土曜日
和成はサニータウン5班の家を拓人を連れて挨拶に回っていた。
「この度はご迷惑をお掛けいたしました。」
「えぇ…、身体は元気になりましたが、時々幻覚が見えるようで、ノグチトシコとうわ言のように呟いています。」
「陽子が退院しましたらしばらく実家に連れて帰るつもりです。私はしばらく残りますが、陽子が戻ることはないでしょう。皆さん、本当に今までありがとうございました。」
「バイバ〜イ」
拓人は美和子に向かって手を振った。
「ちゃんとご挨拶できるの。偉いねぇ〜。」
美和子は拓人の頭を撫でながら言った。
挨拶廻りが終わり、和成が自宅へ戻ると、何人かが美和子の家に集まってきた。
高島野江、藤田明子、山中由紀江である。
4人は集まるとコソコソと話し始めた。
「上手くいったね」
「陽子ちゃんには可哀想だったけどね。」
「あの子が全面リフォームとか言い出すから悪いのよ。そんなことされたらアレが見つかっちゃうじゃない。」
「だから天井裏に隠すなんてヤバイって言ったのに…。」
「あの時は誰も反対しなかったでしょ!売りに出されて、防犯センサーまで付けられるなんて誰も思わないじゃない!」
「気持ち悪いからってアレの処分を先送りにしてたのはあんたでしょ!」
「まあまぁ、元はといえばノグチのババアが悪いんだし…。」
「シッ!!」
美和子はたしなめる様に皆を見渡すと、それを合図に集まったメンバーは退散しはじめた。




