第4話 信じる心
3人は島から1キロほど離れた気球の家についた。
中はやはりすべて雲でできている。
その家には先ほどの奥さんと旦那さん、そして15歳の男の子が1人いた。
「お前、誰だ。」
「こらセカイ、やめなさい。あなたのチームが誰もいないから一緒に戦うために来てくれたのよ。」
「俺は頼んでないし。」
アシン「お前、セカイっていうのか?一緒に戦うことになったアシンだ。よろしくな。」
アシンが差し出した手を無視してセカイは自分の部屋に行ってしまった。
「ごめんなさい。普段はあんな子じゃないのに。」
イツマ「全然大丈夫です。こちらこそセカイ君の気持ちも考えずにすみません。」
アシン「俺、ちょっとセカイのとこ行ってくる。」
イツマ「ああ、頼んだ。」
――コンコンッ。
アシン「セカイ、ちょっといいか??」
セカイ「俺は何も話すことなんてない。俺は1人で出るんだ。」
アシンは、セカイの部屋のドアに寄りかかって座った。
アシン「お前がなんで俺たちと組みたくないのか知らない。でも俺たちはお前とどうしても組みたいんだ。最初は運動会に出られるならだれとでもいと思っていたが、お前を見た瞬間、お前を信じてみたいと思った。セカイ、俺たちを信じてくれ。」
セカイは4年前の運動会を思い出した。
――4年前。
セカイは運動神経が良く、人懐っこい性格のため、クラスの人気者だった。
大運動会に出られるのは、小学校では1クラス1チームと決まっているため、セカイと他4人の5人チームで出た。
この大運動会でいい結果を残すと、学校からおやつ1万円分がクラス全員に渡されるので、セカイたちは皆の期待を背負って出場した。
大運動会は順調に進み、残りは最後のリレーを残すのみとなった。
セカイはアンカーを任されていた。
セカイに2位でバトンが渡された。
もしこれで1位になれば優勝が決まる。
セカイは全速力で走った。
もうちょっとで追い越せる。
その時、
バトンから雷の静電気が生じ、セカイはバトンを落としてしまった。
そしてその隙にほかのチームから追いこされ、5位でゴール。
結果、全体でも4位という結果に終わってしまった。
セカイは何が起きたのかわからなかった。
教室に戻ると、みんなからなんでバトンを落としたのと責められた。
みんなには雷光が見えなかったらしい。
「もうちょっとで優勝できたとこだったのに。なにもないところでバトンを落とすなんて。」
そして、一緒に大運動会に出たチームの仲間の一言にセカイは驚愕した。
「こいつがほかのチームと話しているとこ聞いたぜ。そのチームに勝たせる代わりに賞品の2割をもらうってな。」
「そんなことしてない。」セカイは言おうとした。
しかしダメだった。
「そんなこと言っていたの?!」
「ありえない!」
「セカイがそんな人だったなんて!」
「もう私たちの前に顔を見せないで!」
セカイは言い返す気もなくなった。
そのまま、教室を後にした。
下駄箱で靴に履き替えようとすると、運動会のチームのメンバーが駆けつけてきた。
「おうセカイ、ドンマイだったな。雷が手に当たるなんて不運だったな。」
「なぜそれをしっているんだ、、?」
「気づかなかったのか?俺らの仕業だよ。お前がみんなに気に入られていんのが前から気に食わなくてな。まんまとみんな引っかかって。あれは傑作だったぜ。」
「お前ら、、、」
「はっ。だまされる奴が悪い。悔しかったらやり返してみるんだな。」
そういって奴らは帰っていった。
「くそっ、、、。絶対に仕返ししてやる。」
セカイはどうしても勝ちたいと思った。
アシンたちはまた裏切るかもしれないが、自分が信じなければ裏切られることはない。
そう思った。
――ガチャッ。
セカイ「本当に、俺でいいのか??」
アシン「ああ、お前がいいんだ。」
セカイ「俺はお前らを利用してでも優勝しに行くぞ?」
アシン「ああ、大丈夫だ。お前はそんなことするやつじゃないだろ?」
セカイ「お前、俺のことなんて知らないだろ?」
アシン「男の勘だよ。よろしくな。セカイ。」
セカイ「よろしく。、、ありがとう。」