第45話 陰陽師は虐めを辞めさせる
配信を再開した。
さてどうなっているかな。
チャンネル登録者数をチェックする。
1700ぐらいに半減していた。
前は3000を超えていたのにな。
仕方ない。
出直しだ。
復活最初の配信は学校でのいじめ。
と言ってもこれは動画の投稿は匿名で行う。
俺は拡散するだけだ。
親鼻の奴らは腐っているから、尻尾を出しやすい。
放課後、俺は摩利支天の隠形法の印を結んだ。
「カタログスペック100%。ノウマク・サマンダ・ボダナン・オン・マリシエイ・ソワカ」
これで消えて見えるはずだ。
昼休み体育館裏に行くと親鼻達、8人と他のクラスの奴が一人いる。
気の弱そうな奴だから虐められているのだろう。
しばらく様子をみる。
「金は持ってきたか。分かっているだろうな、おい!」
親鼻がそう言って脅した。
「もうないんだ」
「こいつ裸にむいて、撮影しようぜ。きっと受けると思う」
親鼻の仲間の祖塩がそう言った。
「分かっていると思うがアップするなよ。広まると犯人探しが始まってウザくなる」
たしなめる親鼻。
「分かってるよ。おい、早く脱げよ」
虐められている奴は小突かれて嫌々服を脱ぎ始めた。
「ぐひゃひゃ、マジックで落書きしてやろうぜ」
「やめて」
糞だの、ザコだとのブタだの色々な罵詈雑言が体に書き込まれる。
「久しぶりにすっきりしたな。波久礼の野郎が妙に強くなって変な術を使うから、イライラしっぱなしだ」
虐めを即止めたいが、先生を呼んできたぐらいではどうにもならない。
親鼻の父親は理事だからな。
うやむやにされるのが関の山だ。
だから、俺はその様子を録画した。
そろそろ見ていられなくなった。
これ以上、エスカレートすると、可哀想で声を出してしまいそうだ。
俺は一旦離れてから、何気ないふうを装って、体育館の角から現れた。
初めて見たというように大げさに驚く。
「お前ら、本当に腐っているな」
「くそう、チクるつもりか」
「どうだかな。呪いの藁人形食らっとけ。カタログスペック100%」
一旦は離れた時に、こいつらの髪の毛を藁人形に仕込んである。
そしてスキルを使った。
「ぐがぁ」
「あがっ」
「ぐっ」
「いたい」
「ががぁ」
「くそがぁ」
「がぁぁ」
「ぐわわ」
8人が藁人形に釘を差し込まれてのたうち回る。
「災難だったな。今日からもう平気だぞ」
俺は虐められていた奴に声を掛けた。
「ありがとう」
虐められた奴が慌てて服を着ようとする。
「ちょっと待て。これを塗ると落ちるらしいぜ」
俺は持っていたハンドクリームを渡した。
マジックの消し方と書かれたホームページをスマホで出して、カタログスペック100%をする。
みるみるハンドクリームとティッシュでマジックは落ちた。
虐められた奴が服を着たので、行くように促す。
「じゃあ、お前ら。これに懲りたらもうしないことだ」
声を掛けてからその場を後にした。
授業が終わり、家に帰ると、俺は匿名でさっきの動画をアップロード。
コメントを見ると許せないという意見で溢れた。
『許せない』
『この虐めている奴を特定して凸しようぜ』
『ああ、学校にもな』
『さっそく特定したぜ。ここは○○高校だ。真中ふびとがいる高校らしい』
『そう言えば、週刊誌の記事に真中ふびとが虐められて主犯が自殺に追い込まれたって書いてあったな』
『こいつら、その残党じゃね』
動画のアドレスを生徒間のSNSにも流す。
俺SNSで拡散するとともに、動画をコピーして配信した。
『真中ふびとが、虐め動画を拡散して煽っている』
『こういう奴らは許せんでしょ』
『へへっ、学校に苦情を入れたぜ』
『電話番号、教えろよ』
『03-△△△△-■■■■だよ』
『仕事が早いな』
くくくっ、いい具合に炎上している。
俺以外にも拡散する奴が現れた。
さて、次なる仕込みに行きますか。
俺の予想では、もみ消しに掛かるはずだ。
俺の時がそうだったからな。
全校生徒にアンケートをとって、虐めなしと教育委員会が判断したんだ。
実際は虐めありのアンケートは改ざんされたらしい。
この世界の俺の記憶ではそうなっている。
証拠の映像がいくつかあったので裁判には勝てた。
それで主犯格の野神だけの仕業になった。
映像には野神と俺しか映ってなかったらしいからな。
今頃、親鼻の親は火が点いている頃かな。
姿を消して学校へ潜入しよう。




