表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

第8話 陰陽師は縁切りをする

 朝起きて、チャンネル登録者数と再生回数とコメントをチェックする。

 登録数は32で、再生数は約5千6百だ。


 そう簡単にバズらない。

 何か起きない限り、そうだろうなと思う。

 真中ふびとのホームページの閲覧数も8万5千で5桁止まりだ。


 健闘していると思うが、こんなところだろう。

 まあいいさ。

 バズるのが目的じゃない。


 魔王みたいなのが現れた時に、最悪の未来が来ないように備えることだ。

 周囲から陰陽師だと認められればいい。


「おはよう」

「おはよう」


 教室に入ると俺の挨拶に、御花畑(おはなばたけ)が応えてくれた。


「ふーん、いつの間に仲良しさんになったのかなぁ」


 小前田(おまえだ)がそう聞いてきた。


「昨日ちょっとな。二人で幽霊屋敷を見に行ったんだ」

「そうそう」


「駄目! そういう話題はパス。話しただけで霊が寄って来るような気がするんだもん」

「視てやろうか?」


「怖いからやめて」

「良美は本当に怖がりなのね。ほらあなたの後ろに」

「もう、からかわないで」


 俺はカタログスペック100%をしてから、狐窓を作った。


「あー、憑いているぞ」

波久礼(はぐれ)君、脅かそうとしたりしても駄目」

「カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」


 早九字を切った。


「ギャー」

「ちょっと今の叫び声誰よ。誰か脅かしたんでしょう」

「私は聞こえなかったよ」


 俺は聞こえていたが、聞こえないふりをした。

 しばらくして救急車の音がする。

 近所かなと思ったら学校に入ってきた。


「隣のクラスの高麗(こま)さん倒れたんだって」


 小前田(おまえだ)が青い顔して震えている。


「どうしたんだ」

「あの声、高麗(こま)さんだった」

「叫び声ね。彼女となんかトラブルがあったか?」


「隣のクラスの秋津(あきつ)君に告白されたの。噂では高麗(こま)さんが彼のこと好きだって。もちろん秋津(あきつ)君には断ったわ。そうしたら、上履きに画びょうが入っていたの」


 あー、何となく図式は見えた。

 で高麗(こま)さんが小前田(おまえだ)を呪ったと。

 霊能力者もどきはいるんだな。


高麗(こま)さん貧血だって」


 そう噂話が聞こえてきた。


「助けてあげなさいよ。何なら私が依頼するわ」


 そう御花畑(おはなばたけ)が言った。


「助けるよ。そのつもりだった」


 授業は終り、放課後になった。

 さて、どうするか。

 縁切り刀印護符というのがあるらしい。

 通販サイトに護符の映像が載っていた。

 それを真似して書く。


 効能の説明書きもある。

 それを家でプリントアウトしてカタログスペック100%。


 俺は真中ふびとに変装した。

 御花畑(おはなばたけ)と待ち合わせて小前田(おまえだ)が暮らすマンションに。

 インターホンを鳴らす。


「はーい、どなた」

「真中ふびとです」

「どうぞ入って♡」


 小前田(おまえだ)が中に入れてくれた。


「声どうしちゃったの?」


 御花畑(おはなばたけ)が囁く。


「変えてみた」

「多芸ね」


「二人は仲がいいのね。少し妬ける」

「勘違いしないで欲しい。今回は仕事できた。生霊に悩まされているらしいな」

「それが、分かんないの。大した実害がないから」

「騙されたと思って術を受けてみろ。カタログスペック100%」


 護符が光に包まれる。

 小前田(おまえだ)に刀印を作らせる。

 そして護符をなぞらせた。


「これで終りだ。悪縁は切れた」

「お代は?」

「それなら心配しないで良い。御花畑(おはなばたけ)からの依頼だ」

「悪いわね、波久礼(はぐれ)君」


 小前田(おまえだ)がさりげなく言った。


「悪くはない。はっ、いつ俺だと気づいた」

「傷と雰囲気で」


 くそう、ばれてしまうものなのかな。

 声をせっかく変えたのに。


「手首の傷を隠した方がいいのかな。でも、できれば、隠したくない。これは名誉の負傷なんだ」

「そうなの」

「私も初めて聞いた。陰陽師の秘術でなんとかならないの」


 俺はネクターポーションを傷口に掛けた。

 傷口からは黒いもやが上がり、ネクターポーションと反応して激しくスパークを散らした。

 おー、そんなことになっているとは。

 ただの傷じゃないとは思っていたが。


「凄いね」

「うんうん」


 驚愕する二人。

 俺自身もびっくりしているところだ。


「分かったか。ただの傷じゃないんだ」

「敵はどんな悪霊? もしかして鬼」

「悪霊はだめだけど鬼なら見てみたいな」


「敵は邪神だ。仕事も終わったし、もう帰るよ」

「今日はありがとう♡」

「わたしからもありがと♡。それにしても良い声」

「声良し、顔良し、神秘性よし、非の打ち所がないと思う」

「格闘技もできるんだから、脱いでも凄そうね」


 話が危ない感じになったので、逃げるように帰った。

 二人が救えたのが嬉しいが、恋人がほしかったわけじゃない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