箱庭
あの満月の夜から4週間があっという間に過ぎ、僕が風の里に着任して1ヵ月余りが経った。
僕らのブースで課題だった分身シズカの思考と感情の波長が途切れ、一時的に動作が停止する現象は『途切れを回避』する制御プログラムを組み込むことで解決した。
解決に導いたのは、あの夜、諏訪・龍崎夫妻の姿から得た発想。陰陽の法則の言葉がキッカケだった。
「陰は陽を引き、陽は陰を引く。陰と陰、陽と陽は反発する。陰は陽に変化し、陽は陰に変化する。陰は陽を生み、陽は陰を生む。陰と陽は対立するのではなく相補的なもの」
僕はこの言葉から思考と感情を陰と陽として捉え、その境界線に焦点を当てた。境界線があるから途切れが発生する。であれば、境界線をなくせば回避が可能だと仮説を立てた。
どちらか一方に大きく偏りが現れた時点でバランスを保つ駆動制御を促すプログラムを作動させる。生成AIで仮説ソースを抽出してから篠崎さん達プログラマーがソースを組み換え、稼働テストを繰り返した。
シズカ個体での最終テストを通過して、今日、分身初号機『シズカ』は研究開発エリア実験場『箱庭』に移される。外見、仕草、表情までもが人と何ら遜色ないシズカ2体が僕らと同じルートを辿り研究所を出て箱庭に向かう。
研究所メンバー全員が同行したいのは山々だが、8つのブースからブース長と他1名づつの16名が所長の諏訪さんに随行することになった。
なぜか?新参者の僕も随行者の1人に選出された。駆動制御ブース長、城木要さんの推薦だと言うが、何となく諏訪さんの差し金の様な気がする。
「最終段階の課題解決に貢献したんだ。皆が称賛しているぞ」諏訪さんは誇らしげにそう言うが、何年も前から所属しているメンバーを差し置いてとなると、かなり気が引ける。
これも今までなかった僕の新しい感覚で、何というか少し煩わしくもあった。
だいたい、新設プロジェクトだと聞いていたのに、それはメンバーを召喚するための対外的な理由付けだったなんて。どうりで事前説明は全くなしでの承諾書サインに素行と素性調査だったわけだ。
2体のシズカを中央に据えて回廊を17名が縦列で進む。人そのものの動作で足の運びもシズカのモデル風見さんにそっくりだ。僕は最後尾から、そんなシズカの後ろ姿を眺めていた。
―――分身チームの研究所から宿舎回廊を抜けると出入口に8台の車が停まっていた。
先頭から順に乗り込む。2体のシズカは1体づつ分散して乗車。一方には諏訪さんが、もう一方には龍崎さんが同乗した。
僕がチーム長の城木さんと8台目に乗車した時にはシズカが乗った先頭車両2台は既に遥か先を行き見えなくなっていた。
『箱庭』は研究・開発8つのエリアの中心に位置し、岩山を綺麗にくり抜いた様な円筒形の断崖下層でアメーバ細胞の防壁と岩山から流れ落ちる水しぶきに守られた実験場だ。
南に位置する工学エリアから見ると北にあたるから僕が工学エリアに入った出入口とは逆方向に車は進んだ。
隣に座ったブース長の城木さんは諏訪さんの学生時代の後輩だそうで、彼女の突拍子もない行動というか発想に当時から振り回されていると嬉しそうに話してくれた。
大学に残り研究職に就いたそうだが、12年前に諏訪さんに召喚されて風の里に着任したのだと言う。
「予算も論文も教授の手伝いもすることなく、研究に没頭したいと思わないかい?」
諏訪さんの誘い文句にそんな夢物語の様な所があるのか?と思ったそうだ。「ここに来るまでは騙されてやろうじゃないかと思っていたさ」と笑いながら語っていた。
「君の事は、諏訪さんが着任した3年前から聞いていたよ」と言いつつ、なかなか着任してこないから素行に問題がある人物なのかと思っていたと聞き捨てならないことまで教えてくれた。
