火曜日
和成を送り出した陽子は掃除、洗濯を手早く終わらせるとスーパーまで買い物に出掛けようと用意を始めた。しかし、いつも愛用しているエコバッグが見当たらない。
この前帰って来て何処にしまったっけ?
陽子はパントリー、食器棚、と探したが見つからない。
あった!
台所の引き出しの中に見つけた。引き出しにサランラップをしまった時に一緒にしまいこんでしまった様だ。
全く、自分が嫌になるわ…。
エコバッグを出し、引き出しを閉めると、ハガキが落ちてきた。引き出しの下に入り込んでいたのだろうか?
陽子は何気なくハガキを見た。
普通のダイレクトメールのようだ。
やだっ!なにこれっ!
二つ折りのハガキの本文には大きく「督促状」と書かれていた。
宛先は、ノグチ トシコ 様
陽子も聞いたことのある某消費者金融からの手紙で、文面は丁寧だったが、元本と、利息、遅延損害金合わせて150万円を支払って欲しいという内容だった。
宛先の住所はこの家の住所。日付けは4年前となっている。
ノグチさん?前に住んでいた人かしら?
借金というものが大嫌いな陽子は汚いものでも扱う様にハガキを丸めてゴミ箱に捨てた。
スーパーでは美和子に会った。昨日感じた視線の話をすると、
「陽子ちゃんは可愛いんだから気をつけなきゃダメよ!たまに庭にいるのを見かけるけど、露出度が高すぎ。若い男の子には目の毒だわ。」
と、逆にたしなめられてしまった。
拓人が帰りたがってぐずり始めたので、結局、もう一つ気になっていた、「ノグチ トシコ」については聞く事ができなかった。
陽子が家に帰るとインターホンが点滅していた。留守中に誰か訪ねてきていた様だ。
このインターホンは録画ができるタイプのため、来訪者をチェックする。
モニターには黒いワンピースを着た女が写っていた。帽子を目深に被っており、顔は良く見えないがボサボサの茶髪が帽子の下から見えている。
誰かしら?
陽子の家を訪ねてくるといえば、友人を除けば、ご近所様と宅配業者くらいである。
ふと、「ノグチ トシコ」の存在が思い出され、陽子はゴミ箱から先程のハガキを探し、眺めていたが、拓人の
「ママ!ジューチュ、ジューチュ!」
と言う声に急かされ、ハガキを引き出しにしまい、
「はいはい。」
と言いながら拓人の方へ急いだ。




