三十一羽 ☆ リュリュエル、尾行!
「ヤミエルだっけ? あんたってば、もしかして前世は厨二病男子?」
「ち、ちちち、違うぞ!?」
「動揺してるじゃない? エンジェルフィスト!」
「ごふはっ!? なんという縮地! なんという拳打!」
「よかった〜〜〜〜〜! 普通の反応で!
安心しちゃった!
わたしは拳の天使フィスエル、7級よ。
拳だけなら特級天使にだって匹敵するんだから!
それなのにこいつは〜〜〜!」
「フィスエルなんで睨むんです?
ボク、なんにも悪いことしてませんよ?」
「くっ! 下級天使ごときが、この俺に片膝をつかせるとは!?」
「ここ海中よ」
「わたしの王子様を返して!
マーメイドルフィンキ〜〜〜ック!」
「ぐっふ〜!」
「追い討ち! 回転しながら吹っ飛んでいきました!
人魚さん、実は強い!」
「くっ! ここはおとなしく引き下がってやろう。
次はないからな、覚えておけ!」
「めんどくさいから覚えませ〜ん」
「なかなかの逃げっぷりね」
「………………。
ボク、ついて行っちゃいます!」
「は!?」
「人魚さんとフィスエルは待っててくださいね!」
「あ、あの! 捕まってる、て……」
「エンジェ〜〜〜ルインビジブル!」
「話の途中で消えた。
また勝手に! ……しょうがないわね。
マリン姫の護衛はまかせておきなさい!」
……ヤミエルの背中をぴったりついてきたら、海辺の王城にきちゃいました!
ここは、王族が使う一室のようですね!
「くっ! まさか下級天使にいいようにされるとは!?
リュリュエルとかいうでたらめ天使はなんだ! 貴様、教えろ!」
「こないだ天使になったばかりの、いつもくるくるしていて、ふわふわしたやつだったと思う!」
「そんなやつに俺の攻撃は効かなかったというのか!
右眼の封印まで解放したというのに……くっっっ!」




