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6.後宮4

 用意されたお菓子とお茶を口にして一息ついたところでローズが口を開いた。


「ねえ、シャーロット」


「なんでしょうか?」


「秩序というものは守らなければならない。そう思わない?」


「そうですね」


 いったい何の話だと思いながらも、相槌を打っておく。ここで適当に答えてしまってもいいことはないと思ったからだ。


 秩序というのは後宮における規則のことだろうか。


 ああ、でも、確かにそうね。今の私の状況はそれに値する。

 元々の上級妃を追い落とした、といわれてもおかしくない。

 自分が指示したわけではない。勝手にそうなっていたのだとしても周囲はよく思わないだろう。


 彼女は自分に釘を指しにきたのだ。

 これから後宮で生活する者として相応しい行動をするように、と。


 案の定、ローズは後宮での決まりごとをグチグチと言い出した。

 要は、「お前、上級妃として後宮に入ったからといって調子にのるなよ。こっちは既に王女を産んでいるんだ。そのうち必ず王子を産んでみせる。そうなれば自分が正妃になること間違いなしだから、邪魔するなよ!」ということである。要約すればだが。

 言われたほうからすれば堪ったものではない。こちらは好きで後宮入りしたわけではないのだ。必要に駆られて仕方なくきたにすぎない。こちらとしては「知るかボケ」なのだが。


 文句なのか嫌味なのか分からない話を延々と聞かされる身にもなって欲しい。

 好きで後宮にきたわけではないというのに。まあ、この様子ではそれを言ったところで信じないでしょうし、訳の分からない罵りを受ける羽目になりそうなので黙っていよう。


 そもそも後宮にきた理由の一つとして、カペル公爵家はまったくの無関係とは言い難い。


 ローズの弟、ウツケット・カぺル元公爵子息。

 彼は私の()()()()()()()()だった。


 ウツケット有責で婚約は破棄となっている経緯もあり、正直、ローズとはあまり関わり合いたくないというのが本音だったりする。


「――――わかったわね? くれぐれも身の程を弁えた行動を心がけることね」


 言いたいことだけ言って満足したのか、ローズは上機嫌な様子で帰っていった。




 三日後、ローズからお茶会の招待状が届いた。

 内容は『紅薔薇茶会』という名の、招待客全員がそれぞれ“紅薔薇の髪飾り”をつけて参加するというものらしい。




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