表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/60

第35話 陰陽師、魔法の調味料を作る

 昼休み、また親鼻(おやはな)から呼び出しを受けた。

 行ってみると、竜の刺繍がされたスーツや白スーツなどの男達が親鼻(おやはな)達の背後にいる。


 あれっ、見知った顔があるな。

 どこで会ったんだろうか。


 思い出したヤクザの藤沢(ふじさわ)さんの所の奴だ。

 サングラスを掛けて分からなかったが、よく見ると藤沢(ふじさわ)さんも後ろの方にいる。


 ええと、正丸吾野(しょうまるあがの)組だったっけ。

 堅気になったんじゃなかったのか。


「お前ら正丸吾野(しょうまるあがの)組だったよな。ネクターポーションを飲んで生まれ変わったはずだ」

「どうしてそれを」


「堅気になったにしては物騒だな。どういうつもりだ」

「子供の喧嘩に大人が出て行くのは卑怯だが、なんでも番を張っている奴がヤクザ並みに悪辣な奴だと、俺らに仕事が回ってきた」

「誰が番を張っているって」


波久礼(はぐれ)、お前だ」


 親鼻(おやはな)が俺を指差した。


「まあいいや。掛かって来い」


 俺はヤクザ共を叩きのめした。


 そして、藤沢(ふじさわ)さんに耳打ちした。


「真中ふびと」

「あの方の関係者でしたか。それはとんだ粗相を」

「それと、俺は番を張ってないし、悪辣なことなどしてない。これで回復しろ」


 俺はネクターポーションを渡した。


「おい、聞いてた話と違う。この落とし前をどうつけてくれるんだ」


 恫喝する藤沢(ふじさわ)さん。

 真っ青になる親鼻(おやはな)達。


「まあまあ、若気の至りってやつだよ。落とし前は金で払ってもらえばいい。違約金ってやつだ」


 俺はヤクザ達をなだめた。


「あなたがそういうなら」

「愛の鞭をくれてやる」


 親鼻(おやはな)達の腕の骨を折ってやった。

 それからネクターポーションを掛ける。


「おい、引き上げるぞ」


 俺はちょいちょいと藤沢(ふじさわ)さんを手招きした。

 俺が責任をとる必要はないが、ヤクザ達がどうなっているのか知りたいと思ったからだ。


 藤沢(ふじさわ)さんと学校の近所のファミレスに入る。


「ところであなたはどちら様で?」

「真中ふびと本人だよ」


 俺は前髪を後ろに束ねてそう言った。


「似てますが別人でしょう。もしかしてご兄弟ですか」

「まあ見てろよ」


 俺はメイクを始めた。


「おお、ふびと先生。気づくのが遅れて申し訳ありません。この詫びはいかようにも」

「詫びなんかいい。お前の所はどうなっている」

「組はほとんど解散状態なんですがね。行き場のない奴が残りまして、食っていくには仕事しないといけない。それで何でも屋をやっているわけです。今回の依頼は、番を張っている奴に、痛い目を遭わせてやれってことでさぁ」

「ネクターポーションの上りだけでは食っていけないのか」

「甘露は段々と色々な所から注目を浴びて、獲得が難しくなりまして」


 どうしたものか。


「仕方ないな。ネクターポーションを優先的に売ってやる。だが直に取引は不味いな。やっぱり、ネットオークションしかないか。アカウントを変えたら教えてやる。落札しろ。他に嗅ぎつけられたらアカウントを変えりゃいい」

「ありがてぇ」


 アカウントの作り直しはそれほど手間じゃない。

 それにしても、何でも屋か。


 もうちょっとましな職業はないのか。

 おお、そうだ。

 魔法の調味料もオークションに出してやれ。

 一振りでどんな料理も高級店という(うた)い文句の奴があったな。


「魔法の調味料も出品してやる。こっちは市販品の転売だから、気づかれることはないだろう」

「屋台は得意ですぜ」

「頑張れよ。仕事する時は裏を必ずとれ。悪の手先にはなるなよ」

「それはもう肝に銘じます」


 授業が終わり、芸能活動を終え、へとへとで帰って来た。

 でも今日は魔法の調味料をゲットしてある。

 それを左手に、右手には、(うた)い文句が書かれたホームページを表示してあるスマホ。


「カタログスペック100%」


 いまから母さんが夕飯の支度をするはずだ。


「母さん、夕飯にこれを使ってみて」

「急にどうしたの?」

「まあいいから。騙されたと思って」

「じゃあ、チャーハンでいいわね」


 チャーハンを炒める音がして良い匂いが部屋の中に立ち込める。

 味見をした母さんが固まった。


「おっといけない」


 俺はガスコンロの火を止めて、フライパンを母さんからもぎ取った。

 硬直するほど、美味いんだろうな。

 俺は皿にチャーハンを盛り付けた。


「史郎ちゃん、この調味料どこで買ってきたの」

「スーパーだけど、術が掛かっているから」

「術って凄いのね」

「まあね」


 しばらくして父さんが帰ってきた。


「「「頂きます」」」


 チャーハンを口に含む。

 この世の物と思えない美味さが体中を駆け巡る。

 思わず叫びたいような。


 これは大ヒットするな。

 あとでこのメイカーとコラボしたい。


 これなら、藤沢(ふじさわ)さん達もなんとかなるだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