「でも、諏訪さんの見る目はいつだって予想の先をいくから」
城木さんは僕へ微笑みを向けると「着任早々に研究所で強制退所なんて初めてだったよ」と前方へ目を向けた。
城木さんの視線の先へ目をやると岩山が見えた。出入口らしきものの前までくると音もなく扉が開く。
いよいよ、僕は風の里研究・開発施設エリア実験場の『箱庭』に足を踏み入れた。
―――岩山を綺麗にくり抜いたトンネルが暫く続いた先に1つ目のゲートが現れた。ここで、8台が揃うのを待っていた様で僕らの車両が到着するとゲート前の照明装置が点滅を始めた。
予め入所申請がされた車両、製品、人しか箱庭へ入ることは許されない。「入所確認をしているんだよ」前方の様子を窺っていた僕に城木さんがポソリと呟いた。
点滅信号は車両自体と交信して入所の可否を判断するそうで「箱庭は特別な場所だからチェックは風の里で一番厳重なんだ」と城木さんは付か加える。
そもそも、この車両に乗車する時点で登録者以外にドアは開かれないから乗車することすらできないのに。更に、ここで二重三重のチェックが入るのだから相当に厳重なのだろう。
まぁ、風の里で製品化する製品自体が数年、数十年先の代物なのだから厳重すぎるぐらいが丁度よいと思う。
そんな特別な場所に僕の様な新参者が入っていいものなのだろうか?と、またしても今まで感じたことがない考えが頭を過った。
「箱庭へ新物が納められる時は、里長が必ず立会をなさるんだ」
風の里では施設長を里長と呼称している。文字通り風の里のトップで何度かその呼称は耳にしているが、僕はまだお目に掛かった事がない。
「後は、里長直属の統括管理部課長補佐の鏑木さんが立会うと思うよ」
統括管理部の所属人員は250名程で、8つのエリア、チーム毎に数名の担当者が配置されている。鏑木氏は分身チームの担当者だから立会は当然と言えば当然だ。
「諏訪さんは山吹さんを里長に会わせたくて仕方がないんだよ」
城木さんがそんな風に思ってくれていることは有難いことなのだが、僕は4週間ぶりに顔を合わせる事になる鏑木氏の方が気になる。
なぜなら今夜、僕は鏑木氏と諏訪・龍崎夫妻の自室で会う約束をしているのだから。
点滅信号が僕らの車両と交信を始めた。今はシズカの箱庭入りに集中しよう。
「光栄です」
僕は城木さんに呼応しつつ、前方のゲートに意識を向けた。
―――研究所への入所より厳重な4段階のチェックゲートを通過すると風の里では初めて目にする金属製の巨大な扉が現れた。
扉と言ってもそこは風の里だ。見た目は銀行の地下金庫を思わせるが、蔓の葉紋様が模られていて、いかにもカラクリが施されている様に見える。
「ダンジョンの入口みたいだろう?」
城木さんは初めて見た時にはユニークさに笑ったと口元を歪めていた。見覚えがあると思った紋様は左耳たぶに装着しているチップと同じで『吉祥家の家紋、三つ蔓葉牡丹』だそうだ。
諏訪さんが乗車している先頭車両から紋様の中央に青紫色の光が照射された。
箱庭の照射キーは、里長直々に手渡されるそうで、手にすることができる人員も限られているのだと言う。
「里長と副長、後は龍崎さんと諏訪さんに鏑木さんの5人だけだったかな?確か」
城木さんは記憶を手繰り寄せる様な素振りで箱庭の出入口の開錠許可が与えられている人物の名を一人一人挙げていった。
ここでも鏑木氏の名前が挙がった。里長直属の部署とは言え、彼の役職は課長補佐だ。一般的な企業であれば最重要権限を与えられるポジションではないはずだ。諏訪・龍崎夫妻とも親しい間柄だろうことは、2人の接し方から見て取れるし、里長の秘書的な仕事も任されている様だった。
