と綾芽は電車に乗った。
けっこう電車には学生が乗っていた。
二人は、空いている席を探し、座った。
前には同じ学校の女の子二人が座っていた。
「美麗、大丈夫かな〜」
「水谷が休むって珍しいよな。」
「中学校のときは皆勤賞とってたしね、美麗。」
「そうなのか?!じゃあよっぽどひどいんじゃねーか・・・」
二人が心配そうに話していると
前の二人の女の子たちがこんな話をしだした。
「ねぇねぇ!矢吹翔、いるじゃん?私、本格的にねらっちゃおっかなーって思ってるんだ。」
「あー、やめといたほうがいいよ。矢吹翔、人気出たしたけど、彼女いるみたいだし。」
「え?!そうなの?!誰?!」
「えーっと確か…2組の木下美優って子。昨日の放課後、二人がキスしてるとこ見たって人がいたみたい。」
「なーんだ。じゃあやめとこー。」
ここまで聞き、
町村と綾芽は顔を見合わせた。
(もしかして…美麗が休んだ原因って…)
二人は同じことを 思った。
それと同時にちょうど駅に着き、
二人は急いで美麗の家に向かった。
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ピンポーン
家のチャイムが鳴った。
綾芽かな。
私はそう思い、ベッドで横になっていた体を起こした。
パタパタと、スリッパを履いている母の足音が聞こえてくる。
その足音は徐々に近づき、私の部屋のドアかあいた。
「お見舞いに来てくれたわよ。綾芽ちゃんと、あと男の子が1人。」
男の子?
綾芽だけだと思っていた私は
驚いて、無意識に髪の毛を整えた。
部屋に入ってきたのは
綾芽と町村くんだった。
よっ!と町村は言い、笑った。
「町村くんも来てくれたんだ…。」
「まぁ、心配だったからな!」
「美麗、大丈夫?」
「綾芽も町村くんもありがとう。風邪ひいちゃってさー!でももうだいぶ元気になった!」
私が笑顔で言うと、
二人は顔を見合わせて、
深刻そうな顔をした。
「え…どうしたの?二人とも!」
すると綾芽が言いにくそうに
話し始めた。
「…美麗が休んだ理由って、ほんとに風邪?もっと別の理由があるんじゃないの?」
私はその言葉で、
綾芽が何を言いたいか、わかった。
そして
二人は全部知ってるんだと気づいた。
「…知ってるんだ。昨日のこと。」
私は二人に問いかけた。
二人は黙ったままだ。
「もう、なにがなんだかわかんないんだよね。ちょっといい感じかな?って思ってたし、もしかして矢吹くんも私のこと想ってくれてるかもってちょっとでも期待しちゃってたし。でもそれは私だけだった。私だけが勘違いしてて、矢吹くんには彼女がいて。しかもそれが私の友達で。笑っちゃうよね。」
私は思ってた気持ちを全部はきだした。
ずっと誰かに言いたかった。
聞いて欲しかった。
私はどこか救われた感じがした。
ほっとしたのだ。
ほっとしたのと同時に
私は自然に こんな言葉をもらしていた。
「もう 矢吹くんのこと好きでいるの やめよっかな」
すれ違う二人はどうなってしまうのか。
木下美優と矢吹の関係は?
そして矢吹を諦める発言をした美麗は、
町村と付き合うのか?
なんかサブタイトルが
ドラマとかでよく使われてるタイトルみたいになってしまいましたが…笑
また次回も見てくださいね!!