十五羽 ☆ リュリュエル、無責任!
「経験値カンスト、レベルMAX!
神様ダメですよ〜。勇者様のためには、これぐらいやらないと!」
どこから現れたリュリュエル!?
「勇者様、お名前は?」
「俺か? 俺はささきひろし」
「ユウ・シャニナールくんに比べると……
ちょっと残念なお名前ですね」
「残念で悪かったな!?」
「はい!」
「少しは歯に衣着せない?」
(全国のささきひろし様! ごめんなさい。てへぺろ!)
「今からあなたは魔王を倒す勇者、マオ・ウォタースゾ様に大決定です!」
「決定!?」
「このステータス画面を見てください」
「ほんとだ、マオ・ウォタースゾになってる……マオか、それもいいな!」
「前向き! マオ様! この剣を振るってください!」
「よし! やってみる!」
呆れて見ておれば、何を勝手に話を進めておる!?
ちょっと待て!
その剣、聖剣のひとふりではないか!?
「さすがマオ様、見事な剣閃!
魔王なんて一撃で倒せそうですね!」
「痛! 痛たたたたた!
体がめちゃくちゃ痛いんだけど!?」
当たり前じゃ!
レベルが上がったからといって、肉体や精神が都合よく向上するわけではない!
実経験を得て、レベルと共にステータスが上昇することで勇者として成長するのだ。
これでは紙切れのような心と体に、太陽のごとく巨大なエネルギーを宿したようなもの。
リュリュエル! めちゃくちゃなことをしおって、どうするつもりじゃ!?
しかも、その聖剣は……。
「え? 勇者様がひたすらがんばればいいんじゃないですか?」
がんばる前に死んでしまうわ!
「ん〜……ボク、知っらな〜い!」
消えおった!? 無責任がすぎる!




