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ぬかるむ山道と護送車



地鳴りと同時に馬車が大きく揺れた。


『…~?』


山道に入ったのか寝心地最悪な中、浅い夢を繰り返し視ていたがこの騒ぎ。雨音が五月蝿い


メキメキと木々を薙ぎ倒すような破壊音


護衛兵が声を荒げて魔物の襲撃だと騒ぐ



魔法を放ったのか、引火する音が耳に入り、それらを聴きながら椅子部分に寝転んでいた自分は堪えきれなかった欠伸に涙を滲ます



〈中型か。魔力は強くないが魔術に耐久のある甲羅が硬いタイプの魔獣か。


…繁殖期になって街道を狙って狩りに来た、か、


……それか、まぁ…〉



アウスリケアの護衛兵は優秀なので大型の肉食獣や中型の魔物の群れぐらいでは全滅はまず無い。


高を括ってはいたが、それを覆す方法が一つ二つとポツポツ思い付く。だが一つはまず自然界に措いて確率が低いAランク以上の魔物との遭遇。次いで二つ目は、他力本願な案だ



〈…〉


中継する町までは護送車に運んで貰うつもりだったが、そろそろ動けとの天啓なのかも知れない。ものはタイミング。よし逃げよう



『…え……』



床が大きく揺れた。そして下から突き上げるように回転する護送車内部


まるで遊園地のアトラクションのように回り続ける。その度に遅れて体を床へと打ち付けながらいい加減魔術でぶっ飛ばすかと思考した直後、


突如【グンッ】と浮遊感を感じ、背中を下に落下してゆく



下は川だった


護送車は鋼鉄製。沈むのに時間はかからない



水の侵入が激しい


天井の穴から川の水が入り、物の数秒で完全に沈んだ



〈―――確認出来なかった…〉


操られた魔物なのか否か、それによってレベロが関わっているか判断が付いただろうが、激しい水の流れにそれも叶わない



禁忌分類に当たるだろう魔術術式を脳裏に浮かべ、


透明化した四肢は水中を流れた









◆ ◆ ◆




『…っ』


体温を奪われてガチガチと歯の根も合わぬまま陸に上がった黒髪の女


顔面蒼白な上、濡れた黒髪



逃亡を防止する為、全裸にされていたので剥き出しの足に擦り傷ができていた


ペタペタと近場の森へと歩き出す


目指すは西、一先ず帝国領土内からは一時出てしまいたい





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