彼の事をほとんど知らないまま、今夜会う事に準備不足と言うか、僕の事は隈なく知っているという時点で既に敗北している様に思う。
紋様の中心で照射された光が膨張すると蕾だった牡丹の花びらが開いた。
「ここからが見ものだよ」
城木さんは後部座席のシートから身体を起こした。
3枚の葉の中心で牡丹の花が完全に開くとガチャリと大きな音が空洞に響いた。重なる様に葉が回転、蘭の花が一輪咲いた。紋様が組換えられ、別の紋様に模られたのだ。そして、ガコンッと重い音とともに扉は内側へ開いた。
―――箱庭は風の里の8つエリアをそのまま凝縮した空間で、各エリアから常駐している人員もいる。研究所がある黒曜石の採掘場跡は標高500mの山頂から300m下に、ここ箱庭は山頂から100m下に位置している。
着任した日、研究・開発施設エリアに入った時に断崖から見下ろした箱庭は街そのものだった。
「外の空気を入れようか?」
箱庭に進入すると城木さんがサンルーフを開けた。アメーバ細胞の防壁に覆われているとは言え、外空間と接触しているからか?研究所がある空間とは空気感が異なる気がする。
「風が、いや風の香りが違うだろう?」
目を閉じ大きく息を吸った城木さんの仕草につられて僕も大きく息を吸った。
なんだろう?この心地の良い香りは?懐かしいと言うか?身体が解れる様な?溶け込む様な?不思議な感覚がある。
「箱庭ならではなんだよ」
着任してから分身チームの研究所から出ていない僕に城木さんは他分野で開発された製品の話しをしてくれた。
この香りは自然科学、環境科学、医療科学、行動科学と農学が共同開発した製品だそうで、香りの作用で人間の感情をコントロールすると言う。
アロマや香が人体に影響を与える事は知られているが、その効能や効果は古代ローマまで遡る研究結果がある程だ。
箱庭全体に漂うこの香りは森林をベースにアレルギー成分を分子レベルで除去、興奮状態の抑制と心身の安定を保つ効果をもたらしているそうで
「狭い空間での使用が可能になれば、例えばいじめやハラスメントを抑制する効果が期待できるじゃないか?」
城木さんは「開発段階での想いがそのままに使われる空間なんだよ、ここはね」と何とも嬉しそうだった。
―――担当ブースが同じでも普段は分身開発以外の事で会話をする機会はほとんどなかったから、城木さんがこんなに饒舌な方だとは知らなかった。
城木さんは風の里の仕組と箱庭の存在がどれほど革新的なのかをシズカの納入先である介護施設までの道すがら教えてくれた。僕が着任した日から、この話しがしたくてウズウズしていたと笑いながら。
企業の研究・開発室や大学での研究は専門性は高くはなるが、他分野に触れる機会は少ないし時間もないからどうしても視野や視点が狭くなる。
風の里はそうした研究・開発の課題を製品を開発テーマに据え、分野をまたいだチーム制を採用することで解決に導く仕組みを構築した。
そして、風の里の1/10の空間『箱庭』で実証実験前のテスト稼働を繰り返す。箱庭に納められた段階で98%は完成している状態だから
「他の研究所の製品が箱庭に入ると皆が自分事の様に喜ぶんだよ」
城木さんは、それでも残り2%が未完成だと言うことを決して忘れてはいけないと戒めの様に語った。
「そろそろだね」
前方に病院が見えてきた。
介護施設はこの病院に併設されている。建物の大きさは里内と変えていないそうで、件数を縮小していると城木さんは前方を指し示した。
介護施設の正面玄関ロータリーで8台の車両は停車した。正面玄関前に箱庭専属のスタッフ4名と鏑木氏の姿があった。
