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三十三羽 ☆ リュリュエル、至宝!

「ただいま、帰りました!」

「早すぎ!? って、ラブエル!?」


「拳の天使フィスエルじゃないか!

可憐な美しさとたくましい拳が永遠の至宝!

そのキュートな瞳で俺を見つめてくれ!

ドン!」


「ラブエル、海の中で壁もないのに壁ドンしないでくれる?

わたし、そっちの趣味ないし…………もしかしてないこともなかったりするの、わたし?(チラリ)」


「捕まった天使様がいるとお伝えしきれなかったのに、ラブエル様を助けてくれたんですね!」


「で、マリン姫が抱きついている、そのイケメンは誰よ?」

「わたしのラブラブラブリー王子様!」

「はい! 海辺の都ウミベーノ王国の王子様で〜す!」


「おのれ、抱きつくな! 恥ずかしいことになってるわたしを離せ!」

「わたしの王子様がぎっちり緊縛されてます!

これはこれで!?」


「人魚姫が危ない道に目覚めそう!

緊縛したの誰よ!?」

「愛の天使の俺だ!」


「愛の天使は緊縛できるのね!?」

「愛の成せる技! どんな技術もときによりけり!」

「見事な手さばきでした!

おかげで緊縛、覚えちゃいました!」


「覚えるな!

で、この王子様どうしたのよ?」


「通りがかりに王様さんたちと作戦会議をしていたのを見つけたので、ついでにひろってきました!」

「ついで!? めちゃくちゃすぎる! ついでってレベル超えてるわ!?」


「マリン姫! 王子!

もう二人をはばむ壁はなにもない!

思う存分、二人の愛を育むといい!」

「海の中だから実際、壁ないわよね?」


「愛だと!? なぜ私がそんなことをしなければならない!」

「王子様! 二人のねっぷりな愛をお忘れですか!?」

「魚類など、わたしが愛するものかっ!」

「魚類! リュリュエルと同レベル!

壁ありまくりだったわ!」


「そんな!? 人魚は水中哺乳類、あの濃ゆ〜〜〜い日々を覚えてらっしゃらないのですか!?」

「魚類との苦い思い出など海のもくず同然!」


「お二人とも白熱ですね!」

「王子様が緊縛されたままの、このやりとりってどうなのよ!?」


「マリン姫! 泣かないでくれ!

王子の心はどこにいってしまったのか!?

俺の愛の心は引き裂かれるようだ!」


「ラブエル、暑苦しいわ!

二人は愛し合ってたのよね? マリン姫」


「そうなんです!

ヤミエルが現れるまでは、それはもうたっぷりとねっぷりと!」

「聞いたわたしがバカだったわ!?」

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