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焼き付いてるよ、濃い記憶だ。


輪廻?あればいいね。家から出ていけ


神はいればいいとは思うが、きっといない。


世界は科学で回っている。


そんな感性の日本人だった。



成人過ぎた頃までの記憶は残っているも、その後は空白。どう生きて、どう死んだかは記憶に残っておらず……。感想としては残念。


日本にいたのはあれ切りだから統計的に自分がどう死んだか興味が持ったのだ。


さて、そんな半端な記憶を持ったまま別世界に生まれ落ちた。輪廻はあった、が、おかしいな。地球上に生物はごまんと存在しているから次は細菌か昆虫にでもなったろうに



半端な記憶と別世界の記憶を並みに持ったまま何回も何回も具体的には二十八回ほど生まれ変わった


貧しい農民、領主の息子、中世の一般市民。亜人。


環境や時代風景を変え、幾たびも続いたそれに特に不満を抱く事もなく、膨大な時間を己の好きな事に費やした


知的好奇心を埋めるのもいいがもっと原始的に私を満たす物



剣、……剣は、いい。



鼓動が張り裂けそうに高鳴り、脳内に死のイメージが浮かぶ、


瞬間ぞくぞくと喜びに戦慄が走る



戦場を駆け、鉄の臭いが時間の経過と共に腐臭に変わる不快感


吐き気を催しながら興奮を感じるよ



…――――――自分はこういった変態だ。普通を理解しているからこそ普通ではないと理解している








とりあえず自分についての要らない情報は植え付けたので本命に入ろう


ここ数回の輪廻に必ず関わりある別の変態についてです。ハイ。



初めて会った時、魔物は存在するが現代に似た文明社会


汚い金を使い捨てる為に豪華客船に旅行者として乗り込んだ私


一方ダイ…――失礼、元々二人とも別の名だったんでυ

この場合レベロだ。レベロは実家が開いた富裕層のパーティーにうんざりしつつ出席したが結局甲板に抜け出た


そこで二人は遭遇した訳だが


裏社会に片足突っ込んでいる察してもなお会話を続けようとする燕尾服の坊ちゃん。


……妙な縁だが交友は続き、場所は大都市へと移る


そこで気付いたのは、この相手の感性は変わっているといった事柄でした


その時の人生は互い忙しい人生ながらたまに会う気の合う友人で終え、二度と会う事も無いと思っていた



だがしかし次は転生した時、戦争が絶えない中世ヨーロッパのような世界で青年期に顔を合わせた見た事ある顔を貿易業を営んでいた祖父の執務室で見つける


秘書として大富豪に雇われていた水色髪の男


長い睫毛に縁取られた人形のような人類の理想の造形は見間違えれなかった。…美しいわー。タイプじゃないけど美しいわー



再会した私達は色々都合が良かったので今回は夫婦として連れ添い、同時にビジネスパートナーとして組んでいた。それが一回目の再会です



しかし…、次の人生であっさりと別の女性に鞍替えしたレベロ


お淑やかで綺麗好きで優しい良妻賢母な女性と結婚して、穏やかな家庭を築いた。奥さんの名前は確か…ヘレン…?


二度も人生忙しすぎたから三度目は平穏に過ごしたいのも頷ける。初めての子供か



…、まぁ…ギルドで楽しい楽しい傭兵生活送ってた自分には責められないのだよυ


…色気は薄いが戦争が多い世の中だけあって、陰謀や翻弄される人間のドラマが星の数ほどあって目まぐるしく日々は巡った



そして再び人生の幕引き



考えみれば、友人として過ごした世界以外は[早死に]している覚えが…


ビジネス夫婦の時は、国の勝利に貢献したとして招かれた海沿いの城で開かれたパーティーに出席し、敵国に爆破された城と共に海に沈んだ…。32歳で夫婦共々早死に


前回はレベロは長年生きした可能性が高いが、私達ギルドは押し寄せる災厄と呼ばれる魔物の群れから都を守るべく防衛ライン砦を死守に当たる。嫌に勘の当たる自分は戦略の落とし穴に気付き、一騎駆け状態で砦を守るも代償として戦死した…。


充実した日々だった/



…そんなこんなで、今度は1800年の英国の明開化レベルの文化社会に転生しましたが坊ちゃんまたいるですね、またですか。


魔力ある世界なので転生自体は不可能はないのですが



転生者で何度目も顔を合わせるとは実に稀少…。


ぶっちゃけ互いに種類は違えど性根は歪んでいるので…神の祝福は候補としてナイ。無いわー…






魔法都市アウスリケア。歴史的には北部のガリア帝国から枝分かれした巨大な塔型の魔導士達の国であり


塔の近隣は深森に囲まれ、濃い魔力の霧は長年の月日をかけて森に住まう魔物を強暴化させた


他国は勿論、自国すら殲滅は不可能とされる天然の城壁を生み出し、町自体は年間の3/4を魔力を帯びた青白い霧に覆われ


フードを被った魔導士達がそこらを出歩いている訳だから、霧に包まれた幻想的な町ながら視覚に陰気な町ではある





『おやつにお母さんがチェリーパイ持たせてくれたんだけども


食べる?』

本音で言えば好物なので全て自分の腹に収めたい所だが、母はかなりの頻度で行動を共にしている青銀髪の分を入れている


「君が食べなよ」


だがレベロは断った。


遠慮とかではない、研究所の食堂で出た昼食は煮込みハンバーグだったので存外腹持ちがよかったのだろう。首を横に振る様子は可愛らしいがそれは見せかけだ。


もしレベロがチェリーパイを食べたい時にこの相手の分が私の腹に収まっていたら、コイツは間違いなくその事をうちの母親に言うだろう。パイ一つで崩れる関係ではないが報復は忘れない恐ろしい男である…。小さな復讐を楽しんで行うのがこの男の本性…。何だかここまでの説明だとこちらが一方的に相手の愚痴を告げているのでもう止めるが…/




パイを食べ歩きしながら魔力灯に照らされた薄暗い通路を歩く子供


アウスリケアの子供達は両親に魔導士や魔導技術者を持つ割合が恐らく世界一多い地域である。


従って魔導士の素養あるいは研究者になるべく環境が整って―――――具体的に挙げるなら教育機関があり、優れた魔導士、魔導技師、魔導学者の部門でスパルタ教育されると町の下層に来ていた傭兵が雑談していた


ちなみに現在地は塔の中層で、研究機関や公的機関、その関係者が住まう区画なので外部の来訪者は下層より八割削られている。


下層は魔導具や専門書を取り扱う店を見に他国から足を運んだ旅人や魔導士の要請に来た王国の人間やら他国からのスカウトなんかもいたりする


北の帝国と南の王国は仲は良くなかったが二国の中間地点に200年ほど前にアウスリケアが造られてから均衡が保たれていた…。何故ならこの都市から世界中の六割の魔導士が輩出されるのだ。備えなく敵に回すのは稀代の愚か者のみだと考える



『あ゛いげうばらがっほうかー…』


パイくずを服や道にボロボロとこぼしなから、来月始まるこの都市における子供の義務教育に独り言を漏らせば、行儀の悪さを見て見ぬ振りをした元御曹司が「転ぶよ?」と笑顔で言った。


通路のそこかしこに生えている塔の支柱変わりの大樹の根は薄暗く中では最高のトラップだ



あ、誰か来た


無言で私は残りのパイを口に詰め込み何時ものように愛想笑いを浮かべれば隣りから諦めたような視線を感じた。ごめんなさい。人が見ていないところで品が無い事をするのは愉しいんです。反省しない事を反省します。



―――――――――――――来月から学校が始まるんです




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