背が高く、背筋がピンッと伸びた気品漂う佇まいの男女が鏑木氏に何か尋ねている。
「鏑木さんの隣にいらっしゃる方が里長と副長だよ」
城木さんの言葉に車を下りながら視線を正面玄関へ向けると里長と副長の2人と目が合った気がした。
――――2体の分身初号機シズカは里長と副長に紹介された後、出迎えたスタッフと共に施設内を巡回する。
「「本日よりこちらで勤務致します。よろしくお願い致します」」
同じ言葉、同じ声、同じ体勢で施設スタッフ、入所者と挨拶を交わすシズカはモデルの風見さんそのものだ。今の所、2%の未完成部分である環境の変化による誤作動が起こる様子は見られない。ここから1年を掛けた箱庭での稼働テストが始められる段階をクリアしたということだ。
巡回しながら周囲を気づかい会話を交わすシズカ2体の姿に同行した分身チームメンバーは目立たない様にガッツポーズを決めていた。
研究・開発を手掛ける者、技術屋にとって最高に高揚する瞬間だ。こんな時は皆が一様に無心に何かに没頭している子どもの様な表情になっている。
僕はチームで味わうこの瞬間が溜らなく、歓喜の声を上げたい衝動を抑えながらもガッツポーズを決め込むメンバーを誇らしく思った。
「山吹悟さん」
シズカと共に入所者の室内に入ったメンバーの様子を廊下で眺めていた僕の横に鏑木氏に案内された里長と副長が立っていた。
「はっ、はい。山吹悟です。はじめまして」
思わず反射的に挨拶をすると2人は微笑みを向けた。
「はじめまして、風の里施設長、吉祥疾風です」
遠目にも気品を感じさせると思ったが、至近距離で対面すると次元が違う。イケメンなんて言葉では納まらない。眉目秀麗?存在感?威圧感ではないが、立っているだけで辺りの明度が上ったような気さえする。
「山吹さん?」
「はっ!失礼をしました」
思わず見惚れてしまった。差し出された右手を慌てて両手で握ると同じように左手をそっと添えてくれる気づかいも洗練されている。僕は気を取り直して施設長こと里長に改めて挨拶をした。
「この度、分身チームに配属されました山吹悟です。よろしくお願い致します」
「こちらこそ。山吹さんのお話しは諏訪さん、龍崎さん、そして鏑木からも聞いています。着任早々に本領発揮ですね」
「ありがとうございます」
僕は里長から目が離せなかった。何だろう?この引き込まれる様な感覚は。あれっ?そう言えば『吉祥』って名乗っていたよな?
「副施設長の吉祥美月です。普段は農業地区を統括しています」
続いて副施設長。こちらも長身で里長と雰囲気がよく似ている。そっくりと言っていいほどだ。そして副長も『吉祥』と名乗った。
紛れもない風の里を含む『里山プロジェクト』を手掛ける吉祥グループの大元、吉祥家一族ということだろう。
「悟、思考領域の展開が見て取れる癖が出ているぞ」
いつの間にか僕の両脇に諏訪さんと龍崎さんが立っていた。
「やっと、悟を紹介できたよ」
諏訪さんは「一月も里をあける長がいるか?」半分笑い、半分呆れた表情を里長に向けていた。
「そう言わないで下さい。美月を残していたでしょう?」里長は副長へ視線を向けながら諏訪さんに言い訳でもするような口ぶりで告げていた。
何とも楽しそうに里長、副長と会話する諏訪さんの背中を眺めていると強い視線を感じた。視線の主は鏑木氏だ。
彼もこの一月一切、研究所には顔を出しておらず、今夜の面談?と言うか?鏑木氏の言う僕との決着をつける場は諏訪・龍崎夫妻がお膳立てしてくれた。
僕らが2人だけで会う事が心配だったのだろう。諏訪・龍崎夫妻の自室でお二方も同席して下さることになっている。
