表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/19

第16話 企業舎弟は反逆する

Side:藤沢(ふじさわ)武蔵(むさし)

 わしは藤沢(ふじさわ)武蔵(むさし)

 言うなれば、チンピラ以上、ヤクザ未満。

 組から盃を貰ってないので、半分堅気とも言える。


 今日は簡単な仕事だ。

 裏ビデオの撮影。

 相手役の女は馬鹿な女子高生の御花畑(おはなばたけ)という名前のスケ。

 女優にしてやると言ったらほいほいと契約書に判を押した。


 ビデオのタイトルは、『極道とギャル。女子高生やられちゃいました』。

 わしらはフロント企業なので、堅気を装っている。

 墨なんか入れちゃいない。

 撮影のために入れ墨のボディペイントをする。


 入れ墨と違って痛くないので、弟分もボディペイントを見せ合ってははしゃいでた。

 女が到着。

 話が違うと揉め始めた。

 こんなのは簡単だ。

 バックの名前さえ出せば、大抵は一発で黙る。


 そしたら化け物がやってきた。

 何だよあれは。

 陰陽師を名乗ってはいるが、鬼のまちがいじゃねぇのか。


 やつは帰る時に傷が治る不思議な水を置いてった。

 今回の埋め合わせのためにもこいつを上手く使わないといけない。


「兄貴、その水、俺に使わせては貰えませんか?」

「どう使う」

「アル中とか、ヤク中を治療してやって治療費を分捕ります」


 まあ、それも良いか。


「やってみろ」


 そして、昼食の時。


「うはぁ、天国が見える」


 昼飯を食っていた奴の一人がそんなことを言い始めた。

 こいつ、薬をキメてやがるな。


「はぁぁぁぁぁ、爽快」


 別の奴が叫んだ。

 もしかして、飯に薬を入れられたか。

 誰の仕業だ。


「飯に薬が入っているぞ」

「もうばれちゃいましたか」


 そいつはあの薬を預けた奴だった。

 手には水鉄砲を持っている。


 そしてそいつはそれを乱射し始めた。

 突然のことに顔に水を食らってしまった。


「くああ、気持ち良過ぎる」


 垂れてきた水の一部が口に入ったのだろう。

 物凄い爽快感が押し寄せてきた。

 そして、今まで犯してきた罪を告白しなければという思いに駆られた。


 そいつは自分の口の中に水鉄砲を発射して、恍惚としていた。


 あの爽快感をまた味わいたい。


「くれ」


 わしは口を開けた。

 水が口に入って来る。

 悟った。

 罪を償わないと。


 改心してない仲間を羽交い絞めして、水を口の中に入れる。

 全員が改心した。


 わしらは、警察に自首したところ、大した罪ではないので、調書をとられ帰された。

 それから、わしらはあの薬をまた使いたいと分析を始めたが、驚いたことに成分は水だ。

 あらゆる病気とけがが治るらしい。


 一滴コップに垂らせば、十分な爽快感が得られると、分かったが、もう水の残りが少ない。

 わしは、あの女、御花畑(おはなばたけ)と連絡を取った。


 ふびとという化け物から、あの水を買うことができた。

 もうこの水、ネクターポーションは手放せない。

 そしてこのネクターポーションの素晴らしさを世界中に伝えるのだ。


「おい、手筈はできたか」

「ばっちりですよ」


 今日はバックについている正丸吾野(しょうまるあがの)組の宴会。

 酒にネクターポーションを混入した。

 わしらは水鉄砲を持って別室に待機した。


「くおお」

「かはぁ」


 始まった。

 わしらは覚悟を決めて隣室になだれ込んで、水鉄砲を乱射する。


藤沢(ふじさわ)、何のつもりだ」


 組長が尋ねる。


「いえね。改心して貰おうと思いまして。では」


 容赦なく顔面にネクターポーションをぶっかけた。


「くあああ、負けんぞ」


 組長の口の中に僅かに入ったようだ。

 組長は爽快感と戦っている。

 開いた口の中に追加で水を入れる。


「ふははは、こうしゃいられん自首しなければ」


 組長が落ちた。


「おんどれ親父に何をした!」


 チャカを至近距離からぶっばなされた。

 わしは慌てずに水鉄砲からネクターポーションを飲む。

 肉体から排出される弾丸。


 痛みさえも、快楽で塗りつぶされる。


「くぅぅぅ、お前も改心しろ」


 信じられないと、目を剥く組員の顔に、ネクターポーションを掛けてやった。

 あんぐりと口を開いていたので改心したようだ。


 けが人なく、わしらの戦いは終わった。

 組長が自首して引退。

 組はほとんど解散状態になった。

 あとを継いだのは昔ながらの極道精神を継ぐ男。


 この日からわしらの武器は水鉄砲になった。

 聞いた話では組の抗争では負けなしらしい。


 頭や心臓に弾丸を食らわないかぎり無敵だから、納得いく話だ。

 敵対してた組ももれなく改心した。


 わしらは今日もネクターポーションを売っている。

 ネクターポーションには甘露という俗名がついた。

 500ミリペットボトルに、原液を1滴入れた物が数万円で取引されている。


 警察に捕まる奴も出たが、水を売っているのだから取り締まれない。

 病気が治るとかいうと薬事法で取り締まられるから、甘露ありますよとだけ看板を出した。

 脱法ドラッグを売る店にも卸した。

 しかし、あのネクターポーションは何でできているんだろうな。

 大学の研究室もお手上げだったんだぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