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19.グーシャ国王陛下side

 シャーロット・カールストン侯爵令嬢。

 元上級妃の彼女をオウエンに嫁がせた二日後、療養先から父上が戻られ、私は殴られた。それはもう見事に吹き飛んだ。

 いきなりのことに、対応できなかった私は、避けることもできなかった。


「この愚か者が!! よりにもよって侯爵令嬢をたかだか伯爵家の次男に下賜だと!?しかも大勢の前で!!自分が何をやったのか理解しておるのか!?」


「……申し訳……ございませ……」


「何よりも恥ずべきは、シャーロット嬢に冤罪を被せたことだ!!」


 厳しい叱責だった。

 こんな父上の顔を見たのは何年ぶりか。

 さらに殴り飛ばされた。

 今度は吹っ飛ぶだけでは済まなかった。倒れこんだ床から動けない。


 病床におられた父上のどこにそんな力があったのか……。


 倒れ込んだ私に向かって父上が告げる。


 シャーロットに罪は一切ないと。

 全ては真犯人による冤罪だと。

 証拠となった物証は捏造されたものだと。


 更に、本当に一番ひどく嫌がらせを受けていたのはシャーロットだと……。


 真犯人はローズ上級妃。

 彼女の罪はそれだけにとどまらないと。



「グーシャ、お前には一ヶ月の謹慎を命じる」


 反論は許さない。

 そう言い捨てて父上はこの場をお開きになった。


 つい先ほどまで座っていた玉座。

 そこから引きずり出され、殴られ、己の罪を教えられた。


 憎々しげな視線。

 それは今まで見たことのない父の顔だった。











 国王になって六年。

 私には即位して直ぐに娶った妃たちがいる。

 その中で一番早く妃になったのが幼馴染でもあるローズだ。


 ローズ・カぺル公爵令嬢。

 私の一つ下の彼女は昔から活発で妹のような存在だった。

 気心のしれた彼女が側妃候補としてあがって来たとき、私は彼女を誰よりも信頼していたので、喜んで彼女と婚姻した。

 国内の有力貴族達が自分の娘、または一族から美しい娘を妃にと、後宮に入れようとしていることを何処か苦痛に思っていたのかもしれない。

 だからこそ、ローズが上級妃として後宮入りした時はホッとしたくらいだ。


 彼女は王族の血を引く公爵家の令嬢。

 正妃候補のトップ。


 ローズが私の正妃になるものだとばかり思っていた。


 だが、ローズは私の正妃になることはなかった。



 



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