鏑木氏があまりにもじっとこちらへ視線を送るものだから、僕は「お久しぶりです」の思いを込めてペコリと頭を下げた。
僕の動作につられたのか?鏑木氏もペコリと頭を下げて僕に向けていた視線を外した。少し拍子抜けした感じだ。以前の様な敵意むき出しの視線ではなかったから、成果を出したと見てくれているのかも?とも考えられるが、何事も勝手な思い込みや期待はしないに越したことはない。
いずれにしても今夜、僕は鏑木氏と正面から向き合い、そして、この先の研究所での事と篠崎さんへの想いをもう一度正直に伝えようと思い、諏訪さんの背中に視線を戻した。
僕の思考を読み取る様に龍崎さんが耳元でポソリと呟く。
「望は昔から里長と副長を気に掛けていてね、時折、妬いてしまうほど嬉しそうに、心底楽しそうに会話をするんだ」
私の前で2人と話し込む時は保護膜を装着している時だけにしてくれと言っているのだと龍崎さんは苦笑いを浮かべていた。
話しが弾むと20~30分は続くそうで、「我々はシズカと施設巡回をしてこよう」と促されて僕はその場で軽く頭を下げてから龍崎さんに同行する。
この日、2体のシズカは介護施設内の入所者自室25部屋全てをトラブルを起こすことなく巡回を終えた。
―――稼働テスト開始段階をクリアした2体のシズカを箱庭に残し、僕ら分身チームは研究所へ戻る車に揃って乗り込んだ。今夜は宿舎で分身初号機の箱庭入りを祝う会が催される。
僕はその後の鏑木氏との対峙?と言うか、面談が気になり、気を紛らわせる為と頭を整理する為に先ほどまで実施していたシズカの動作確認を思い返した。
箱庭内に納められた製品は一旦、リアルタイムでの情報アップデートは遮断し、蓄積情報だけを使用した状態で不具合の発生検証を行うのが開始段階をクリアする第一条件だった。
介護施設内でのシズカの稼働確認は諏訪さんを除いた16名が4名づつ、4グループに分かれて実施した。僕は龍崎さんとブース長の城木さんと共にモニター室でモデルの風見さんとシズカの動作のズレを確認する担当。
動作確認は、少し前までは数名での目視が基本だったが、今は蓄積した風見さんの動作情報からAIがシズカの動作を予測、瞬時にモニター上に表示されるからズレの把握は専門知識を持たない者でも可能だ。
僕らはそのズレがなぜ?起こるのかの原因追及と対策の仮説立案に集中できるまでになっている。原因と対策もある程度はAIが候補を挙げてくれるから補正までのプロセスも格段に短くなった。
シズカの予測動作のズレは赤い点線でモニター上に表示される。研究所でも同一の動作確認は1万回以上実施はしているが、環境変化によるズレが許容範囲とはいえ多い様に感じる。
龍崎さんと城木さんも同じ様に感じているとは思うが、シズカを引き上げるまででもない許容範囲であることも事実だ。
一番に赤い点線が表示される部分は『顔面』、シズカの表情だ。目視では違和感は感じないが、会話中の口の開閉で赤の点線表示が連発している。
「まぁ、予測していた通りの結果ですね」
「そうだな。口角下制筋が皮膚に引っ張られている」
龍崎さんと城木さんは研究所内と介護施設内の湿度が関係しているだろうと仮説を立てて、あくまでズレであり不具合ではないと結論づけた。
「この段階で課題が出ない事の方が問題だろう?」
里長と副長、鏑木氏と共に結果を待っていた諏訪さんに報告するとあっさりとシズカの箱庭入りは承認された。
箱庭を出た所でぼんやりと窓外を眺める僕に城木さんは「人間でも表情筋を自在に操る事は難しいから」と呟いて
「何にしてもシズカの箱庭入りが叶ったんだ。今夜は文字通り祝宴だね」
嬉しそうに口角を上げて微笑んだ。