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第25話 陰陽師は少しバズる

 放課後モデルの仕事の帰り道。

 黒い霧が渦巻いているのを見つけた。

 人が多く通る道なのでみんなスマホを手に撮影している。

 俺には黒い渦の禍々しい気が感じられた。

 右手の傷がうずく。


 黒い渦がひと際激しく回転。

 骨の手が渦の中心から現れて、やがてスケルトンを産み落とした。


 渦が消える。

 スケルトンには黒い霧が纏わりついていた。


 野次馬は危機感がないのか相変わらず呑気に写真撮影している。


 突如スケルトンが素早く動き、野次馬に襲い掛かった。

 襲われた野次馬は黒い霧に包まれて呻いている。


「きゃー!」

「逃げろ!」


 野次馬はようやく事態を悟ったらしい。

 一目散に逃げ出した。

 俺が何をしているかというと、陰陽師の本の画像データをスマホで見ていた。


 解釈があっているか分からないが、五行では骨は水の性質で、土は水を剋するらしい。

 土をもってあたるのが良いらしい。


 灰を使って退治すれば良い。

 護摩行を前に行っていた。

 それは河川敷の一角で、10センチぐらいの仏像を設置。

 灰を敷いて、その上に木を組んだ。

 火を点けて、真言を唱え始めた。


「カタログスペック100%。ノウマク・サマンダ・ボダナン・バン」


 火が燃えるを見て、手印手を組んで真言を唱える。

 こうやって護摩の灰をゲットした。

 本尊を供えて火を燃やして祈るだけだからな。

 護摩の灰は色々と使えると思って大量に作った。


 その灰をスケルトンに投げつけ。


「カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」


 早九字を切った。

 スケルトンが溶けるように消えた。


 残されたのは真っ赤な魔石だった。

 異世界ではよく採取したので懐かしい。

 この世界の妖も魔石を残すのか。

 いや、そんなわけはないな。


 陰陽師になるために色々な物語を読んだが、魔石を残すというのは読んだことがない。


「凄い。あのう、霊能力者の方ですか」


 女性に声を掛けられた。


「陰陽師の真中ふびとと言う」

「一緒に写真撮ってもらっていいですか」

「構わないけど」


 写真を撮ったのを見せてもらった。

 他にもスケルトン退治の動画がある。


「動画の権利を買い取りたい。事務所と話してもらっていいかな」

「霊能力者なのに事務所があるんですか」

「モデル活動もしているんだ」

「なるほど」


 グリプロから渡された真中ふびとの名刺を渡す。

 電話番号も聞いたから、これで動画を買い取れるはずだ。


 家に帰るとニュースはスケルトンの話題一色だった。

 機動隊が出動する騒ぎだったらしい。

 被害者も相当数出たようだ。

 電話が掛かってきた。

 芦ヶ久保(あしがくぼ)さんからだった。


『おめでとうございます。チャンネル登録者が1000人を超えました』


 いきなり電話でそう言われた。

 俺は慌ててパソコンを点けた。

 チャンネル数が大幅に増加している。


『うわっ、いったい何が』

『スケルトン退治の場面を目撃されたでしょう。どうやったんです?』

『護摩の灰を投げつけた』

『またまた、正直に話して下さいよ』

『正直にもなにもそれだけだよ』


 検索を掛けると俺のスケルトン退治の動画がいくつも上がっている。

 機動隊との戦闘もあるな。


『マッチポンプではないのですよね』

『そんなことはしてない。そっちに動画を買い取るという件で電話が来ただろう』

『ええ、買い取っておきました。データも貰ってます』

『あれに映っているのが全てだ』

『本物なんですか』

『いや、本物に近い偽物。ほら小道具必要でしょ。で護摩の灰を作って携帯してた』

『そうなんですか』

『用がそれだけなら切るぞ』

『ではまた明日』


 機動隊との戦闘を見ることにした。

 ポリカーボネイトの盾を構えて、機動隊が一列に並んでいる。

 対峙するスケルトンが突っ込んできた。

 吹っ飛ばされる機動隊員。

 発砲音がしてスケルトンの頭蓋骨の半分が吹き飛んだ。


 スケルトンの頭蓋骨はすぐに治った。

 組み敷かれた機動隊員が黒い霧に覆われる。


 スケルトンが盾で殴打され下がった。

 どうやってスケルトンをやっつけたかというと盾の殴打でだ。

 粉々になったスケルトンは、回復の限界を超えたらしい。

 やはり魔石になったようだ。


 チャイムが鳴った。

 来客か?


 特徴のあるダミ声がした。

 リビングに行くと仏子(ぶし)さんと元加治(もとかじ)刑事が来ていた。


「刑事さん、拾った石が欲しいそうよ」


 お茶を淹れている母さんがそう言った。


「魔石ならあるけど、これをどうするんだ」

「お偉方はこれをエネルギーとして使いたいらしい。放射能より危険でなけりゃ良いんだが」

「邪気はないと判明してる」


「へぇ、もうそんなことが分かったんだ」

「ええ、霊気炉(仮)と呼ばれている物ができ上がってるぞ」


 色々と仕事が早いな。


「持っていっていいよ」


 俺は魔石をテーブルの上に置いた。


「ご協力ありがとうございます」

「ありがとう。ところであの骸骨はどういう妖なんだ」


 仏子(ぶし)さんが俺に尋ねた。


「分かんないよ。調べるのは警察の仕事だろ」

「あなたが退治したんだよな」


「護摩の灰を掛けた」

「それも頂戴」

「しかたないな。でも、俺でないと100%の効力は発揮しないよ」

「それは仕方ない」


 小瓶に入った護摩の灰を仏子(ぶし)さんに渡した。

 このバズり具合はどうなるか明日が楽しみだ。


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