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優しく!もっと優しく!!ぐああああ

ソファーの上に半分寝転んだまま魔物についての考えに耽っていた。とは言っても他人の部屋で…。


未婚の少女が少年とは言え異性の部屋に入るのはどうかと思うが、児童期からの付き合いなので親はまだ気にしてないらしい


私が住む家とレベロが住む家は同じ中層だが東部と北部で別れている。まぁ余り離れてはいない徒歩5分の距離


現在15歳なので、既に6年以上足を運んでいるわけだ


先日の騒ぎが意識に引っ掛かったままの私は、狼型のが岩窟に住み着た憶測を幾つか並べ上げた。一度気になると中々どうして忘れられない事ってない?


自力で移動したか、はたまた他国の介入で転移したか、何にせよ南西部の岩窟は街道に近い。国が狼殲滅の為近々動くだろう


ソファーがきしむ


〈…〉


長い髪を横で束ね、ローブの上だけ着用しているので足を晒し


傍で揺らぐ読者用の青白い魔力灯。


手元には高等魔術と一般的に呼ばれる魔導書を開き、流し読んでいた



この世界に置ける魔導士とはスキルとセンス、経験や技量と感性が密接に交わっている為ある意味脳筋的な「邪魔な物は魔法で吹っ飛ばしちまえ」なんて魔力バカが生まれる。そんなの二流魔導士だと思うが現にそういった手合いは多い。真に優れたる一流は知識と技量を兼ね備えた存在なので、魔導学者と魔導士を兼用していると過去の偉人から学んだ



主に外見は15の少女だが度重なる人生に中身は中年親父と化して、もはや性別すら曖昧になりつつある。……元は女だから根底は女ベースだが、


…おいちゃんは、…おいちゃんは……女の子が好きだ!


ムサい戦上に咲く花達の有り難さ。ヒゲやら胸毛やらその他の毛にまみれた男共より遥かに自分の目を潤してくれた。自分を除く女性に乾杯。……この顔のまま男に生まれた方が幸せな人生だっただろうなぁ



『ッ』


が、しかし。考えを打ち切ろとばかりにビリビリと痛みに襲われ、わざと手荒く治癒術をかける相手へと冷や汗を流しながら抗議を唱えた。ニヤけ顔が一瞬で青白く変わる


『ちょーっとレベロさーん?


治療が物凄く痛いんですが…||』


「うん。仕方ないね。僕見習いだし?」


何食わぬ顔で優雅に言った元御曹司だが、…あれ?確か貴方、1度目の再会した時、治癒も可能な水魔法使ってた。


『ぐばあああ!!!』


他人様の家に響き渡る己の声


「そんな大きな声出さないでよ」


理不尽な仕打ちによい子のロードさんは声を抑えた…。


下手な治療魔法というのは痛みを伴う。患部を再生するに当たっての再構築の段階で電流が流れるような苦痛が発現してしまうのだ…。これは患者の持ち得る魔力と魔導士との魔力の量の違いから摩擦により生じることにより起こる

つまり、治療魔法は患部の理解は勿論のこと、流し込む魔力の調節も捨て置けない繊細な魔法である



『ほんと!真面目にお願いします!』


狼の爪が掠ったのか軽く毒素が入り込んでいた左足。苦痛に耐えながらしばらく[のた打ち回って]いたら、ある時を境に痛みが消えた。治療が終わったのではなくレベロさんがまともな治療をしてくれたからです



今日は北部区域にあるレベロ宅に移動中、「依然としてアウスリケアの上層部は議論を続けているらしい」との情報交換をしている魔導士達の会話を立ち聞きした。横切るついでだね。


どうやら原因の追求と、王国と王国の所要領土からの進撃を魔法国家の重鎮達は警戒しているようだった


『…』


視線を感じて、水色髪の少年の顔を仕方なく見返す



………


モソモソと焼き菓子を口に運んでいれば


レベロから「やれやれ」と軽く呆れたような眼差しを感じる。が、これもパターン化しており、きな臭い情報は率先して私が集めていたり…――それをこの男は非難し、何より男自身の平穏を乱される事を嫌がっている




頭は回るが一方そうそう国が混乱すると結論に至らない限り自主的に動きそうにない


限りなく放置に近い処置とはこの事だろう…/



狼はおおよそ帝国北部の寒地に生息している。王国砂漠地帯にもいるが毛並みは太陽光を和らげる為に白いのが特徴だ


〈戦争による経済効果の流れを把握すれば、世界の流れが面白いほど浮かび上がるのに…〉と、地球の裏側まで情報が知り得た現代人の病気とも言える興味




〈町を支配下に置く事が目的なら、圧倒的に王国の方がメリット大きい〉


200年以上前、戦争が絶えなかった頃は王国が優勢だった。だがしかし霧深き魔物の森に国を築いてからは二国の戦力差はは釣り合っている



『ここ最近気候が急激に変わったなんて話しは…』


「町では聴いていないよ。調べるのかい?


学生の僕らには荷が重過ぎると思うんだ」


少年の言葉から滲み出る放置主義


『調査に着ている人間に見つかれば色々と不味いとは思う…。』


「それとも、君が今から議会にゴマをすっておこうなんて…、そんな殊勝な子だったとは知らなかったよ」


見つかれば、と言ってるのに


念を押すように飽き飽きした眼差しを少女は少年へと向け、肩をすくめた



〈他にも気になる事があるんだよねー〉



大陸有数の魔法国には留学生が着ている。今回の騒ぎ。…もし外部の仕業と上層部が判断したら…?







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